2015年9月30日

マンガで解説:「Excel」頼みを脱して経営リポートを効率的に作るには?

会計データをまとめ、さまざまな角度から事業を分析したリポートは経営のかじ取りに欠かせない。しかし、作成する経理部門にとって、その作成は大変な作業だ。効率的にリポートを作成する方法を漫画で紹介する。

この記事は、アイティメディア株式会社の提供により、TechTarget ジャパンにて取材・掲載された記事を一部内容を変えて掲載しています。

月末に差し掛かると、途端にピリピリムードが漂う経理部門。ただでさえ月次決算業務が集中し、仕事の負荷が高まるこの時期に、たまった経費精算などが持ち込まれた日には、もうパニック寸前だ。しかも近年では、決算早期化や内部統制強化といった社会的要請から、経理部門に掛かる負荷は年々高まるばかりだ。せめて、経費精算処理の業務を何とか軽減することで経理部門の仕事を少しでも楽にできないものか?

特に中堅・中小規模の企業において、こうした悩みを抱えるケースが多いようだ。というのは、こうした会社ではオフィスに現金の入った金庫を常備し、小口の経費精算はその場で現金精算することが多いのだ。これは、外回りの多い現場の営業マンにとっては便利な制度である半面、金庫を管理して精算処理にあたる事務の社員や、経理部門の社員にとっては大きな負担となる。

製造業のH社も、まさにこのような悩みを抱える企業の一社だった。経理や事務の現場では、小口現金精算の手間やリスクを一刻も早く除去したいと願っていたものの、営業現場の利便性を考えると、なかなか業務改革に踏み出せずにいた。しかし、とある仕組みを導入することで、営業現場にもメリットを提供しつつ、小口現金精算を廃止して経費精算システムを導入することに成功したという。以降でその経緯や効果を、イラストや漫画を交えつつ紹介していこう。

小口現金による経費精算処理をいつまで続けるのか?

H社は年商30億円を売り上げ、全国3カ所に営業拠点を構える中堅製造企業。これまで堅実に事業を成長させてきたH社だったが、ここにきて経理の業務が会社の成長に追い付かなくなってきた。特に月末になると数少ない経理部員は皆業務に追われ、残業に次ぐ残業で何とか決算を乗り切るというのが実情だった。

「何とか経理業務を効率化できないか?」。経理業務の見直しに着手した同社の経理部門が真っ先にやり玉に挙げたのが、小口現金による精算処理だ。同社では創業以来、経費精算を現金の受け渡しで行ってきた。各拠点に金庫を置き、従業員が持ち帰ってきた領収書と引き換えに、事務担当の従業員が金庫から現金を取り出して手渡ししていたのだ。

こうした小口現金の精算は現場の営業担当者にとっては、外回り中に立て替えた経費がすぐ現金で支払われるので、非常に便利だ。しかしその半面、事務や経理の担当にとって日々の現金精算に伴う労力は決して小さくない。加えて、事務所に金庫を置くことのリスクは社内各所から指摘されていた。

同社の担当課長は、次のように語る。「私が入社したころから、こうした経費精算のやり方が当たり前だと思っていました。しかし冷静に考えてみると、事務所に現金を置くことはとても危険です。現金補充の手間もさることながら、本社の経理部からは各拠点の金庫の中身は見えないため、内部統制上も問題があります。拠点側としても、現金を数え間違う危険性もありますし、毎日必ず帳簿との整合性を取る必要があり、かなりの労力がかかります」

もちろん、こうした状況をただ単に手をこまぬいて見てきたわけではない。これまで何度か、経費精算の仕組み改善を検討してきたものの、そのたびに現場の利便性が低下することを恐れるあまり、経理部門の判断だけで今までのやり方を変えるのは困難との結論に至っていた。

しかし、ここに至って経理部門に掛かる業務負荷は限界に達していた。抜本的な業務改革に着手しないと、このままでは次の決算を乗り切れるかどうかも心もとない状況だったのだ。そこで同社は、小口現金精算の仕組みを思い切って廃止し、経費精算システムを導入することで本格的な課題解決に乗り出すことになった。

経費精算システムの導入で小口現金精算を廃止

具体的には、従業員は経費精算の際、それまでのように事務担当に領収書と紙の経費精算書を渡すのではなく、システムに対して経費精算を入力する。その際、現場でよりスムーズに導入できるよう、それまで使っていた紙の経費精算書のフォーマットをそのまま画面で再現できることを求めた。

また、従業員が入力した申請が、システム側で自動的に仕訳データにできることも、システムを選定する上での重要な要件として挙げた。それまでは、従業員が持ち帰ってきた領収書の内容から、人が経費科目を判断して経理システムに入力していたため、仕訳のミスが頻発していたのだ。単に事務や経理の担当者の業務負荷を軽減するだけでなく、仕訳の正確性を担保する意味でも自動仕訳ができる経費精算システムが必要だった。

さらには、仮払いの申請と支払いをシステムで処理できることも重要な条件の1つだった。現金精算の廃止は、現場の従業員からの反発を招く恐れがあり、現場の利便性を極力低下させないための配慮を何より必要とした。しかし、仮払いの処理は会計システムのデータを参照する必要があるため、一般的な経費精算システムではカバーできないのだ。そのようなシステムを導入しても、現場で歓迎されるとは到底思えなかった。

しかし検討を進めるうち、こうした課題をクリアできる経費精算システムも存在することが判明した。ミロク情報サービスが提供するシステムがそれだ。同社の経費精算システムは財務会計システムと密接に連係して動作するため、仮払いの処理も問題なくカバーしていたのだ。もちろん、従来の経費精算書のフォーマットを再現できることや、仕訳データを自動的に作成して財務会計システムに反映できる点も、H社のニーズとぴったり合致していた。

こうした点が高く評価された結果、H社はミロク情報サービスの経費精算システム導入を決定した。

内部統制強化と年間540時間の工数削減を実現

経費精算システムを導入した後の現場では、従来毎日行っていた現金精算を廃止し、システムに入力された経費精算を基に各従業員の銀行口座に週1回経費を振り込む運用に変更した。これによって、事務や経理の業務負荷が大幅に低減されたと同時に、内部統制も大幅に強化されたという。

「精算処理を各拠点で個別に行うのではなく、本社で一括して行えるようになったので、内部統制の強化につなげることができました。また各拠点でも、それまで1日当たり平均45分ほどかかっていた現金精算の業務が完全になくなったことにより、3拠点合わせて年間540時間もの工数削減が実現しました。これは時給3000円に換算すると年間162万円のコスト削減になり、システム投資をわずか1年間で回収できました」(H社 担当課長)

またH社ではシステム導入に当たり、現場ユーザーの理解を得ることに腐心したという。前述の「現金精算はなくしても、仮払い制度は残すこと」もその一環だ。また、経費の銀行振り込みも一般的な月1回の頻度ではなく、毎週行うルールにした。

「月1回の振り込みでは立替金がかさんでしまい、なかなか現場の理解を得ることができません。そのため、週1回の振り込みにして、現場従業員になるべく不便をかけないよう配慮しました。また、今回のシステム導入は内部統制の強化につながるものであり、会社全体にとって極めて重要な施策である点を訴え、従業員の理解が得られるよう努めました。これに加えて、とにかく『システム導入は現場の人たちに大きなストレスを与えるものではない』という点を広く訴求するようにしました」(H社 担当課長)

経費精算システムの導入によって小口現金精算を廃止したH社では、経理部門および各拠点の事務担当者の業務負荷が大幅に軽減し、コスト削減につながったとともに、今後会社を成長させていく上で欠かせない内部統制強化の取り組みも同時に実現した。

財務会計システムとの密接な連係で「開かれた経理」を実現

さらにH社では、経費精算システムの導入により、当初は想定していなかったさまざまな効果が生まれているという。同社が導入したミロク情報サービスのシステムには、経費データをWebブラウザでリアルタイムに参照できる機能が備わっている。この活用で、社内のさまざまな部門で自然発生的に業務改善が起こっているのだ。

例えば営業をはじめとする現場部門では、この機能を使って「現時点で経費予算がどれぐらい残っているか?」「今、どれぐらい売り上げが不足しているのか?」といったことが、システムを通じて参照できるようになった。こうしたリアルタイムの数字をいつでも参照できるようになることで、より正確な事業計画策定が可能になったという。

また販売促進部門ではマーケティング予算の消費具合を正確に知ることで、より効果的なマーケティング施策を適切なタイミングで打てるようになったという。

このように、経理データを各部門に開示して活用してもらえる「開かれた経理」が実現できたのも、経費精算システムが財務会計システムとシームレスに連係し、最新の経費データが常にリアルタイムに会計データに反映されるようになったからだ。

一般的には、会計システムと経費精算システムは完全に独立して動作しており、連係といってもせいぜいが経費データをファイルに吐き出して会計システムに渡すぐらいが精いっぱいのところだ。しかしH社が導入したミロク情報サービスの製品は、会計と経費精算が密接に連係することで、前述のようなさまざまな効果を生み出すことができる、極めてユニークなソリューションだ。経費精算を切り口にさまざまな業務改革を実現する同社のソリューション、経費申請のシステム化を検討している企業にとって一考の価値があるといえそうだ。

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