事務所インタビュー

2017年7月3日現在

国税出身、資産税に強みを持つ会計事務所の地域密着型経営と事業承継
増田税務会計事務所

国税出身、資産税に強みを持つ会計事務所の地域密着型経営と事業承継 増田税務会計事務所

資産税を得意とする増田税務会計事務所(さいたま市中央区)。所長の増田正廣氏(写真右)は国税出身の税理士である。国税出身で成功する税理士は少ないといわれるなか、増田氏は国税を退官後、数年間勤務税理士として実務経験を積み、同時に人脈づくりにも力を注ぐなど、自事務所の地盤を固めた。そのうえで、国税時代に培った資産税の知識・ノウハウを武器に、地域密着型事務所として着実に顧客を拡大。また、ミロク会計人会関東信越地区の会長を2期連続で務めるなど、会計業界の活性化にも尽力している。昨年には税理士であるご子息の増田祐司氏(写真左)が事務所に加わった。折しも、顧問先企業の世代交代も佳境を迎えており、同じタイミングでの世代交代は、事務所のさらなる継続・発展にも追い風となっている。そこで今回の取材では、会計事務所の事業承継と永続的発展について、増田正廣所長と増田祐司氏にお話を伺った。

資産税を武器に国税から税理士へ転身

―― 創業から20年あまりという増田税務会計事務所の足跡からお伺いしたいと思います。増田先生は国税のご出身だそうですね。

増田正廣私は、1993年に国税を最後に退官しました。ですから、国税時代はちょうど、バブルの始まりから終わりまでにあたります。国税では長い間、資産税業務に携わっていましたので、株や土地の高騰、暴落のなかで、かなりの実務を経験してきたわけです。
 国税には所得、法人、資産という流れがあります。所得が親、法人が子供、資産税は孫という関係性になりますが、最終的には資産税を把握しなければなりません。生前は所得の課税関係をあたります。漏れても翌年に繰り越されますから、課税の公平性は保たれますが、最後の仕上げは資産税ですので、そこで課税の公平に失敗すると、次の代に持ち越されてしまいます。
 そのようなことを何十年もやってきて、今度はその知識、ノウハウをフィールドで試してみたくなりました。課税の公平性を保つ最後の砦、つまり資産税の分野で、課税ではなく納税の立場から国に貢献してみよう。そのような思いで国税から税理士へと転身しました。

―― 開業となると経営はもちろん、営業もしなければなりません。

増田正廣まず考えたのは、会計事務所である以上、所得税、法人税もやらなければダメだということです。資産税特化という発想もありましたが、資産税だけでは収入が不安定です。やはり、顧問料という安定収入が必要だと考えました。
 しかし、法人関係の経験はまったくありませんでしたから、最初の数年は、他の事務所に勤めました。法人の実務を経験するために、計画的に期間を決め、2つの事務所で働かせていただきました。

―― 顧客もゼロからのスタートだったと思いますが、どのように顧問先を獲得されていったのでしょうか。

増田正廣退官してしばらくは、自治会や趣味の会などに参加したり、企業で講座を持ったり、ボランティア活動にも参加しました。要は人脈づくりです。高級ホテルのレストラン食べ歩きのような集いなど、都心のほうにもよく足を運びました。正直、経済的にはきつかったのですが、そこは無理をしました。
 そうやっていろいろなところに飛び込んでいくうちに、多くの知り合いができ、たまにご相談を受けるといったところから、少しずつお客様ができてきました。

―― ある程度の顧客を獲得したら、あとは紹介という形になりますか。

増田正廣そうですね。やはり、信頼関係を築いたその先に新しいお客様がいるということです。ですから、まずは目の前のお客様にいかに満足していただくかが大事だと思っています。

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顧問先の世代交代が自計化促進のひとつの鍵

―― 増田税務会計事務所では、業務システムは何をお使いですか。

増田正廣ミロク情報サービス(以下MJS)の統合業務システム「ACELINK NX-Pro」を基幹ソフトとして利用しています。お客様にはMJSの「NX記帳くん」を導入していただき、自計化を進めています。また、マイナンバーの安全・管理のため、「MJSマイナンバー」も導入し、「ACELINK NX-Pro」と連携させています。

―― どういったきっかけで、MJSのシステムを導入されたのでしょうか。

増田正廣開業当初、MJSのシステムをお使いになっていた税理士の先生が、MJSの新しいシステムに刷新されるとのことで、譲ってくださったのです。それをきっかけに、MJSの営業の方とのお付き合いが始まり、以来、ずっとMJSのシステムを使わせていただいています。かれこれ14~15年になります。

―― 「ACELINK NX-Pro」もかなりソフトのラインアップが増えていますが、どの程度導入なさっているのですか。

増田正廣必要と思われるシステムはほとんど導入しています。「ACELINK NX-Pro」はとても使いやすく、税務や財務はもちろん、事務所業務の管理や、顧問先の自計化促進にも有効な機能がたくさんついているので、大変便利です。
 ただ、それらをフルに使いこなせているかというと、残念ながらそうでもないのです。私もそれほど機械に強いほうではありませんので、システム上の課題はあります。そこは今度、息子が入ってきましたので、少しずつ勉強してもらい、もっと有効活用していきたいと考えています。

―― 自計化はどれくらい進めていますか。

増田正廣「NX記帳くん」を導入していただいているお客様は4割程度です。開業当初から自計化には取り組んできたつもりですが、正直、満足のいく普及率ではありません。
 「記帳くん」は、経営者の代替わりをきっかけに入っていくパターンがほとんどです。導入時の設定は事務所でできますし、顧問先と会計事務所でデータを共有でき、入力から申告業務までスムーズにいく。自計化には本当に役立つツールだと思います。

―― 世代交代でうまく引き継ぎができるかどうかは、事務所としても重要なポイントですね。

増田正廣そうですね。お客様の会社が若い人に代替わりされますと、その2代目社長と私との間に世代間ギャップが生まれてしまうことがあります。一回りも二回りも上の税理士とは話しづらいということもあるでしょう。そこをどうやって埋めていくかは、ひとつの課題でした。昨年、当事務所にも2代目が入りましたので、その課題解決も大きく前進すると思っています。

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会計事務所と顧問先の世代交代が同時期というメリット

―― その後継者である、ご子息の祐司先生も本日は同席されています。昨年入所されたそうですが、それまでの経緯をお聞かせください。

増田祐司ここへ来る前は、事業会社を経て、都内のいくつかの会計事務所で実務経験を積みました。一番長いところで勤続8年ほどでしょうか。税理士の資格は5~6年ほど前に取得しています。今回、父から声を掛けられたのをきっかけに、真剣に将来のことを考え始め、入所を決めました。

―― これまでの事務所と、貴事務所との違いは何かありましたか。

増田祐司都内の事務所に勤めていたときは、お客様のほとんどが上場会社や上場子会社で、しかも外資系が中心でした。今は中小企業が中心ですから、そこが大きく違います。しかも、こちらは同族会社が多く、それまでやったことのないような調整もしなければなりません。また、社長さんもご高齢の方が比較的多く、今までほとんど使ったことがなかったFAXが必需品だったりして、最初は若干戸惑いましたが、今はもう普通に使いこなしています。

―― 顧客のほうでも世代交代が進んでいるということですが、2代目として相手と同じ立場にある祐司先生としては、どんな感触をお持ちですか。

増田祐司クライアント先が代替わりで、息子さんの代になりますと、お互いに同じ立場ですから、共通した話題や悩みがあります。経営の問題、社員さんたちとの関係、先代である父との関係、意見の対立など、問題、課題を共有することができますので、とても親近感を持ってお話しすることができます。

―― 増田税務会計の事業承継は、とても理想的なタイミングになりそうですね。

増田正廣確かにタイミングはとてもよいと思います。「(増田税務会計に)後継ぎが決まって安心した」というお客様も少なからずいらっしゃいますから。実は、私が50代のころから既に、当事務所の事業承継を気に掛けるお客様がいらっしゃったのです。そのときは、私も「大丈夫ですよ、まだ若いですから」と言っていたのですが、若い社長さんから見れば一回りも上の私を見て、心配になる気持ちも分からなくはありません。都心に近づくほど、そのような傾向は強いような気がします。

―― 現在は、後継者育成といった段階でしょうか。

増田正廣そうですね。まず、息子にはクライアントと当事務所との関係性、つまり、どういう立ち位置でお客様と付き合っていくかをよく理解してもらわなければなりません。そのためにも、今は順番にお客様の会社に同行させています。

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首都圏をにらみつつ資産管理分野で勝負

―― ところで、増田先生は、ミロク会計人会関東信越会の会長を務めていらっしゃいます。

増田正廣今回、全国統一研修会新潟大会があるため、2期連続となりました。ミロク情報サービスさんとも長いお付き合いになりますし、ミロク会計人会連合会の研修委員などを務め、頼まれながら順番に役職が繰り上がって、気が付いたら会長になっていたという感じです。

―― 6県の担当ということですが、会長としてのご苦労などありましたら、お聞かせください。

増田正廣苦労というほどのものではありませんが、地区会の会長さんが6人いらっしゃいますから、その先生方の意見をまとめるのに、多少難儀することはあります。
 会計事務所の長でいらっしゃいますし、それぞれやり方、考え方が確立されています。地域の特性もあります。それらを理解、尊重しつつも、バランスを取って組織としてひとつの方向に持っていかなければならない。いろいろな考え方がありますから、どこかで妥協点を見いだしていかなければなりません。
 とはいえ、協力的な方ばかりですので、いうほど苦労はしていません。逆に、地域の違うさまざまな先生方と交流できることでとても貴重な経験をさせていただいています。

―― では最後に、増田会計事務所の5年後、10年後を見据えた将来戦略をお聞かせください。

増田正廣これまで地域密着型でやってまいりました。今後もそのスタンスは崩さずにいくつもりですので、やはり資産税は切り離せない分野です。
 ただ、今後はそれだけでなく、息子が外資系企業の法人をかなり経験してきていますので、そちらの方面にも手を広げていきたいと思っています。
 さいたま市も首都圏の一部という印象もありますが、まだローカルな土地柄です。今後も引き続き地域に根差しつつ、東京もにらみながら顧客拡大を図っていきたいと考えています。抽象的な言い回しになりますが、小さくてもよいから異彩を放てるような事務所に成長していきたいと思っています。

―― 祐司先生にも、2代目としての抱負をお聞きしたいと思います。

増田祐司やはり資産税は今後も、増田税務会計のベースとなります。しかし、私自身はここに来るまで、ほとんど資産税をやってきておりません。スポットで土地評価や株価評価などをやったことがある程度です。ですので、今まさにそうなのですが、積極的に資産税案件に取り組み、経験を積んでいきたいと思っています。それと同時に、私がこれまで積んできた経験も生かして、外資系企業も含め、ある程度規模のある法人にも、積極的にアプローチしてみようかと考えています。

―― 時代の流れからしても、資産税に強みを持つということは、大きなアドバンテージだと思います。今後のさらなる発展に期待します。本日はありがとうございました。

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増田正廣(ますだ・まさひろ)

所長概要増田正廣(ますだ・まさひろ)

増田税務会計事務所所長。税理士。ミロク会計人会関東信越会会長。ミロク会計人連合会副会長。1946年生まれ。1966年、国税に入庁。1993年、退官。都内会計事務所勤務を経て、1997年、増田税務会計事務所開業。資産管理に特性を持たせた事業戦略で、東京・埼玉を中心に拡大。2015年、ミロク会計人会関東信越会会長に就任。

増田祐司(ますだ・ゆうじ)

2代目増田祐司(ますだ・ゆうじ)

事務所概要増田税務会計事務所

所在地 埼玉県さいたま市中央区下落合1648-14 カーネ与野601号
URL http://www.mjs-kaikei.jp/c.p/msdtax/
代表者 増田正廣
創 業 1997年
職員数 6名
業務内容 資産税、相続税、贈与税、消費税、法人税、所得税経営相談、経理支援、税務手続きの支援

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