
お金はあるのに赤字!? 起業家が知らなかった会社経営に大事なこととは?
質問
女性向けの服飾・雑貨店「ミロクショップ」を創業したオーナー経営者。第1期が終わり、資金が順調に増えていたため儲かったと思っていたのに、税理士から「赤字」だったと連絡がありました。あなたが経営者なら、このような事態に陥らないために、決算日前に作成する資料とその頻度の組合せは次のうちどれを選びますか?
この質問をイメージして以下のストーリーをお読みください。
創業第2期。黒字が見えてきた「ミロクショップ」
「ミロクショップ」は、女性向けの服飾・雑貨を販売している会社です。今年は創業第2期ですが、店内はたくさんのお客さんで賑わっています。
女性客A |
このお店は、バイヤーが集めてきた良い商品が揃っていて、こぢんまりとした手作り感のある雰囲気が好きなのよ |
女性客B |
私もこの店大好き。ついついたくさん買っちゃうの |
女性オーナー社長は、うれしそうにお客さんの会話を聞いています。
創業2年目はついに黒字を達成しそうですが、創業1年目は違ったのです。そのときの様子を見てみましょう。
創業第1期 ~儲かっていると思ってたのに…
創業1年目。女性オーナーは、創業以来、毎日のように駅前でチラシを配ったり、キャンペーンとしておまけのグッズを配ったり、いろいろな販促活動をしてきました。お客さんも大勢来てくれて、カラフルでかわいいと評判にもなり始めていました。
創業第1期が終わり、数週間経ったころ、顧問税理士から一本の電話が入りました。
顧問税理士 |
社長、お待たせしました。御社の今期の決算が終わりました |
オーナー |
先生、ありがとうございました。で、利益はいくらになりました? |
顧問税理士 |
残念ですが、今期は100万円の赤字でした |
オーナー |
えっ! そんなはずないわ。だって、今期は資金繰りに困ったこともなかったし、お金も十分にあるのよ。お客さんだって増えてるし…… |
オーナーの心の声 |
<銀行に業績絶好調って言っちゃってるのに、今さら……。お金はあるのに、利益が出てないって、どういうこと??> |
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質問
女性向けの服飾・雑貨店「ミロクショップ」を創業したオーナー経営者。第1期が終わり、資金が順調に増えていたため儲かったと思っていたのに、税理士から「赤字」だったと連絡がありました。あなたが経営者なら、このような事態に陥らないために、決算日前に作成する資料とその頻度の組合せは次のうちどれを選びますか?
現金主義ではだめだった!
その日、女性オーナーの学生時代の友人たちが、起業1年を祝ってレストランで食事会をしてくれました。
オーナー |
みんな、今日はお祝いしてくれてありがとう |
友人X |
起業1年目はどうだった? 利益は出たの? |
オーナー |
それがね、不思議なことがあってね。手元の現金は増えているのに、税理士から赤字だったって言われちゃったの。そんなことってある? |
友人Y |
え? あなたって現金主義なのね |
オーナー |
そりゃあ、誰だって現金第一でしょ |
友人Z |
そういう意味じゃないわ。現金と利益は一致しないのよ。だって、銀行から借金してお金が入ってきても、利益は増えないでしょ |
オーナー |
あっ、確かにそうだわ。うちの会社も借入れしたからお金が増えただけってことなの? |
友人X |
でも、良かったわ。普通は黒字倒産って言って、利益が出てるのに、お金が回らなくなって倒産するんだから。その逆ならまだマシだわ。ちゃんと損益計算書を見なきゃダメよ |
オーナー |
分かったわ。来年からは決算が終わったら損益計算書を見るようにするわ |
友人Y |
ダメダメ、決算が終わってからじゃ遅いわ。毎月、毎月、その月の損益計算書を作ってみなきゃダメよ |
オーナー |
はい、はい、分かったわ。それにしても、みんな利益の計算に詳しいのね |
友人一同 |
あなたが社長なのに知らなすぎるのよ! ちゃんと会計の勉強をしなさい! |
オーナーの心の声 |
<やだぁ、お金が十分にあったから儲かっているものだと思ってたけど、違ったんだ。ちゃんと損益計算書を勉強して、利益の計算方法を理解しないといけないわ> |
その後、女性オーナーは、顧問税理士に損益計算書の見方や利益の計算方法を教えてもらいました。そして第2期は、顧問税理士に毎月、損益計算書を作ってもらうようにし、利益が出ているかどうかをチェックしながら、資金繰りも管理するようにしたのです。
【ワンポイント解説】
「黒字倒産」利益が出ているのに資金が回らずに倒産することを黒字倒産と言います。資金の管理は資金繰り表などで行われますが、利益は損益計算書で計算されます。企業経営では毎月、資金と利益の両方を見ていくことが大切です。