記事制作:税経システム研究所

宿泊業

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2019/06/03

質問

「山の御宿みろく館」は、丁寧なおもてなしが魅力で、常連さんが毎年訪れる老舗旅館でしたが、近年は客層が変化し、サービスの方向性を見失っています。あなたが支配人なら次のうちどの方向性を目指しますか?

パターン1

従来の手厚い接客の方向性を重視し、より接客を強化できる環境を整える。

パターン2

インバウンド対応の方向性を重視し、外国語を話せるスタッフに入れ替える。

パターン3

価格設定の方向性を重視し、宿泊プランを見直して格安旅館にする。
 

この質問をイメージして以下のストーリーをお読みください。
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多くのお客様から愛される宿

創業60年を迎える「山の御宿みろく館」。部屋数は20部屋とそれなりの規模で、特急列車の停車駅から車で10分とアクセスも悪くありません。
 
今では若い人からお年寄りまで幅広い年齢層の宿泊客に加え、外国人観光客も多く訪れる旅館です。常連客も年々増えてきました。しかし、数年前はどんどん常連客が減って業績が伸び悩み、サービスの質も低下して評判の落ちた旅館だったのです。その頃の様子を見てみましょう。

みろく館、時代の変化についていけず迷走中

かつて、みろく館には毎年絶えず多くの常連客が訪れていました。お客様の好みを徹底的に把握し、細やかな気遣いともてなしをすることで評判の宿として、長年営業しています。
 
常連客が多かった頃は、業務量も落ち着いていたため、新規のお客様に対しても、満足度向上のために積極的にニーズを聞き出すようなコミュニケーションを行う余裕がありました。この手厚いおもてなしが気に入ってリピートするお客様も多かったものです。

しかし、ここ数年は、常連客が高齢化のため少なくなり、代わりに、新規の若い世代の観光客や外国人観光客が増えつつありました。ただ、常連客が減った分を補うにはやや不安があります。

そのため、常に部屋の空きが出ないように、直前に値下げをしたりして宿泊客を集めるようになりました。その結果、客室稼働率は落ち込まずに済んだものの、新規客の予約件数が増加しました。それにともなって、連日チェックイン・チェックアウトの対応に追われるなど、業務も増加。

業務に追われるあまり、従業員は新規のお客様への積極的なコミュニケーションができなくなりました。そればかりでなく、従業員同士の情報共有も疎かになり、お客様から急な要望を受けた従業員が、部屋担当の従業員にそのことを共有し忘れ、お客様を怒らせてしまうなんてことも。細やかな接客ができないままお見送りの時間になり、その後リピートもなし……ということで、悪循環が続いていました。昔から働いていた従業員の何人かは、業務量の増加が負担になり、一時期は体調を崩してしまいました。

同じ一帯にあるほかの旅館や民宿は、どんどん簡素でリーズナブルな宿やゲストハウスに方向転換し、安さ重視の観光客を取り込んで客数を増やしています。その一方で、みろく館は常連客が減少するとともに、新規のお客様のリピートも少なく、客数が減少傾向になってきています……。
 
支配人はこの状況を見て、みろく館が客層の変化に対応できていないことを痛感。何とかしなければと思いますが、目指すべき方向性がなかなか見えてきません。

質問

「山の御宿みろく館」は、丁寧なおもてなしが魅力で、常連さんが毎年訪れる老舗旅館でしたが、近年は客層が変化し、サービスの方向性を見失っています。あなたが支配人なら次のうちどの方向性を目指しますか?

▼あなたの思うパターンをクリック▼

パターン1

従来の手厚い接客の方向性を重視し、より接客を強化できる環境を整える。

パターン2

インバウンド対応の方向性を重視し、外国語を話せるスタッフに入れ替える。

パターン3

価格設定の方向性を重視し、宿泊プランを見直して格安旅館にする。
 

山の御宿みろく館の支配人が最初に取り組んだのは、パターン1でした。みろく館が長年築いた「丁寧なおもてなし」という強みを生かすために、業務が多忙になっても情報共有の効率化を図ることで、細やかな接客ができるようにしたのです。どうやったかというと……

外国語を話せるスタッフなら、外国人観光客への接客の質を上げることもできるかもしれません。しかし、外国人観光客を含む、お客様全体の数が増えていることにともなう業務増加への根本解決にはなりません。また、業務が増加している現状を鑑みると、新しいスタッフへの教育にかかるコストの見合いを慎重に考える必要があります。

安いプランを増やせば、安さ重視の宿泊客が増えるかもしれません。しかし、こうした対応は近隣のほかの宿がすでに行っていますし、丁寧なおもてなしを強みとするみろく館に合致した戦略なのか熟慮が必要でしょう。また、安いプランは人件費を多くかけられないため、接客に十分な人員を割くことができず、既存の常連客が減ることにもなりかねません。

丁寧なおもてなしをしたいのに……!

そんなある日、みろく館で事件が起こりました。

常連のお客様がいつもきまって注文するお酒があり、それを提供しようとしたのですが、倉庫にないのです。

仲居さんA 常連の田中様がいつもお飲みになる日本酒、あれ倉庫に一本もないのよ。知らない?
仲居さんB ああ。さっきCさんが、佐藤様ご夫妻にお出ししてたけど。Dさんも、グループで来ているスミス様ご一行のお部屋に何本か持っていってたわ

仲居さんAは青ざめました。たまたまほかのお客様に、そのお酒の注文が重なって、切らしてしまっていたのです。

仲居さんA ええ! 田中様はあの銘柄じゃないとだめなのよ。どうしてくれるの~!
仲居さんB そんなの聞いてないわよ! 申し送り台帳に書いてあった?
仲居さんA え、知らない。あたしは、体調不良で療養中のXさんに口酸っぱく言われてたから。だけど、今までめったに切らしたことなんてなかったじゃない~! あーあ。田中様ががっかりするわ……
支配人 おいおい一体何の騒ぎだ!?

言い争いの現場に割って入った支配人。二人からわけを聞くと、従業員同士の申し送りが上手くいっていないことがわかりました。一見さんが増えたことによりイレギュラーな対応が増えたことに加え、ベテランの従業員が療養中で不在のため、従業員同士の連携がいっそう難しくなっていたのです。

支配人の心の声 <新規宿泊客が増えたことで、その時その時の対応で精いっぱいなんだな。ストレスも相当かかっている。丁寧なおもてなしで常連客を獲得してきたみろく館なのに、こんなんじゃ従業員はおもてなしに専念できなくなるわけだ>

いつも帰り際に翌年の宿泊予約を入れる常連の田中様ですが、今回は予約をうやむやにしたまま、足早に出発してしまいました。部屋に残されていたアンケートを見ると、こんなことが書かれていました。

「去年も泊まったときに飲んだ、気に入っていた地酒が飲めなくて残念だった。担当がXさんのときにはこういうことはなかったように思う」

支配人は、時代とともに客層が変化しても、本当にお客様が求めるものは、値段の安さや外国語対応よりもまずは“おもてなし”であるということに、あらためて気づきました。

みろく館では、在庫管理やお客様の好みの申し送りは、基本的にミーティングで伝えるか、紙の台帳に手書きで行っていました。ミーティングで聞き逃したり、忘れたり、ほかの人が台帳を使っていて書くタイミングを逸したり、さらに閲覧するのも一苦労……。熟練スタッフと常連さんに支えられていた時代はそれほど問題になりませんでしたが、新規予約客数が増えた今では、作業が追いついていません。
 
そこで、お客様情報の共有に関しては、CRM(Customer Relationship Management)という顧客管理システムを使って行うことに。食の好みやアレルギー情報、外国からのお客様の文化的背景に加え、予約連絡の流入経路(電話・メール・予約サイト等)、予約時の要望(エクストラベッドなど備品の貸出希望等)、観光の目的なども共有するようになりました。

今まで人力に頼っていたところを、システムを用いることによって、忙しい中でも情報共有の面で効率化が進み、業務の手間が減少しました。さらに、データ管理をすることで、よくある問い合わせを収集できるようになりました。

その結果、お客様の好みのお酒を切らす、以前にお客様からヒアリングした希望が伝わっていない、といったことがなくなり、お客様の満足度も上がりました。

常連客が多かった頃に比べると、忙しいことに変わりはありませんが、従業員はかつてのように、お客様の好みに合わせた丁寧なおもてなしができるようになっています。

評判が評判を呼び、みろく館はすっかり活気を取り戻しました。新たに常連になるお客様も増えています。常連の田中様も、評判を聞きつけて再び宿泊してくれるようになりました。

【ワンポイント解説】
「CRM」(Customer Relationship Management)
顧客情報(氏名、年齢、性別、連絡先、利用目的など)や、接触履歴(来客、営業など)を登録して管理・共有するための顧客管理システムのことを言います。宿泊業向けのシステムには、前回宿泊したときの部屋や料理内容、顧客の好みやアレルギーなどの情報、今回の予約内容や到着時刻が参照できるものがあります。
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