記事制作:税経システム研究所

小売業

  • 小売業
2019/12/03

質問

他の飲食店を買収しようと考えている社長。買収する会社の決算書に“のれん”が1億円計上されていることを知り驚いています。さて、この“のれん”とはどのようなものだと思いますか?

パターン1

店の軒先に吊り下げる、店名の書かれた大きな布のこと

パターン2

他の会社を買い取ったときの高値分のこと

パターン3

店の名声やブランド力のこと

この質問をイメージして以下のストーリーをお読みください。
イメージ01
イメージ02

グループ経営をする飲食店

「みろくフード」は、もともとファミレスとして店舗数を拡大してきましたが、その後、数社の飲食店を買収・合併し業態を増やしたことで、今では低価格から高価格まで様々な飲食店を保有するちょっとした中堅企業になりました。

経理部長 社長、最近の“みろく丼”の売上はすさまじいですね。牛丼業界も注目しているそうですよ
総務部長 「高級フレンチ・ミロク」も好調で、有名人のインスタでも紹介されています
社長 いいぞ。みろくグループはこれからも買収を続けて一大勢力になるぞ!

みろくフードでは、比較的好調な飲食店を高値でオーナーから買収・合併し、合併後も店長や従業員は変えずに、むしろ給料を増やしてモチベーションを高め、さらに仕入先をグループで統一することで業績アップを続けてきたのです。
 
今でこそ好調なみろくフードですが、はじめて他の飲食店を買収したときは、社長がちょっとした恥をかいたのです。

1億円の“のれん”って、ダイヤモンドでもちりばめてあるのか?

それは、みろくフードがはじめて飲食店を買収しようとしたときのことです。その買収先の会社「MJSキッチン」は他の飲食店を合併することで店舗数を増やしてきたものの、オーナー社長が高齢になったこともあり、みろくフードの社長に会社を買って欲しいと打診があったのです。

社長は早速、MJSキッチンから決算書を入手し、その貸借対照表をチェックしたところ、何と、資産のなかに「のれん」が1億円もあるのです。
 
社長はびっくりしながら思いました。

社長の心の声 <のれんって、あの店先に吊り下げた、店名の書いてある布だろう。一体、1億円もするのれんってどんなのれんなんだ? ダイヤモンドでもちりばめてあるのか? 一度実物を確かめておかないといけないぞ>
 


質問

他の飲食店を買収しようと考えている社長。買収する会社の決算書に“のれん”が1億円計上されていることを知り驚いています。さて、この“のれん”とはどのようなものだと思いますか?

▼あなたの思うパターンをクリック▼

パターン1

店の軒先に吊り下げる、店名の書かれた大きな布のこと

パターン2

他の会社を買い取ったときの高値分のこと

パターン3

店の名声やブランド力のこと

一般的には「のれん」と言えば、店の軒先に吊り下げられている布を言いますが、決算書に出てくる「のれん」は全く違うものなのです。
 

実は、決算書に出てくる「のれん」の意味はパターン2だったのです。他社を買収したときの高値分とは一体どういうものなのでしょうか……
 

よく「のれんに傷がつく」などと言います。のれんという言葉はその店の名声やブランドを示す使い方もされることがあります。しかし決算書に出てくる「のれん」は全く違うものなのです。
 

買収ははじめてなので仕方ないですよ、と慰められた社長

MJSキッチンの決算書に1億円ののれんがあることを知った社長、翌日すぐにMJSキッチンの社長のもとを訪問しました。

みろくフード社長 決算書ありがとうございました。大変立派な業績ですね
MJSキッチン社長 ご覧になってくださいましたか。ありがとうございます。当社の純資産は2億円ですが、本当に2億5千万円で買い取っていただけるのですか?
みろくフード社長 ええ、二言はございません。御社のレストランはどの店舗も立地が良く、お客さんの評価も高い。2億5千万円は妥当な価格だと思っています
MJSキッチン社長 それはありがとうございます。私もやっと肩の荷がおります
みろくフード社長 ただ一つ、気になることがあるのです。ちょっと、店の外に出て、“のれん”を見せていただけますか?
MJSキッチン社長 ええ……、それは構いませんが……

そう言うと、二人は店の外に出て、MJSキッチンと書かれた大きな“のれん”を眺めました。外の風にあおられて“のれん”が大きくゆれています。

みろくフード社長 これが例ののれんですね。ちょっと触っていいですか?
MJSキッチン社長 もちろん構いませんが、例の……とは?
みろくフード社長 ほら、貸借対照表に計上されていた1億円の “のれん”ですよ。どこかにダイヤモンドでもちりばめた特注品ですか?
MJSキッチン社長 はっはっはっ。面白いことをおっしゃる。この“のれん”は確か5万円ぐらいだったかな。あの“のれん”は会計上ののれんですよ。うちの会社が以前、他の飲食店を合併したとき、純資産より1億円高値で買ったという意味です
みろくフード社長 えっ、こののれんとあののれんは全く関係ないんですか?
MJSキッチン社長 そうですよ。純資産が2億円の飲食店を3億円で買収したので、差額の1億円がのれんとして計上されているのです(※)。買収ははじめてですからご存じなくても仕方ないですよ

みろくフードの社長は顔を真っ赤にしながら思いました。

社長の心の声 <恥ずかしい! ちゃんと勉強してからくるんだった……>


※ この記事では、MJSキッチンが他社を買収したときに発生した1億円ののれんがそのまま計上されていることになっていますが、本来、のれんは買収後に償却される点にご留意ください。

 

ワンポイント解説「のれん」貸借対照表の資産に計上される“のれん”は、買収先企業の純資産と買収額の差額(高値で買った分)を意味します。こののれんは買収後、20年以内の合理的な期間で償却されます。なお、逆に純資産より安く買収した場合は”負ののれん“として損益計算書に利益として計上されます。
ミロク情報サービスFacebookページ

かんたんナビ

まずは無料資料請求

お問い合わせ