記事制作:税経システム研究所

飲食業

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2020/05/28

質問

都内で和風料理店を営む「味ろく苑」。これまで、なじみのお客様や企業の接待などに好評で順調な業績を維持してきました。ところが最近の新型コロナウイルス感染拡大の影響で、店内飲食について自粛を余儀なくされ、かつてない売上の減少という危機に直面しています。あなたが経営者なら次のうちどの行動をとりますか?

パターン1

食品・料理宅配サービスに配達を依頼する。

パターン2

ランチ時間に、店頭で弁当やテイクアウトの販売のみの営業をする。

パターン3

緊急事態宣言の期間中は完全休業にし、従業員を休ませる。

この質問をイメージして以下のストーリーをお読みください。
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和風料理店「味ろく苑」は、新型コロナウイルスに負けずに頑張っています!

都内で和風料理店を営む「味ろく苑」は、現在は最悪の状態を徐々に脱出しつつありますが、新型コロナウイルスによる外出自粛要請が出た時は、その影響で売上が激減し、事業の方向性に悩んでいました。

新型コロナウイルスの感染拡大が報道された頃から、予約客のキャンセルが相次ぎ……

年始めから、中国や韓国で新型コロナウイルスの感染拡大が報道され、欧米での感染蔓延化に伴い、日本でもウイルスの感染者が目立ち始めました。特に政府により緊急事態宣言が発出されてからは、グループや企業による予約の取り消しが相次ぎ、新規の予約もほとんど入らなくなりました。味ろく苑の創業以来、初めての事業継続の危機に遭遇することになり、社長を始め板長達が頭を抱えています。

社長 困ったな……。このまま売上が激減している一方、人件費、支払家賃、固定資産税などの固定費は変わらず発生するし……。しばらくは今までの内部留保資金でカバーできるかもしれないが、外出自粛要請の期間が長引けば運転資金も底をつく懸念があるな
板長 社長、当店のお客様は、長年ご贔屓にしてくれる会社や個人顧客が多いです。コロナ騒ぎが収束すれば、お客様はきっと戻ってきますよ。それまで何とか皆で頑張って、この危機を乗り越えましょう!
社長 それは私もお客様から信頼を得てきたという自負を持っているよ。しかし、魚や肉、野菜など原料や素材の定期的な購入契約をしているし、固定費は、毎日発生しているからなあ。それに、コロナが一旦収まったとしても、これまでどおりの生活様式に戻るかも分からないし、何とか販売先も拡げたいし……
 

質問

都内で和風料理店を営む「味ろく苑」。これまで、なじみのお客様や企業の接待などに好評で順調な業績を維持してきました。ところが最近の新型コロナウイルス感染拡大の影響で、店内飲食について自粛を余儀なくされ、かつてない売上の減少という危機に直面しています。あなたが経営者なら次のうちどの行動をとりますか?

▼あなたの思うパターンをクリック▼

パターン1

食品・料理宅配サービスに配達を依頼する。

パターン2

ランチ時間に、店頭で弁当やテイクアウトの販売のみの営業をする。

パターン3

緊急事態宣言の期間中は完全休業し、従業員を休ませる。

実は味ろく苑の社長が選択したのはパターン1でした。その理由はどこにあったのでしょうか。

 

ランチ時間のみの営業とし、同時に店頭で弁当やテイクアウトの販売をする方式を採用する飲食店も多いようです。幸い、味ろく苑は食品衛生法に基づく飲食店営業許可を受けていたので、新たな営業許可は不要ですし、自治体によっては、助成金や補助金(チラシ制作や運搬車両のレンタル料、梱包材などの支援)も期待できるかもしれません。しかし、営業時間と販売先が限定され、それだけで売上の大幅な落ち込みをカバーすることはできるでしょうか?

緊急事態宣言の期間中は、店舗での営業を休業し、従業員を休ませるのも一つです。従業員の給与について雇用調整助成金などを利用し負担軽減を図ることもできます。また、小学校等の臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援のための助成金でカバーすることもできるでしょう。しかし、休業すると売上がなくなってしまう一方で、費用はかかりますので、他に何かできることはないでしょうか。

米国に滞在中の娘とのメッセージアプリでのやりとりがヒントになった!

社長の長女は現在、ご主人の海外転勤により、昨年6月から米国南部の地方都市に滞在しています。ニューヨークやロサンジェルスといった大都市ではないので、普段から日常生活の買い物は、地元のスーパーに車で出かけ、週単位で必要な食材を購入しています。メッセージアプリで、毎日、現地の状況や動きを報告してきます。そして、最近の米国における新型コロナウイルスの感染蔓延によって、日常生活が大きく変化してきている事情を伝えてきたのです。

米国国内で新型コロナウイルスの感染が拡がって、主人も在宅勤務となってるの。長い期間、仕事はremote workで、生活はstay homeが求められているのよ
社長 日常の買い物はどうしているの?
買い物は車で行かずに、10マイルほどの距離にあるスーパーがやってるネット販売を利用して注文し、配達してもらっているの
社長 いわゆるデリバリーサービスか
そうね。インターネットで注文すると、店舗から5時間以内に配達されてくるの。コロナで大変な時に感染リスクをかけて届けてくれるから、配達の人に感謝の気持ちでチップを多めに渡したわ! デリバリーサービスの宅配アプリは、米国で以前から拡がってたけど、このコロナ自粛でさらに人気が高まっているのよ


味ろく苑の社長は、娘とやりとりするうちに、あるヒントを得ました。店頭で弁当やテイクアウトを販売したり、自前で出前をしている飲食店の話がテレビのニュースでも最近、よく報道されています。店頭で弁当の販売やテイクアウトをして少しでも売上を補うのもありかもしれませんが、店全体の売上にどの程度貢献できるでしょうか。残念ながら余り多くは期待できるとはいえないかもしれません。また、従業員に出前をさせる場合は、配達先は近くの顧客への販売に限定されます。人手不足もあり、自前の従業員による出前は大変です。
 
わが国でも米国ブランドのデリバリーサービスの利用が多くなっています。日中の街中でも、デリバリー中の自転車をよく見かけるようになりました。日本の企業も食品や料理の宅配専門業に進出するケースが増加しつつあるようです。
 
味ろく苑の社長は、これらの食品・料理宅配サービス業者のアプリに登録をしてデリバリーサービスを活用したらどうかと考えました。そして、そのアプリに登録して、インターネットのサイトに味ろく苑の、季節ごとに旬の食材を盛り込んだ愛情たっぷりで魅力的なメニューをアップしました。

すると、常連のお客様から早速、注文が入るようになりました。なかなか好評で、自粛解除後の会社の行事や会議での仕出し弁当などに利用したいというお客様も出てきました。また、思ってもみなかった展開は、既存のお客様からの支援注文だけでなく、今までご縁のなかった地域の方々からの引き合いも次第に増加してきていることでした。「巣ごもり消費」の中で、少し贅沢をして、おいしい料理を取り寄せて、ファミリーで楽しみたいというニーズが予想外に多いのでした。

京都では、昔から仕出し屋さんの伝統があります。祇園や先斗町の花街のお茶屋さんや市内の各種行事に提供する料理を、専門の仕出し屋さんに依頼をします。その仕出し料理の配達を、自前でやらずに、専門の食品・料理宅配業者に依頼するのです。このようなデリバリーサービスを、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言の期間中のみの限定企画にとどめず、感染収束後に、日常の市民生活を取り戻した時でも、新たな生活様式に対応する販売方式として活用できると、味ろく苑の社長は確信しています。
 
新型コロナウイルス感染拡大に伴う急激な企業環境の変化に対して、短期的にどのように対応していくかは、重要で不可欠な課題です。ただ当面のコロナ騒ぎが収束したとしても、再び第2次、第3次の感染発生も予測されています。コロナ後の新たな生活様式に対応した、新たな収益機会を模索することも必要です。味ろく苑の場合は、店舗内での販売方法に頼るだけでなく、新たなプラットフォームを活用して、販売先を拡張していく戦略を立案しました。
 
ただ、食品・料理デリバリー専門業者への手数料などの負担がかなり発生する模様です。それらの負担がもう少し下がるといいのですが……。

ワンポイント解説「新たな収益機会」
急激な企業環境の変化に直面した場合など、従来どおりのやり方では収益が上がらないこともあり得ます。本記事にあったように、環境変化による新たな生活様式に対応した、新たな販売方式を活用するなど、新たな収益機会を模索することも必要になるかもしれません。
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