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2020/10/23

質問

「ミロク音楽事務所」は、演歌中心の歌手やタレントが10名ほど所属しているプロダクションですが、新型コロナウイルス感染症の再拡大が続き、歌手やタレントの興行やイベント活動が大打撃を受けています。あなたが経営者なら次のうちどの戦略を選びますか?

パターン1

歌手やスタッフを一時帰休させ、人件費を削減する。

パターン2

人数限定のライブを行い、同時にネットで有料のライブ配信をする。
 

パターン3

事務所がこれまで制作してきたDVDや写真集を改めて販売する。

この質問をイメージして以下のストーリーをお読みください。
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ウィズコロナの新たな生活様式に対応する戦略を進めつつあります!

最近の「ミロク音楽事務所」は、新型コロナウイルス感染症の第2波到来にも負けず、ウィズコロナに伴う新たな生活様式に、うまく対応する戦略を進めつつあります。

 

新型コロナの拡大が続き、エンタメ業界は、青息吐息の状況です……

しかし、ほんの数カ月前には、新型コロナウイルス感染症拡大による政府の緊急事態宣言の影響で、事務所の予定や活動をすべて自粛し、事務所存続の危機にも直面していたのでした。感染症の拡大がいつ収束するか不透明であり、エンターテインメント業界は深刻な苦境に直面しています。全国各地での興行・営業スケジュールは軒並み延期または中止となり、演歌中心の歌手やタレントを多く抱えているミロク音楽事務所は、大幅な営業収入の落ち込みに悩んでいます。歌手やタレントの人たちも、コンサート、テレビや舞台への出演、CM撮り、各種企業や自治体へのイベント出演がなくなり、半ば失業状態に陥っています。

事務所の社長は経営幹部と緊急協議をし、頭を抱えています。

社長 新型コロナの急激な再拡大は、我々エンタメ業界に深刻な影響を及ぼしてるな
財務部長 本当です。今年度のスケジュールがほとんど延期や中止を強いられているので、このままでは事務所の継続も厳しいですね
営業部長 事務所所属の歌手やタレントも仕事がなくなり、当面自宅待機で、半ば失業状態です
社長 コロナウイルスに負けない、何か良い戦略はないものかな……

 

質問

「ミロク音楽事務所」は、演歌中心の歌手やタレントが10名ほど所属しているプロダクションですが、新型コロナウイルス感染症の再拡大が続き、歌手やタレントの興行やイベント活動が大打撃を受けています。あなたが経営者なら次のうちどの戦略を選びますか?

▼あなたの思うパターンをクリック▼

パターン1

歌手やスタッフを一時帰休させ、人件費を削減する。

パターン2

人数限定のライブを行い、同時にネットで有料のライブ配信をする。

パターン3

事務所がこれまで制作してきたDVDや写真集を改めて販売する。

事務所に所属する歌手やスタッフを一時帰休させ、人件費を削減することも考えられるかもしれません。しかし、歌手やタレントは事務所にとり貴重な財産ですから、歯を食いしばって他の方策を検討して欲しいです。
 

ミロク音楽事務所がとった戦略はパターン2でした。その理由はどこにあるのでしょうか。

 

事務所がそれまで蓄積してきたDVDや写真集などの商品を改めて販売するとしても、それだけでは抜本的な解決策にはなりません。
 

国立演芸場での落語独演会でヒントを得た!

6月半ば、ミロク音楽事務所の財務部長は、東京、皇居近くにある国立劇場内の国立演芸場に足を運びました。彼は落語や講談が好きで、以前から面識のある女性落語家の独演会でした。国立劇場も国立演芸場も緊急事態宣言による営業自粛で、興行予定は、2カ月ほど休演に追い込まれていました。女性落語家も例年同時期に独演会を開催していましたが、当初の予定を延期せざるを得ませんでした。緊急事態宣言解除後に、万全の感染防止策をとり、独演会にこぎつけたのでした。国立演芸場は、通常300名ほどの定員ですが、客席の間隔をあけて、観客は100名ほどに限定していました。木戸銭は当初3,000円であったのを2,500円に割り引いています。落語家の独演会ですから、日頃の贔屓客中心で、チケットも事前に完売し、希望してもチケットが入手できないファンも多かったようです。

そのとき、財務部長はあることに注目しました。

財務部長 独演会の模様を、同時にインターネットで生配信しているのか! ネットに登録した視聴者の料金は1,000円。多分、落語の独演会では初めての企画ではないかな

生で実際に寄席に参加できるファンの人数は、新型コロナウイルス対策のために限定され、興行収入も通常営業より大幅に減少するのですが、このとき財務部長はひらめいたのです。

財務部長 同時にネットで生配信すれば、たとえ料金単価は低くても、会場外の多くの人たちも独演会にバーチャルで参加できるじゃないか!


翌朝、早速、財務部長は事務所幹部のミーティングで、このアイディアを提案しました。

すると社長も大賛成。

こうして検討が始まり、その後、次のような新たな戦略を立案し、実行に移しました。

●新型コロナウイルス対策を徹底し、入場者数を限定したライブ・公演を実施する。会場の確保が難しい場合には、スタジオ内で無観客でのコンサートを行う。

●そのパフォーマンスを、同時にインターネットでライブ配信する。さらに一定期間、オンデマンドで配信サービスを実施する。

●自前でのライブ配信だけでなく、動画配信プラットフォーム・サービスにも登録し発信する。

その結果、次のような予想外の好結果がもたらされたのでした。

●新型コロナウイルス感染症の再拡大が続いている中で、リアルでの公演鑑賞はなかなか難しいのが現状である。特に、演歌ファンの多い高齢・基礎疾患ありのシニア世代は、外出自粛を特に強いられている。その中でstay homeでの新たな楽しみ方を求める、いわゆる巣ごもり消費へのニーズが高まっている。

●巣ごもり消費の需要が高まる今、演歌歌手の公演鑑賞のため会場にわざわざ足を運ばなくても、インターネットによる生ライブ配信により自宅で楽しむことができる。

●会場内での入場料収入は限定されていても、ライブ配信による会場外での収入が期待できる。しかも、通常でもリアルな会場での鑑賞人数は、会場の収容能力に限定されているが、ネット配信での鑑賞人数には特に制限はない。

●また従来のコアなファン層による収入に加えて、新たなファン層の需要を呼び起こし、全体の収入増加につながる結果となり、新たな収益源を開拓することもできた。

●同時に、CD,DVDの売上や関連グッズの販売機会の増加にもつながってきた。

●さらに国内だけなく、広く海外ファンの新規開拓も視野に入れてきている。

新規顧客の開拓にもつながる戦略を推進したことが功を奏したようです。

ワンポイント解説「新規顧客の開拓」新型コロナウイルス感染拡大などの非常事態が発生すると、それまでのビジネス・顧客の延長で対応しているだけでは、ビジネスが立ち行かなくなる恐れもあります。本記事にあったように、顧客が集まるイベントが難しい状況で、ネットでのライブ配信を行うことで、新たなファン層の需要を呼び起こすことも、新規顧客開拓の一つです。
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