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2021/06/03

質問

債務超過に陥ってしまった「パスタみろく」。債務超過を解消するために資金を調達しようとしていますが、誰から資金を集めれば良いのでしょうか?

パターン1

新規の銀行から資金を調達する。

パターン2

取引先に仕入債務の免除を交渉する。

パターン3

スポンサーを見つけて資金を調達する。

この質問をイメージして以下のストーリーをお読みください。
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生演奏が楽しめるイタリアン

都内を中心に10店舗のイタリア料理店を展開する「パスタみろく」では、数カ月前から生演奏を始めました。音楽家たちが様々なジャンルの演奏を聴かせてくれるので、それを目当てに訪れるお客さんも増えてきました。

最近でこそ、客数も増えて順調に利益が増えてきたパスタみろくですが、1年前は債務超過に陥って大ピンチだったのです。

1年前 ~債務超過になった! とにかく資金調達だ!

パスタみろくは、広い店内と、本格パスタが売りのイタリア料理の専門店です。社長が10年前に始め、拡大路線を狙ったのですが、最近は売上も利益も激減してしまっていました。
 
そして、期末日を過ぎた最初の経営会議で経理部長が経営幹部に対して説明をしました。

経理部長 お手元の貸借対照表のとおり、今期はついに債務超過に陥ってしまいました。何とか手立てを打たなければ、銀行からの追加融資も受けられません
社長 何だって! そりゃ大変だ。どうすれば債務超過を解消できるんだ?
経理部長 もちろん、大きな利益を計上できればいいのですが、今は難しそうですし……。実は、債務超過を一気に解消する特効薬がないわけではないのですが……
営業部長 その特効薬を教えてくれ! 売上で貢献できない分、何かしたいんだ
総務部長 そうだ! 我々管理部門でも何かできることはないのか?
経理部長 資金調達ができればいいのですが……
一同 資金調達……?

と、ちょうどそのとき、経理部長が、銀行から電話がかかってきたということで会議室を出ていきました。
 
そして、残された経営幹部が資金調達方法について議論を始めたのですが……。

社長 実は俺の息子がこの春からABC銀行に就職したんだ。うちはこれまでABC銀行とは取引がないから、これを機にABC銀行から資金を調達するというのはどうだろう?
営業部長 いや、社長、債務超過になると銀行が融資をしてくれないと言っていました。むしろ、私が取引先に行って仕入債務の免除を交渉してきましょうか?
社長 なるほど、そういう手もあるな
総務部長 社長。よく上場企業が債務超過に陥って、スポンサーを見つけて債務超過を解消したって話を聞きますが
社長 スポンサーか……。うちはテレビ局じゃないから、スポンサーを見つけても仕方ないんじゃないか?
 

質問

債務超過に陥ってしまった「パスタみろく」。債務超過を解消するために資金を調達しようとしていますが、誰から資金を集めれば良いのでしょうか?

▼あなたの思うパターンをクリック▼

パターン1

新規の銀行から資金を調達する。

パターン2

取引先に仕入債務の免除を交渉する。

パターン3

スポンサーを見つけて資金を調達する。

銀行から資金を調達できれば、資金ショートを免れる可能性がありますが、銀行から融資を受けても、それは貸借対照表の負債が増えるだけで債務超過は解消できません。他の資金調達を検討した方が良さそうです。
 

取引先に仕入債務を免除してもらえれば、確かに損益計算書の利益が増え、純資産は増加しますが、取引先との信頼関係に問題が生じ、継続的な取引が困難になる可能性があります。経理部長が言っていた資金調達は違う話のようです。

実は経理部長が考えていた資金調達はパターン3でした。スポンサーとは一体誰のことを言っているのでしょうか
 

若手経理部員に教えてもらった“スポンサー”の意味とは

経理部長が席を外したあと、経営幹部でしばらく資金調達方法について議論をしていましたが、やがて経理部の若手社員が会議室に入ってきました。

若手経理部員 失礼します。経理部長が、すぐに銀行に行かなければならなくなったので、会議を続けてください、とのことです
社長 そうか、分かった。ありがとう。あぁ、そうだちょうどいい。君に教えてもらいたいんだが、債務超過を解消するための資金調達方法だが、ABC銀行から融資を受けるっていうのはどうなんだろう? 債務超過の解消には役立つかな?
若手経理部員 えっ、社長、債務超過の状態で融資を受けても負債が増えるだけですから、債務超過は解消できませんが……
社長 何だ、銀行から資金調達してもダメなのか
営業部長 それなら、取引先に仕入債務の免除をお願いするのはどうだろう?
若手経理部員 債務免除ですか? 確かに利益は増えますが……、債務超過の解消のための資金調達とは違うような気がしますが……
総務部長 もしかして、やっぱりスポンサーか?
若手経理部員 はい。普通はスポンサーを見つけて資金調達すると思います
社長 だが、うちはテレビ局じゃないぞ。スポンサーが付いてもテレビ番組なんて作れないじゃないか
若手経理部員 テレビ番組の提供をするスポンサーじゃなくて、出資してくれる人のことです。出資してもらえれば、それで貸借対照表の資本金が増えますから、債務超過を解消できるのです
一同 なるほど~

若手経理部員の説明によれば、スポンサーと呼ばれる新しい株主を見つけ、その株主に出資してもらうことで資本金が増え、それによってマイナスになった純資産がプラスに戻るというわけです。

    (債務超過の状態)

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    (スポンサーに3千万円を出資してもらった場合)
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      ※ 増資により資本金が3千万円増加している。

その後、経営幹部が知り合いや取引先を走り回ってスポンサーを探したところ、ホテルやレストランに音楽家を派遣している会社が、パスタみろくの店舗の大きさに目を付け、出資に応じてくれることになりました。
 
増資後、パスタみろくでは、広い店内に演奏スペースを作り、そこでスポンサーの抱える音楽家に演奏してもらうことにしました。こうしてスポンサーとのシナジー効果を活かしながら、少しずつ売上を増やしていったのです。

ワンポイント解説「スポンサー」債務超過などに陥った会社の出資に応じてくれる新しい出資者のことをスポンサーなどと言います。スポンサーが出資することで純資産の内訳にある資本金が増加し、それによって債務超過が解消できます。
スポンサーにとっては、債務超過の会社に出資するのは大変なリスクがあります。そこでスポンサーの出資の判断においては、どのようなシナジー効果(相乗効果)があるかがポイントになることがあります。
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