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卸売業

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2017/04/13

質問

支店を訪問したところ、半年前に購入したはずの高額のコピー機がなくなっていることに気付いた経営者。あなたが経営者なら次のうちどの行動をとりますか?

パターン1

現物がなくならないように事務所の施錠を徹底させる。
 

パターン2

高額な資産を移動したら、その所在を管理責任者に報告することを徹底させる。

パターン3

高額な資産は購入時や期末時などに現物の確認を行うよう徹底させる。

この質問をイメージして以下のストーリーをお読みください。
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高額な最新コピー機が活躍している福岡支店

「みろく商事」は、各種オフィス用品の専門商社です。社員数は50名程度と少ないものの、大阪本社のほか国内に3つの支店を設けています。社長が、総合商社での数年間のサラリーマン経験を経て創業した会社です。まだ30代前半と若い社長を年配の幹部社員たちが支えています。
 
社長が出張のついでに福岡支店の様子を見に立ち寄りました。数名の社員が忙しそうに働いています。1年前に起きたある事件を受けて改革が進み、支店内は活気に満ちているようです。社員の一人が最新のコピー機で資料をプリントアウトし、営業会議の準備をしています。その間も電話が鳴り続け、社員の大きなお礼の声が響いています。
 
それでは、1年前、福岡支店で何が起きたのか、ちょっとその頃の様子をのぞいてみましょう。

1年前 ~購入したはずの最新コピー機が見当たらない!?

それは社長が福岡支店を訪問したときのことでした。この日、社長は九州出張にあわせて突然、早朝から福岡支店を訪問しました。支店長が何やら妙に困った顔をしているのが気になりました。
 
やがて支店長が外出し、静かになった支店で、社長がある資料をコピーしようとしたときのことです。

社長 あれっ、このコピー機は随分古いな。待てよ。確か少し前に、営業用資料のプリントアウトのために、最新のコピー機を買いたいという稟議(りんぎ)書を見た気がするぞ
支店の総務担当 えっ、コピー機は福岡支店ができた2年前から、ずっとこの中古品を使っていますが……
社長 確かに稟議書にハンコを押した記憶があるぞ。あまりに高額だから驚いたのを覚えている
社長は自分がコピーしようとした資料が紙詰まりを起こしてしまい、アルバイトの男の子が修理してくれている姿を見ながら自問自答しました。
社長の心の声 <どういうことだ? 最新のコピー機はどこに行ったんだ? 倉庫か? まさか盗まれたのか?>

質問

支店を訪問したところ、半年前に購入したはずの高額のコピー機がなくなっていることに気付いた経営者。あなたが経営者なら次のうちどの行動をとりますか?

▼あなたの思うパターンをクリック▼

パターン1

現物がなくならないように事務所の施錠を徹底させる。
 

パターン2

高額な資産を移動したら、その所在を管理責任者に報告することを徹底させる。

パターン3

高額な資産は購入時や期末時などに現物の確認を行うよう徹底させる。

買ったコピー機が盗まれたのなら、事務所の施錠を徹底させるなど、防犯対策を強化する必要があるでしょう。しかし、今回のケースでは、支店内で騒ぎになっていないことからも分かるように、盗まれたわけではなさそうです。別の理由を考える必要がありそうです。

高額な資産を移動したのであれば、移動した人には資産の所在を管理責任者に報告させて、管理責任者が資産の所在を把握できるようにしておく必要があります。しかし、今回のケースでは支店の総務担当がそもそも資産を購入したことを知らなかったように、誰かがコピー機を移動させたわけではなさそうです。別の理由を考える必要がありそうです。

実は社長が行ったことはパターン3でした。社長は、重要な資産については、購入時や期末時などにその現物を実査するよう全社に指示をだしました。さて、社長が気付いたこととは何だったのでしょうか……

支店長が欲しかったのはコピー機ではなかった!

翌日本社での会議が控えていたため、この日社長は疑問に感じつつも、すぐに福岡支店をあとにしました。そして翌日、社長が本社で仕事をしていると、近くで年配の経理部長が女性社員にこぼしている声が聞こえてきました。

経理部長 いや~、まいったよ。うちの大学生の息子がね、3カ月前に就職活動用のスーツが欲しいって言うんでお金を渡したんだよ
女性部員 この前、大学に入学したと思ったらもう就職活動ですか、早いものですね~
経理部長 ところがね、昨日、息子がまたスーツを欲しいって言いだしたんだ。で、よくよく聞き出したら、3カ月前に渡したお金は友達との旅行に使っちゃったって言うんだよ
女性部員 ありがちな話ですね~。部長、絶対怒っちゃだめですよ~
経理部長 分かってるよ。私もぐっとこらえてね、お金を渡しながら言ったんだよ。今度は買ったスーツの実査をするぞ、ってね
女性部員 えっ? 実査って、金庫の現金を数えることじゃないんですか?
経理部長 実査をするのは現金だけじゃないんだよ。絵画やコピー機など会社にある高額な固定資産は期末時にちゃんと実査するべきなんだよ。うちの会社もそろそろ固定資産の実査をやるべき規模になってきたね
社長は経理部長の話を聞き、分かった気がしました。
社長の心の声 <経理部長の息子と同じで、福岡支店ではコピー機をそもそも買っていなかったのかもしれない。では、支店長はコピー機のお金をどうしたんだ?>

社長はすぐに経理部長に福岡支店のコピー機の話をし、調査を依頼しました。その翌日、経理部長から報告がありました。

経理部長 どうやら、社長の想像のとおり、半年前にコピー機は購入されていなかったようです。本社に送られてきた納品書は、よくできたコピーで、偽造されたものでした
社長 やっぱりそうでしたか。では、そのコピー機の代金は支店長が盗んだってことですか?
経理部長 実は、福岡支社は、前期末ぎりぎりの売上で、年間の売上予算を達成したんです
社長 ひょっとして、架空売上で売上予算を達成して、その後、コピー機の代金で補てんしたってことですか
経理部長 そのようです。コピー機の代金を福岡支店の口座に送金した直後に、その分の売上代金が入金になっているのです
社長 そういうことですか……
経理部長 福岡支店長の処分はどうしますか?
社長 もちろんそれについてもしっかり考えないといけないんですが、経理部長にはまずは不正が起こらない仕組み作りをしてほしいのです。先日、経理部長が言っていた、資産の実査もはじめましょう。高額な資産を購入したときには、その資産の現物を確認することが必要ですね
経理部長 承知しました。高額な資産を購入したときは、購入時や期末時などに、経理部のメンバーなどが現物の実査をするようにします。それから、稟議書通りに支出を行ったことを本社に報告する仕組みも必要かもしれませんね
結局、福岡支店長は降格となり、他の支店に異動になりましたが、今では心を入れ替えて業務に励んでいます。

会社の規模が大きくなる中で、資産の購入資金を裏金として蓄え、不正な目的に利用されることがあります。特に支店のように、本社の目が届かない地域では留意が必要で、不正が起こりづらい仕組みを作る必要があるのです。
 
【ワンポイント解説】
「固定資産の実査」
機械や備品、絵画などの固定資産に関して、固定資産台帳と現物を照合し、その実在性を確認することを言います。実査により、決算数値の正確性が確保されると同時に、資産の盗難や紛失を防止・発見するのにも役立ちます。
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