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2018/02/13

質問

ある大手優良企業から、あなたの会社を高値で買収するので、機密情報を開示してほしいと言われたとき、あなたが経営者ならどのように対応しますか?

パターン1

相手が大手優良企業なので、信頼して機密情報を開示する。

パターン2

技術の核心的な機密情報は買収の基本合意の締結まで開示しない。

パターン3

守秘義務契約を締結したうえで、機密情報を開示する。

この質問をイメージして以下のストーリーをお読みください。
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大手優良企業の傘下で急成長をはじめたメーカー

「MJS精密」は、1年前にある大手優良企業に買収されました。買収を機に、オーナー社長は引退し、今は古くからMJS精密を支えてきた役員が社長となっています。また買収後は、親会社となった大手優良企業の営業部隊が積極的な販売活動を展開したことで、MJS精密の業績は急成長をはじめました。

買収されることになったとき、不安を隠せなかったMJS精密の社員も、今では買収されて良かったと喜んでいます。
 
しかし1年前に、大手優良企業がMJS精密に買収の話をもってきたとき、今はもう引退した、MJS精密の社長は大慌てでした。

1年前 ~高値で買収したいので、機密情報を開示してください!

MJS精密は、従業員数20名の小規模なメーカーです。創業社長を中心に発明した特殊な技術があるおかげで、創業以来、毎期黒字額を増やし続けています。従業員の給料も比較的高く、皆満足して働いています。

しかし、来年70歳になる社長は、がむしゃらに働く人生は終わりにして、奥さんと一緒に楽しい老後を送りたいと、引退も考えるようになっていました。
 
ちょうどその頃です。誰もが知るある大手優良企業の役員が、突然社長のもとを訪問してきました。

社長 一体、大企業の役員の方が、当社のような中小企業に何の御用でしょうか……
大企業の役員 実は、以前より御社の技術には大変注目していたのですが、社長がそろそろ引退を考えているといううわさを聞きまして
社長 そんな話をどこから聞かれたんですか?
大企業の役員 それで、御社をわれわれのグループ会社にさせていただきたいと思って今日はお伺いしたのです
社長 なるほど。うちを買収したいということですか
大企業の役員 ええ。買収金額はこれぐらいで……
そう言いながら、その役員は手元のノートを社長にそっと見せました。
社長 えっ、そんなに!!!
大企業の役員 そうです。御社の技術にはそれくらいの価値があると見込んでいます。ただ、そのためには先に御社の特殊技術を精査させていただく必要があります
社長 機密情報を出せってことですか?
大企業の役員 そうです。でもご安心ください。われわれが御社をグループ会社にという方針は社内ではほぼ既定路線です。あとから“やっぱりやめる”、なんてことは言いませんから
社長は、買収金額に腰を抜かしそうになりながらも、機密情報の開示要求にどう対応したものか悩みつつ、ひとまずは冷静をよそおい、後日連絡することを約束しました。
 

質問

ある大手優良企業から、あなたの会社を高値で買収するので、機密情報を開示してほしいと言われたとき、あなたが経営者ならどのように対応しますか?

▼あなたの思うパターンをクリック▼

パターン1

相手が大手優良企業なので、信頼して機密情報を開示する。

パターン2

技術の核心的な機密情報は買収の基本合意の締結まで開示しない。

パターン3

守秘義務契約を締結したうえで、機密情報を開示する。

大手優良企業が必ずしも誠実であるとは限りません。機密情報を奪われて、買収してもらえなければ、会社の存続にかかわります。機密情報の提供には慎重に臨むべきでしょう。

実は社長が行ったことはパターン2でした。社長は、なぜ買収の基本合意まで情報の提供を行わなかったのでしょうか……
 

守秘義務契約を締結したうえで機密情報を提供する方法もありますが、守秘義務契約がしっかり守られるとは限りません。情報が利用されてしまったら泣き寝入りするだけになりかねません。重要な情報の提供タイミングは慎重に見計らうことが必要です。

中学生の孫娘が親友に裏切られた!?

その日、社長が機密情報を出すべきか、出さざるべきか、思い悩みながら帰宅すると、リビングから中学生の孫娘の大きな泣き声が聞こえてきました。

社長 そんな大きな声で泣いたりして、一体何があったんだい?
孫娘 おじいちゃん、聞いてよ! 私、ずっと好きだった男の子を親友のM子にとられちゃったのよ……
社長 そう言えば、バレンタインデーに好きな男の子に告白するって言ってたな~。しかし、よりによって親友にとられるとは、一体何があったんだい?
孫娘 実はね、告白する前に、相手がどう思ってるか知りたいと思って、親友のM子にお願いして、私のことをどう思ってるか聞いてもらったの
社長 なるほど。ありがちな話だな
孫娘 そうしたら、間を取り持ってもらっているうちにその2人が親密になっちゃって……。それでM子は付き合うことにしたっていうの! ひどいと思わない?
社長は、泣きじゃくる孫娘をふびんに思いながら、ふと思いました。
社長 <待てよ。確かに、約束なんて破られるものだ。それで被害を受けても泣き寝入りするしかない……。ちゃんと専門家に知恵をもらったほうが良さそうだな>

次の日、社長は以前から付き合いのあったM&A(企業の合併・買収)のコンサルティング会社に電話で相談したあと、そのまま例の大企業の役員に電話をかけました。

社長 昨日の“買収と情報開示”のお話ですが、買収はぜひとも前向きにご検討いただきたい。われわれが協力すべきことは何でも協力しますから
大企業の役員 そうですか。ありがとうございます。それでは機密情報の開示も大丈夫ですね
社長 いえ。まず守秘義務契約を結んだあとで、特殊技術の大まかな概要だけ開示しますが、核心的な部分は買収の基本合意契約を締結するまで待ってください
大企業の役員 しかし、技術の核心部分が分からなければ、われわれは買収の意思決定ができません
社長 ですから、基本合意契約を結んで、技術の核心部分をご覧いただいたあとに、最終契約を結ぶということでどうでしょうか
大企業の役員 なるほど。われわれが機密情報だけ入手して逃げる可能性があるから、基本合意契約でわれわれの本気度を見たいというわけですね。ちょっと持ち帰らせていただけますか

後日、大企業の役員から連絡があり、社長の要望通りの方向で進めることとなりました。

【ワンポイント解説】
「守秘義務契約」
守秘義務契約は、通常の取引のほか、会社売買の際も締結されます。会社売買における守秘義務契約では、対象会社に関する情報や買収交渉が行われている事実などを買い手が第三者に開示・漏えいしないことなどを規定します。さらに買収交渉が進展すると、買収の基本的な条件やスケジュールの概略などについて基本合意が締結され、多くの場合この時点で買収が公表されます。
買収交渉の初期段階では、まだ会社の買収が不成立となる可能性もありますから、守秘義務契約を結んだとしても、重要な情報を提供するときには十分注意するべきです。
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