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2019/01/23

質問

経営方針の転換により、今後は比較的規模が大きく、現場ごとに内容も異なる案件の受注が増えていくと想定される「ミロク・リフォーム」。採算管理のやり方も気になっています。あなたが経営者なら次のうちどの方法をとりますか?

パターン1

決算時に、案件ごとに原価を集計する。

パターン2

発生する都度、案件ごとに原価を集計する。
 

パターン3

費目ごとに予算を設定する。

この質問をイメージして以下のストーリーをお読みください。
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しっかりと採算を確保できている業者

住宅のリフォーム業者である「ミロク・リフォーム」。最近は、より住みよい空間を企画・提案・施工する案件の受注が順調に伸びるとともに、しっかりと採算も確保できているようです。

しかし、2年前のミロク・リフォームは様子が違いました。多様化するお客様の要望に対応して受注を増やそうとしていたのですが、採算管理のやり方については不安を抱えていたのです。ちょっとその頃の様子を見てみましょう。

2年前 ~経営方針の転換。採算管理のやり方は……

当時のミロク・リフォームが請け負っていたのは、床や壁など内装部分のリフォームがほとんどでした。老朽化した部分を元の新しい状態にするもので、同種の案件を多数請け負うことで効率化を図り採算を確保していました。しかし、お客様の要望が多様化する中、定型的な案件ばかりをこなしていてもいずれ立ち行かなくなると、社長は強い危機感を持っていました。

そこで、定型的な案件が中心の業者から、より住みよい空間を企画・提案・施工する業者へと転換していくべく、経営方針の見直しをすることにしたのです。

その後検討を進めていった結果、転換には大きな苦労が伴ったものの、近隣のタワーマンションがリフォーム時期を迎えていたこともあり、お客様からの多様な要望に応えられるようにすることで、多くの案件を受注できる目途がつきました。

ところで、ミロク・リフォームでは従来、小規模の同種案件を多数請け負っている状況で、全体でザックリと採算をつかんでいる程度でした。材料費については、期首の材料残高に期中の材料仕入高を足し、期末の材料残高を差し引いて期中の材料費合計を出すだけ、労務費については、各社員の給料などの合計を費用計上するだけといった具合です。

ところが、このときの経営方針の転換により、今後は、現場ごとに内容も異なり比較的規模も大きい案件の受注が増えていく見込みです。そのため、合計額で採算を管理する方法を続けていたら、案件次第で採算が大きくくるってしまうのではないかと、社長は悩み始めていたのです。

質問

経営方針の転換により、今後は比較的規模が大きく、現場ごとに内容も異なる案件の受注が増えていくと想定される「ミロク・リフォーム」。採算管理のやり方も気になっています。あなたが経営者なら次のうちどの方法をとりますか?

▼あなたの思うパターンをクリック▼

パターン1

決算時に、案件ごとに原価を集計する。

パターン2

発生する都度、案件ごとに原価を集計する。

パターン3

費目ごとに予算を設定する。

確かにこの方法なら、案件ごとの採算をつかむことができそうです。ただし、年度決算時だけ実績原価をつかんでも手遅れで、改善策を打つことができません。また、今後は比較的規模の大きく、現場ごとに内容も異なる案件が増えていくと、決算時に別途集計作業をするのはかえって煩雑となりそうです。

ミロク・リフォームの社長が選択したのはパターン2でした。今後は比較的規模が大きく、現場ごとに内容も異なる案件が増えていくと想定される中で、この方法がよいと判断したのです。なぜこの方法がよいと判断したのでしょうか……

確かにこの方法なら、予算内に費用の発生を収めるように管理することもできるかもしれません。しかし、比較的規模が大きく、現場ごとに内容も異なる案件が多い状況では、案件次第で費用発生額が大きく異なるため、材料費や労務費などの費目ごとに総額で管理するのでは、適切に採算を管理できそうもありません。

あのチョコレート、もうなくなっちゃったの?

社長が悩んでいたころのある日のことです。社長が家に帰ると、ちょうど3人の娘たちがケンカしていたのです。

次女 ここに置いてあったチョコレート、私が食べないうちにもうなくなってる。10個入りだったから3個は食べられるはずだったのに! もう、お姉ちゃん?
長女 違うわよ。私はダイエット中! まぁ1個だけ味見はしたけどね
次女 じゃあ、あんたが食べたんでしょ
三女 あたし、食べてないよ
次女 ウソばっかり。口の周りにチョコが付いてるじゃない
三女 えっ、……。でも少ししか食べてないもん!
次女 少しっていくつよ
三女 数えてないけど、少しだけ!
次女 じゃあ、もうなくなってるのっておかしいじゃない!

そのとき、3人の娘たちの近くできまり悪そうにしていたのは、母親だったのですが……。

そんな光景を目にした社長。

社長の心の声 <食べたのはあいつだな、まったく。分からないのをいいことに、食べ過ぎだろ。ん……待てよ。これって材料だって同じことじゃないのか?>

このときのミロク・リフォームはまさに、材料などを誰が(=どの案件で)使ったのかが分からない状態だったと言えます。これではムダに原価がかかっても気付きません。このまま多様で規模が大きめの案件を請け負うようになっていったら大変なことになりそうです。

これをきっかけにいろいろと検討してみると、材料などを誰が(=どの案件で)使ったのかをつかめる方法があることが分かってきました。

さらに検討を進めた結果、ミロク・リフォームでは、タイムリーに現場ごとの原価をつかめるようにすることにしました。そのために、案件ごとに原価を集計できる会計ソフトを活用し、原価が発生した段階で個別の案件番号別に原価を計上するようにしたのです。つまり、案件別の原価計算をすることにしたのです。

例えば、案件ごとの材料費をつかむために、特定の案件のために調達した材料についてはその案件番号にかかる材料費として計上するようにしました。一方、いろいろな案件に共通して使える材料については、実際に特定の案件のために使用したときに当該案件番号にかかる材料費として計上するようにしました。

また、案件ごとの労務費をつかむために、各社員が毎日、作業時間報告書で案件番号別に実際の作業時間を記録し、作業時間に応じて案件ごとの労務費を計上するようにしました。

この方法なら、案件ごとにタイムリーに実際にかかっている原価を把握することができるので、案件の進行途中で原価の発生状況をチェックし、原価がかかり過ぎないように対策を打つこともできるようになりました。それだけではありません。実際に原価がどのくらいかかるかが分かってきたことで、受注段階でも精度の高い原価の見積もりができるようになったのです。その結果、不採算であることに気付かずに案件を受注してしまうといったことも避けることができるようになりました。

これは住宅リフォーム業者が取り組んだ、「採算管理」のリフォームだったのです。

【ワンポイント解説】
「原価計算」
原価計算とは、製品を製造したり、サービスを提供したりするに当たってかかる原価を計算することを言います。原価計算は、財務諸表作成のためだけでなく、原価発生の管理、採算の管理や売価の決定などのためにも重要で、個別原価計算・総合原価計算などさまざまな計算方法があります。
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