導入事例

浅野会計事務所 

2014年7月16日

浅野会計事務所 様

浅野会計事務所(岐阜県岐阜市)は、開業から38年の歴史を持つ会計事務所である。税理士、公認会計士、CFPなど複数の有資格者を抱え、税務はもちろん、建設業許可申請等の手続き代行業務から、決算対策、経営計画、人材分析など、幅広い顧客ニーズに応えている。所長の浅野隆士先生(写真)は、実体験に裏打ちされた経営指導で顧問先の信頼を集める一方で、名古屋税理士会の会務にも積極的に携わり、会計業界の発展に尽くしてきた。今回の取材では、浅野先生に顧問先支援の姿勢についてお話を伺った。

自らの経験を経営支援に生かす

―― はじめに、浅野会計事務所の足跡を振り返っていただけますでしょうか。

浅野  当事務所は、父が昭和50年に開業しました。私は昭和59年に入所し、翌年税理士資格を取り登録しました。
現在のビルに事務所を移転したのは平成4年です。移転計画を立てたころはバブルの影響で求人難だったので、人材確保のために快適な職場環境を用意しようと、自社ビル建設を決断したのです。移転後は、父と私がそれぞれ個別に活動するような形になりましたが、後に父が引退する際、顧客を引き継ぐ形で事務所を統合しました。
自社ビルを建設し、土地や建物などの経営資源の総合的管理・活用、いわゆるファシリティ・マネジメントを経験したことは、中小企業経営者に経営アドバイスをする際に、大変役に立ちました。

―― ファシリティ・マネジメントは経験してみないと分からないことが多いですね。

浅野  そうですね。昔からいわれる「勘定合って銭足らず」、すなわち「利益とキャッシュフローの違い」は、理論では頭に入っていましたが、肌で感じたのは自社ビルを建てたときが初めてでした。
私はお客様に経営指導をする際には、こうした実体験を交えてお伝えするように努めています。キャッシュフロー経営を指導する際、自社ビル建設はとてもよい事例といえます。

―― 実体験を交えた経営指導をされているということですね。顧問先の経営者にとっては理解しやすいでしょうね。

浅野 ありがとうございます。お客様の期待に応えようとするうちに、必然的にそうなりました。
当事務所では、会社の経営・会計・税務・資金繰りなどの相談はもちろん、会社設立登記から建設業許可申請等の手続き代行業務、そして経営の道筋を立てる経営計画にも力を入れています。社長にとって身近な専門家として、最良のサービスを提供することが我々のモットーです。

―― 顧問先の多様なニーズに応えるためには、外部との連携も必要なのではありませんか。

浅野 弁護士、司法書士といった他の士業の皆さんとネットワークをつくり、さまざまなご相談に対応できるようにしています。
例えば、中小企業支援で助成金や補助金に関するアドバイスをする場合、この分野を得意とする社労士さんに、ブレーンとして知恵をお借りします。その場合も、対応を投げるのではなく、会計事務所が窓口となってお客様のニーズに応えることが大事だと思います。

―― いわゆるワンストップ型ですね。どのようにネットワークづくりをされているのですか。

浅野 特に意識したことはありません。業務をこなすうえで弁護士さんや社労士さんなどとお付き合いするうちに、自然とネットワークが形成されていきました。
そのほかに、社内研修の講師としてお招きすることもよくあります。社内研修で職員のスキルを高め、お客様のニーズになるべく所内で対応できるように努めています。

―― どういったテーマで社内研修を実施されているのですか。

浅野 例えば、企業のリスクマネジメントとしての保険の活用です。保険会社任せにするのではなく、自分たちも保険商品などの知識をしっかり身に付けることで、優遇税制、生命保険などを利用した将来のリスク回避対策の提案や、短期、中期計画に基づく経営計画や資金繰りにつながっていきます。
リスクマネジメントの原則は「いいときに蓄える」でしょう。経営には波がありますから、そこを適切に見極め、財務諸表から見通しを立てながら、社長さんにアドバイスしなければなりません。

―― 確かに、決算対策として退職金積み立てをしていたのに、かえって損をするケースはよく聞きます。

浅野 臨機応変の対応が大事です。保険に加入するのはあくまで企業を守るためで、保険会社のためではありません。そのスタンスを、常に保つ必要があります。
お客様の存続が我々の存続に深く結びついているのですから、会計事務所としてはお客様の視点で考えることを徹底するべきです。

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会計システムを活用した 基盤づくり

―― 次に、事務所の成長戦略について伺います。

浅野 お客様のことを考えると、単純に職員が増えればよいわけではありません。当事務所の規模でいうと、所長が全体を見渡せるかどうかがひとつの物差しになるでしょう。そこを超えてまで拡大し、お客様に迷惑をかけてしまうのでは本末転倒です。質を維持しつつ、顧客拡大とスタッフの増員を考えるべきだと思います。

―― そうなると、業務の効率化も重要になってきますね。

浅野 仰るとおりです。そのために、効率性の高い業務システムが不可欠です。会計事務所だけでなく、お客様の中小企業にも使いやすくなければなりません。
この条件を満たすシステムとして、当事務所は株式会社ミロク情報サービス(以下MJS)の会計システムを活用しています。制度会計・管理会計などのオプションが多彩で、資金繰りやキャッシュフロー計算書等、経営指導に使える会計情報を迅速にとらえることができます。それでいて、初期導入だけでなく、税法改正の更新料も低コストですから、大変重宝しています。

―― 浅野先生は、MJSを活用する会計人の組織である中部ミロク会計人会岐阜地区会の会長を務めておられますね。

浅野 MJSを導入している会計人で組織された全国的な組織があると聞いて、ぜひ参加させていただきたいと思いました。私はこうした活動には積極的に関わるようにしています。組織に参加すれば、人との出会いがあります。人との出会いこそが仕事や人生を豊かにします。
実際、中部ミロク会計人会や、ミロク会計人会連合会では、たくさんの優れた先生にお会いし、多くのことを学んでいます。

職員の育成に注力

―― 成長戦略の一環として税理士法人化をお考えですか。

浅野 法人化するとすれば、他の税理士法人で修業中の、会計士の息子が戻ってくるタイミングでしょうか。
いずれにしても、成長を目指すうえで人材の確保と育成は必要です。事務所の良否を判断するのはお客様ですから、直接お客様に接する担当者のレベルアップは永遠の課題と考えています。
現在、税理士が2人、税理士科目試験合格者と公認会計士試験合格者、CFPがそれぞれ1人、AFPが2人います。これらの職員のスキルを高め、お客様満足度を上げることを常に考えています。

―― 資格を持つ職員が多いようですね。先ほども社内研修会のお話が出ましたが、人材育成に力を入れてみえる成果ですね。

浅野 ありがとうございます。職員が勉強できる環境づくりには気を配っているつもりです。また、資格の勉強だけでなく、お客様とお会いするときに役立つ知識の習得にも努めています。例えば社会保険、経営計画、事業承継などですね。いずれも、基本となるのは知識です。
例えば、当事務所でも年間10件ほど扱う相続税の申告なら、法人と個人双方の側面を理解していなければなりません。自社株をどう評価するかで税額が変わりますし、自社株を誰が買い取れば経営が安定するのかという話にもなるため、専門知識が必要です。
こうした知識を身につける場として、先ほどもお話しした社内研修会を開いているほか、ミロク会計人会連合会の研修会やセミナーなどにもどんどん参加してもらっています。こちらのセミナーはシンクタンクMJS税経システム研究所の先生など、高度な専門知識をお持ちの方が講壇に立たれますので、大いに活用させていただいています。

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人を大事にする経営

―― 職員のモチベーションアップのために取り組まれていることはありますか。

浅野 私が感銘を受けた書物は全職員に読ませ、感想文も書かせています。
例えば、先日読んだ『なぜかすべてうまくいく1%の人だけが実行している45の習慣』(PHP文庫)で挙げられている、「時間は有限だということを強く意識する」「すぐやろうと決めてすぐ行動する」といった45項目のうち、いくつぐらい職員が実践しているかを聞いて、「できるだけやってみよう」とハッパをかけました。
この本に限らず、啓蒙書に共通しているのは「よい習慣をつけなさい」ということです。それを職員に浸透させるため、本をきっかけにするなどして、モチベーションアップを図っています。
仕事以外の面でも、毎年の海外旅行、勉強会や親睦会などで見聞を広められるよう、職員には常に働きかけています。ゴルフ大会も開いているのですが、これはお客様同士で交流を深めていただくと同時に、会計事務所とお客様との距離を縮めることも目的としています。
また、生命保険会社、銀行、証券会社の方々をご招待する忘年会は、職員にとって大手金融機関の役員クラスの方と接する格好の機会になります。仕事を離れていろいろな話を聞き、文化の違いを感じることは、職員のレベルアップにつながるはずです。

―― 浅野先生が、事務所経営において特に重視されているのはどのようなことでしょうか。

浅野 月並みかもしれませんが、人を大事にすることです。これは職員だけでなく、お客様に対しても同じです。お客様からの頂き物を社内で配るとき、必ず贈り主の名前を伝えます。すると、電話応対の際に「ごちそうさまでした」という一言も自然に出てくる。これだけで、相手の印象は全く違ってきます。

魅力ある業界になろう

―― 最後に、弊誌の読者である会計人の皆様に向けてメッセージをお願いします。

浅野 何よりもまず、「魅力ある業界になりましょう」と訴えたいですね。そのためには、会計業界で働く全員が、お客様から感謝されることを目指して自己研鑽すべきです。お客様からの感謝こそ、自分の仕事への満足度とモチベーションを上げる最大の要因です。お客様に感謝される人が増えれば、会計業界は発展していくでしょう。
私はスタッフに、「行列ができる会計事務所」にしようと言っています。一見難しそうですが、お客様に感謝されたいという気持ちがあれば不可能ではありません。
皆で助け合い、切磋琢磨して事務所全体、さらには会計業界全体を盛り上げていきたいですね。
もうひとつ、業界発展のためには、税理士会の会務への協力が不可欠です。税理士会があるから安心して事務所を経営できることを忘れてはいけません。事務所の経営も大事ですが、ぜひ会務にも積極的に関わっていただきたいと思います。
会務に励めば、すばらしい先生と出会う機会が増えます。多少時間は取られるかもしれませんが、得るものも大いにあります。

―― 本日は、貴重なお話をありがとうございました。浅野会計事務所のさらなるご発展を祈念しています。

導入事務所様のご紹介

浅野 隆士(あさの・たかし)

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浅野会計事務所所長。税理士。学習院大学経済学部卒。名古屋税理士会常務理事、名古屋税理士会岐阜南支部支部長、全国青年税理士連盟理事、岐阜県青年税理士連盟会長、中部ミロク会計人会岐阜地区会会長、全国高等学校PTA連合会理事、岐阜県高等学校PTA連合会会長、中部学院短期大学商学部講師などを歴任。

浅野会計事務所

所在地 岐阜県岐阜市西川手7-20
代表者 浅野隆士
設立 昭和50年
職員数 10名
得意分野 建設業、製造業、小売・卸売業、サービス業、農業、医業・歯科業、個人事業主・SOHO等
URL http://www.asano-taxoffice.jp/
  • 本事例の掲載内容は取材当時のものです。

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