なぜ貸借対照表の左と右は同額になるんだ? 社長の質問にどう答える?

2022年3月13日

小売業

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2021年06月23日

質問

社長が、「貸借対照表の左と右の合計額が一致するなんて奇跡だ!」と言っています。さて、あなたなら、次のうちどのような回答をしますか?

パターン1

本当に、すごい奇跡ですね。

パターン2

実は、同額になるように調整したのです。

パターン3

左と右の合計金額は必ず一致するのです。

この質問をイメージして以下のストーリーをお読みください。
貸借対照表
電卓

貸借対照表をすらすら読める社長

「みろく商事」は、地元ではそこそこの規模の中堅企業です。今のA社長が先代の社長を継いで数年が経ちます。

A社長は、大学卒業後、技術者として大手企業で働いていたため、経営や会計には全く興味がなかったのですが、今やすっかり経営と会計が大好きになってしまいました。

A社長 経理部長、今月の貸借対照表のこの勘定科目が随分と金額が多いがなぜだ?
経理部長 あぁ、それは……、ちょっと調べてきますのでお待ちください

今でこそ貸借対照表を抵抗感なく読めるA社長ですが、3年ほど前は貸借対照表を見るのも嫌だったのです。

3年前 ~貸借対照表の左と右の合計額が一致するなんて、奇跡だ!

3年前のこと。A社長が先代の社長が体調を崩したことをきっかけに、みろく商事の社長に就任したばかりの頃のことです。

経理部長 A社長。先月の損益計算書と貸借対照表をお持ちしました
A社長 ありがとう。損益計算書は前職でも見ることがあったから、読めるけど、貸借対照表はどうも好きになれないな~
経理部長 そうおっしゃらずに、貸借対照表も重要な情報ですから是非勉強してください
A社長 分かった、分かった。あっ、すごいぞ! 先月は貸借対照表の左側の資産合計と、右側の負債・純資産合計が一致している。すごい! 奇跡じゃないかっ!
経理部長 ……

質問

社長が、「貸借対照表の左と右の合計額が一致するなんて奇跡だ!」と言っています。さて、あなたなら、次のうちどのような回答をしますか?

▼あなたの思うパターンをクリック▼

パターン1

本当に、すごい奇跡ですね。

パターン2

実は、同額になるように調整したのです。

パターン3

左と右の合計金額は必ず一致するのです。

確かに、貸借対照表の左と右の合計金額が一致するのは奇跡のように思えますが、実は必ず一致するのです。それはなぜでしょうか。

確かに、貸借対照表の左と右の合計金額が一致するのは、経理部で何か調整したようにも思えますが、実は調整などしなくても必ず一致するのです。それはなぜでしょうか。

実は、貸借対照表の左と右は必ず一致するのです。その理由はなぜでしょうか……


新会社を設立したら気づいた!

A社長が経理部長に、「貸借対照表の左側の資産合計と、右側の負債・純資産合計が一致している。すごい! 奇跡じゃないかっ!」と言ったとき、経理部長は困ってしまいました。

経理部長の心の声 <まいったな~。貸借対照表の左と右は必ず一致するんだが、それをどうやって説明したらいいんだろう……。そうだ、来月設立する新会社で説明してみよう>

そう思った経理部長は言いました。

経理部長 A社長、貸借対照表の左と右は必ず一致するのです。それを、来月設立する新会社を例にご説明します

そして、紙に下のような貸借対照表を書いて話を続けました。

20220313_図表

経理部長 来月設立の新会社は、当社から50万円を出資し、銀行から150万円を借入れ、合計200万円を元手とします
A社長 ふむふむ。そうだったな
経理部長 そして、この新会社はその200万円から100万円を支払って、新製品を購入し在庫とします
A社長 ふむふむ。そうだったな。で?
経理部長 この時点での新会社の貸借対照表が上のとおりです
A社長 あっ、左と右の合計が一致してる。奇跡だ!
経理部長 いえ、奇跡ではないんです。左の資産を見てください。この会社は現預金100万円、商品100万円、合計200万円の資産を持っています
A社長 ふむふむ。それで?
経理部長 では、この資産合計200万円をどうやって集めたのかというと、今度は右の負債と純資産を見てください。銀行から150万円を借り、我々が50万円出資したのです
A社長 なになに? 分かったような気がするぞ
経理部長 つまり、貸借対照表の左は会社がどのような資産を持っているかを表しており、右はその資産を買う元手をどうやって集めたのかを表しているのです
A社長 だから、左と右は一致するのか……
経理部長 いわば、左と右は同じものを表と裏で見ただけなので一致するというわけです

A社長は、経理部長の説明を聞いて、貸借対照表がこれまでとは違って見えるようになってきました。

A社長の心の声 <何だか、貸借対照表を見るのが恐くなくなった気がするぞ。ちょっと会計の勉強もしてみるか>


ワンポイント解説

「貸借対照表の左と右」

貸借対照表の左側である「資産」は、会社が調達した資金が今どのように運用されているかを示し、一方、右側である「負債・純資産」はその資金をどのように調達したかを表しています。そのため、左と右の合計金額は常に一致するのです。

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