倒産注意の会社を見破る方法(1)! 流動資産が“あるもの”の2倍あるか?

2022年4月23日

小売業

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2021年06月23日

質問

営業部長が営業部の「みろく主任」に質問しています。B/SとP/Lから“倒産しそうな会社”を見破るためには、流動資産が“あるもの”の2倍以上あるかどうかを確認すると良い。その“あるもの”とは何でしょうか?

※流動資産とは、「営業にかかわる債権」や「1年以内に資金化される資産」等です。

パターン1

流動資産が「当期純利益」の2倍以上あるか確認する。

パターン2

流動資産が「資本金」の2倍以上あるか確認する。

パターン3

流動資産が「流動負債」の2倍以上あるか確認する。

この質問をイメージして以下のストーリーをお読みください。
貸借対照表
財布

営業部の若手に、決算書の読み方を指導する営業主任

ミロク商事の営業部の「みろく主任」が、若手の営業部員を前に与信管理のレクチャーをしています。

みろく主任 取引先から売上代金を回収するまでが営業です。だから、取引先が倒産することがないかをちゃんと分析できるようにならなければいけません
若手営業部員 営業社員は、B/SやP/Lを分析できなければいけないということですね
みろく主任 そのとおり! 今日は特別に、B/SとP/Lから、会社が倒産しそうかどうかをチェックする秘策を教えてあげよう
若手営業部員 えっ! 本当ですか!
みろく主任 まずはB/Sの流動資産に注目してだな……

みろく主任の指導ぶりを見ながら、営業部長が微笑んでいます。今でこそ、部下に財務的な安全性の分析を指導できるようになったみろく主任ですが、ほんの1年前は全くB/SとP/Lが読めなかったのです。

B/Sを見たら、まずは流動資産と“あるもの”を比べよ!

1年前のある日のこと。取引先のB/SとP/Lを見ながらうなっているみろく主任の横に、営業部長が近づいてきました。

みろく主任 う~ん……
営業部長 さっきから難しそうな顔をしているが、一体どうしたんだ?
みろく主任 実は、最近この取引先の業績が良くないようだって話を聞いたのです。でも、売上は下がりましたが、一応、利益は出ているんです。大丈夫な気がするな~
営業部長 どれどれ……。なるほど。確かにこの取引先はちょっと要注意かもしれないぞ
みろく主任 えっ、どうして分かるんですか?
営業部長 いいか、B/Sから安全性を分析するときは、まずB/Sの左側の資産の中に“流動資産”があるだろう?
みろく主任 はい。現金、預金、売掛金、商品、その他の資産ですね。合計2,000万円です
営業部長 その金額が、あるものの金額の2倍以上あるかどうかをチェックするんだ
みろく主任 えっ、あるものって?
営業部長 何だと思う?
みろく主任 全く分かりません
営業部長 だめだめ。君は全く考えようとしていないじゃないか。そうだな~。君は旅行に行くときに財布にいくらお金を入れておく?
みろく主任 へっ? まぁ、交通費と宿泊代と……
営業部長 まぁ、1日じっくり考えたまえ

質問

営業部長が営業部の「みろく主任」に質問しています。B/SとP/Lから“倒産しそうな会社”を見破るためには、流動資産が“あるもの”の2倍以上あるかどうかを確認すると良い。その“あるもの”とは何でしょうか?

※流動資産とは、「営業にかかわる債権」や「1年以内に資金化される資産」等です。

▼あなたの思うパターンをクリック▼

パターン1

流動資産が「当期純利益」の2倍以上あるか確認する。

パターン2

流動資産が「資本金」の2倍以上あるか確認する。

パターン3

流動資産が「流動負債」の2倍以上あるか確認する。

当期純利益の2倍以上の流動資産があれば、確かに手元の資金に余裕がありそうにも思えます。しかし、手元資金の十分性を確認するためには、利益ではなく、違うものと比較する方が良さそうです。

資本金の2倍以上の流動資産があれば、確かに手元の資金に余裕がありそうにも思えます。しかし、手元資金の十分性を確認するためには、資本金ではなく、違うものと比較する方が良さそうです。

実は営業部長の答えはパターン3でした。流動資産が流動負債の2倍以上あれば良いのはどうしてでしょうか……。

心配性の妻の財布の中身は意外と多かった!

部長から質問された翌日の土曜日。みろく主任は、妻と二人で熱海への一泊旅行のため新幹線に乗っていました。彼女はみろく主任とは会社の同期です。新卒研修で知り合ってそのまま結婚したのです。

すると、みろく主任が財布を忘れたことに気づきました。

みろく主任 しまった! 財布を忘れた! すぐに家に帰らないと!
そんなに慌てなくても大丈夫よ。ちゃんと私が財布を持ってきたから
みろく主任 でも、宿泊代や食事代を払えるほどお金持っているのかい?
大丈夫。今日は財布に10万円入れてあるから
みろく主任 えっ、なんでそんなにたくさんお金を持っているんだい?
私は心配性だから。旅行で5万円ぐらいは使うと思ったから、その2倍ぐらいは財布に入っていないと怖いのよ
みろく主任 なるほど。今回は君の心配性に助けられたな……
それより、あなたも私もそろそろ電子マネーにした方がいいかもしれないわね
みろく主任の心の声 <そうか。出ていくお金の2倍のお金が財布に入っていれば安心か……。もしかしたら、部長が言っていた話はこれかもしれないぞ……>

週明けの月曜日。みろく主任が営業部長に話しかけました。

みろく主任 部長。先週の質問の答えが分かりました!
営業部長 もう分かったか!
みろく主任 流動資産が、今後支払う金額の2倍以上あったら安全だってことではないでしょうか
営業部長 そのとおりだ。B/Sの負債に“流動負債”がある。これは1年以内に支払う金額だ。だから、流動資産が流動負債の2倍以上あった方がいいというわけだ
みろく主任 なるほど。流動資産と流動負債を比べるのですね
営業部長 流動資産を流動負債で割った比率のことを流動比率と言い、一般に200%以上が望ましいと言われるんだ


BS


ワンポイント解説

「流動比率」

「流動資産÷流動負債」より算出される財務的な安全性の指標であり、流動負債に対して流動資産が大きいほど資金繰りに余裕があると考えられます。一般に流動比率は200%以上が望ましいと言われます。すなわち流動資産が流動負債の2倍以上ある方が良いということです。
ただし、流動比率が高いとしても、流動資産の中の“あるもの”が多い場合には危険です。その“あるもの”は別途、「倒産注意の会社を見破る方法(その2)!」として掲載する予定です。

お知らせ

2022年5月3日号は、ゴールデンウィークの連休中のため休載とさせて頂きます。次号は2022年5月13日号となりますので、引き続きご愛顧くださいますようお願い申し上げます。

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