2026年10月に注意! インボイス制度の経過措置と2割特例、影響を数値例でチェック

2026年4月13日

質問

消費税の免税事業者である「MJS物産」の営業担当者が販売先から、「インボイス制度の経過措置がある今のうちはまだ影響が小さいが、これから先、インボイス制度への対応はどうする予定か。うちとしては、仕入税額控除が減っていくと困る」と言われました。販売先がこんなことを言ってくる理由はなんだと思いますか?

パターン1

今後、販売先(買手)が仕入税額控除を受けられる割合が下がっていくから。

パターン2

直ちに販売先(買手)は仕入税額控除を一切認められなくなるから。

パターン3

販売先(買手)には全く影響がないので、販売先が勘違いしているだけ。

この質問をイメージして以下のストーリーをお読みください。

インボイス
電卓

インボイス制度の経過措置 ~免税事業者からの仕入にかかる仕入税額控除

2023年10月から適用が始まったインボイス制度(適格請求書等保存方式)には経過措置が設けられていますが、2026年10月以降、段階的に経過措置による猶予がさらに縮小していきます。インボイス制度の経過措置期間中、並びに経過措置終了後、消費税の免税事業者からの仕入に対して買手が受けられる仕入税額控除はどうなるでしょうか?

(注)消費税の免税事業者
 基準期間(原則2年前)の課税売上高が1,000万円以下であることなどで、消費税の納税義務が免除される事業者をいいます。


社長

インボイス制度の経過措置のこともよく分からず対応を後回しにしてしまっていたが、なんとかうちも対応ができて良かった

卸売業を営む「MJS物産」では、今では経過措置による影響なども理解し、適切な対応がとられていますが、以前は経過措置のことが分かっておらず、困った状況に陥っていました。

インボイス制度の経過措置ってなんだ?

半年前、MJS物産の社内は何やらバタバタと慌ただしい雰囲気です。そこで社長は営業担当に聞きました。


社長

なんだなんだ。なぜこんなにバタバタしているんだ。何かあったのか?

実は販売先から、「インボイス制度の経過措置がある今のうちはまだ影響が小さいが、これから先、インボイス制度への対応はどうする予定か」と言われ、どういうことなのか、慌てて調べているところです。「仕入税額控除が減っていくことにもなるので気になっている」とも言われました……


営業担当


社長

インボイス制度の経過措置? そもそもうちは消費税の免税事業者なんだから、関係ないんじゃないの?

販売先が勘違いしているだけなのか、本当に影響があるのか……


営業担当

質問

消費税の免税事業者である「MJS物産」の営業担当者が販売先から、「インボイス制度の経過措置がある今のうちはまだ影響が小さいが、これから先、インボイス制度への対応はどうする予定か。うちとしては、仕入税額控除が減っていくと困る」と言われました。販売先がこんなことを言ってくる理由はなんだと思いますか?

▼あなたの思うパターンをクリック▼

パターン1

今後、販売先(買手)が仕入税額控除を受けられる割合が下がっていくから。

パターン2

直ちに販売先(買手)は仕入税額控除を一切認められなくなるから。

パターン3

販売先(買手)には全く影響がないので、販売先が勘違いしているだけ。

インボイス制度の経過措置期間中は、免税事業者からの仕入でも、2026年9月30日までは仕入消費税額の80%、その後2028年9月までは70%、2030年9月までは50%、2031年9月までは30%が認められます。しかし、経過措置が終了する2031年10月1日以降は控除が受けられなくなります。このため、販売先(買手)の消費税負担が大きくなっていくと想定されます。免税事業者はこれらを考慮の上、今後の対応を検討することが重要です。

インボイス制度の経過措置期間中は、免税事業者からの仕入に対する仕入税額控除が一部認められます。2026年9月30日までは仕入消費税額の80%、その後2028年9月までは70%、2030年9月までは50%、2031年9月までは30%と段階的に控除率が下がり、経過措置が終了する2031年10月1日以降は控除が受けられなくなります。

インボイス制度の経過措置期間中は、免税事業者からの仕入に対する仕入税額控除が一部認められます。2026年9月30日までは仕入消費税額の80%、その後2028年9月までは70%、2030年9月までは50%、2031年9月までは30%と段階的に控除率が下がり、経過措置が終了する2031年10月1日以降は控除が受けられなくなります。販売先(買手)は消費税の負担が増えるため、取引先としては対応状況を気にするのは当然です。

数値例でみる免税事業者からの仕入に関する経過措置(控除率の段階的縮小)

インボイス制度の経過措置への対応について、社長が頭を悩ませながら帰宅すると、他社で経理事務の仕事をしている姪っ子が家に来ていました。

おじさん、お邪魔してます。どうしたんですか? そんな深刻な顔して



社長

インボイス制度の経過措置のことって知ってるかい? うちは消費税の免税事業者だから関係ないと思っていたら、販売先に影響が出るかもしれないって話があって……

経過措置は、インボイス制度が始まってすぐにすべてが厳格になるわけじゃなくて、段階的にルールが変わる期間のことなんです。例えば、免税事業者からの仕入れでも、一定期間は仕入税額控除が一部認められるけど、その期間が終わると仕入税額控除ができなくなってしまうってこと



社長

うーん。それって販売先にどんな影響があるってことなんだい。簡単な数値例で説明してもらえる?

分かった。免税事業者であるおじさんの会社が“免税事業者のまま”の場合と、“課税事業者になってインボイスを発行する場合”を比べてみますね


【図表】「免税事業者or課税事業者」から仕入れる場合の買手の負担の違い
<前提>
 買手:課税事業者
 年間仕入額:500万円(税抜)
 消費税率:10%

経過措置 免税事業者からの仕入 課税事業者からの仕入
経過措置①:
2023年10月~2026年9月
仕入税額控除:40万円(80%)
買手の負担:10万円
仕入税額控除:50万円(100%)
買手の負担:0円
経過措置②:
 2026年10月~2028年9月
仕入税額控除:35万円(70%)
買手の負担:15万円
仕入税額控除:50万円(100%)
買手の負担:0円
経過措置③:
 2028年10月~2030年9月
仕入税額控除:25万円(50%)
買手の負担:25万円
仕入税額控除:50万円(100%)
買手の負担:0円
経過措置④:
 2030年10月~2031年9月
仕入税額控除:15万円(30%)
買手の負担:35万円
仕入税額控除:50万円(100%)
買手の負担:0円
経過措置終了後:
 2031年10月以降
仕入税額控除:0円(0%)
買手の負担:50万円
仕入税額控除:50万円(100%)
買手の負担:0円


インボイス制度の経過措置の概要 ~免税事業者からの仕入に関する仕入税額控除

【経過措置①:2023年10月1日~2026年9月30日】
 免税事業者からの仕入について、「仕入消費税額の80%」まで仕入税額控除を認められます。
 
【経過措置②:2026年10月1日~2028年9月30日】
 免税事業者からの仕入について、仕入税額控除できる割合が「70%」に縮小されます。
 
【経過措置③:2028年10月1日~2030年9月30日】
 免税事業者からの仕入について、仕入税額控除できる割合が「50%」に縮小されます。
 
【経過措置④:2030年10月1日~2031年9月30日】
 免税事業者からの仕入について、仕入税額控除できる割合が「30%」に縮小されます。
 
【経過措置終了後:2031年10月1日以降】
 免税事業者からの仕入については、仕入税額控除ができなくなります。
 
(注)特定の免税事業者からの課税仕入れが年間1億円を超える場合、超える部分はこの経過措置の対象外となります。

例えば、免税事業者から年間500万円分(税抜)の仕入をしている場合、消費税(10%)は50万円。2026年9月までは、その80%の40万円分が控除できるけど、その後2028年9月までは70%の35万円分、2030年9月までは50%の25万円分、さらに2031年9月までは30%の15万円分しか控除できなくなっていきます。そして経過措置が終わる2031年10月以降は控除ができなくなって、買手は毎年50万円分の消費税を余分に負担することになるんです



社長

課税事業者からの仕入れの方は、買手の負担額が0円になっているけど、これはどういうこと?

課税事業者からインボイスをもらえば、買手は仕入にかかった消費税を全額控除できるので、買手の負担は発生しないということなんです



社長

そういうことだったのか。具体的な数値で比較してみると、買手の負担にどんな違いが生じるのかがよく分かる

でしょう? おじさんの会社が免税事業者のままだと、販売先(買手)は仕入税額控除できずに買手負担となる金額が増えていってしまうんです。販売先によっては、控除が減る分、消費税負担が増えるから、取引を見直されるリスクもあるんですよ



社長

それは大変だな……。すぐに対応を考えないと!

もし課税事業者になってインボイス発行事業者として登録すれば、取引先は全額控除できるから、負担増はなくなります。どうするか、しっかり検討しましょう! 逆に、おじさんの会社が課税事業者になった場合、おじさんの会社が免税事業者から仕入れるときに同じことが当てはまるから、免税事業者からの仕入がある場合、仕入先がどんな対応をしているのか確認した方がいいかも


課税事業者になる場合の対応と2割特例(※ 個人には3割特例あり)

それと、おじさんの会社が課税事業者になると、インボイス発行や消費税の申告・納税など、新たにやらなければならないことが増えるから注意が必要です


(例)
  ✔インボイス(適格請求書)の発行・保存
  ✔消費税の申告書作成と納税
  ✔取引先や仕入先への対応(インボイス発行事業者になったことの連絡など)



社長

なるほど、やることが増えるんだね

でも、“2割特例”という簡便な制度もあって、課税事業者になったばかりの小規模事業者(注)なら、2026年9月30日を含む課税期間(法人は事業年度、個人は原則として暦年)まで使えます。おじさんの会社は3月決算だから、2027年3月期までが対象ですね


(注)2割特例は、インボイス制度開始に伴い新たに課税事業者となった小規模事業者(前々年の課税売上高が1,000万円以下など)を対象とした、時限的な負担軽減措置です。また、個人の小規模事業者は、「2割特例」終了後の2027年と2028年に限って、「3割特例」が認められます。


社長

2割特例?

2割特例を使えば、売上にかかる消費税額の2割だけを納税すればよく、仕入や経費にかかった消費税の実額を計算する必要がないので、事務負担も軽くなるんです


(例)通常の計算と2割特例の比較

通常の計算
(本則課税)
2割特例
売上 500万円(税抜) 500万円(税抜)
仕入 300万円(税抜)
消費税 10% 10%
納税額(※計算式) 20万円
(※500万円×10%-300万円×10%)
10万円
(※500万円×10%×20%)


社長

なるほどー、それは助かるね

インボイス制度の経過措置 ~免税事業者からの仕入に関する仕入税額控除

インボイス制度の経過措置は、免税事業者との取引において買手の仕入税額控除が段階的に縮小される期間です。この期間に対応しない場合、取引先の消費税負担が増え、取引継続に影響する可能性があります。一方、課税事業者となりインボイス発行事業者として登録すれば、取引先の負担はなくなり、取引関係の維持につながりやすくなります。
なお、インボイス制度の実施を契機として、免税事業者との取引条件を見直す場合には、取適法(旧下請法)や独占禁止法のルールに違反しないようにする必要があります。免税事業者に対して課税事業者になるよう強く働きかけることは、取引条件の設定において優越的地位の濫用に該当する可能性があります。

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