子ども・子育て支援金制度2026年度開始~この際知っておきたい「雇用に伴う費用」
2026年7月13日
質問
2026年4月から始まった「子ども・子育て支援金制度」に伴い、企業に生じる「雇用に伴う費用負担」の理解として最も適切なものは次のうちどれでしょうか?
パターン1
子育て世帯の社員に対して、会社が給料に上乗せして支給するため、雇用に伴う費用負担が増える。
パターン2
会社も社員等と折半で負担するため、雇用に伴う費用負担が増える。
パターン3
独身の社員や子どもがいない社員のみが負担するため、雇用に伴う費用負担は増えない。
この質問をイメージして以下のストーリーをお読みください。
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雇用に伴う費用増加の影響をつかめるようになった!
計測機器の部品製造を営む「MJSパーツ製造」では、今では、子ども・子育て支援金制度が導入されたことを理解するとともに、雇用に伴う費用は給料の額面だけではないことを理解し、雇用に伴う費用増加の影響をつかめています。しかし、1カ月前はそうではありませんでした。
給与明細で見慣れない控除項目「子ども・子育て支援金」が登場
1カ月前のある日のこと。自分の給与明細に疑問を持った社員のAさんが人事部を訪れました。
今月の給与明細を見たら、「子ども・子育て支援金」というのが給与から控除されているようなんです。うちは子育て真っ最中ですから支援金を頂くほうですよね? 間違って控除のほうに記載されているのではないでしょうか?

Aさん

人事担当
あっ、それは、2026年4月分から「子ども・子育て支援金」が健康保険料に上乗せされる形で徴収が始まったものです。子どもの有無に関係なく、健康保険など医療保険の加入者全体で負担する仕組みなんです
えっ、支援金をもらえるわけじゃなくて、徴収されるものだったんですか……。名前だけ聞くと、支援してもらえるお金みたいですよね。正直、引かれているのを見ると違和感があります

Aさん

人事担当
そう感じる方、多いかもしれませんね。制度の名前と、実際の集め方が少し分かりにくいんです
この日以降も、人事部には「これは新しい税金ですか?」、「子どもがいない人だけが負担するものですか?」など、同じような質問がいくつも寄せられました。
それを耳にした社長は人事部長に言いました。
社員の負担が増える制度なのは分かったが、会社としては、そこまで気にする話ではないのかな?

社長
子ども・子育て支援金制度の導入により、果たして企業には雇用に伴う費用負担の増加が生じるのでしょうか。
質問
2026年4月から始まった「子ども・子育て支援金制度」に伴い、企業に生じる「雇用に伴う費用負担」の理解として最も適切なものは次のうちどれでしょうか?
▼あなたの思うパターンをクリック▼
パターン1
子育て世帯の社員に対して、会社が給料に上乗せして支給するため、雇用に伴う費用負担が増える。
パターン2
会社も社員等と折半で負担するため、雇用に伴う費用負担が増える。
パターン3
独身の社員や子どもがいない社員のみが負担するため、雇用に伴う費用負担は増えない。
子ども・子育て支援金は、子育て世帯の社員に対して、会社が給料に上乗せして支給する制度ではありません。「支援金」という名称から給付を想像しがちですが、少なくとも、会社が特定の社員に支払うものではありません。
子ども・子育て支援金は、社員個人だけの問題ではなく、会社側にも負担が生じる制度です。そのため、給料の額面を変えていなくても、雇用に伴う費用は増えることになります。
子ども・子育て支援金は、独身の社員や子どもがいない社員だけに限定された負担ではありません。社員本人と会社が折半で負担するため、雇用に伴う費用にも影響が及びます。
新しい控除項目の正体 ~子ども・子育て支援金(2026年4月~)
子ども・子育て支援金が導入されて社員のみんなは負担が増えるわけか。とはいえ、会社としては雇用に伴う費用が増えるわけではないのかい?

社長

人事担当
子ども・子育て支援金は、健康保険料に上乗せされるので、みなさんの手取りが減るだけでなく、会社も同じ分だけ負担します。現状では1人当たり月数百円分ですが、会社としては新たな雇用関連費用として把握しておく必要があります
1人当たり数百円なら大した話じゃないように感じるが、毎月毎月人数分の負担ということになると、合計ではそれなりに大きくなるな……

社長
子ども・子育て支援金は、子育て世帯に直接支給されるお金ではありません。医療保険制度(健康保険など)を通じて広く国民が負担し、国が行う子ども・子育て支援施策全体の財源として使われます。会社員の場合は、健康保険料に上乗せされ、しかも会社も半分負担することになります。
<被用者保険に加入している場合>
・支援金額(月額)=標準報酬月額×支援金率
2026年度の支援金率は0.23%
・支援金額の半分は企業が負担、半分は個人が負担
このため、企業にとって新たに把握しておくべき雇用関連費用の1つです。また、子ども・子育て支援金制度は段階的な導入が予定されており、支援金総額は2026年度から2028年度にかけて拡大することとされています。
子ども・子育て支援金は会社も半分負担していると言うことか。ところで、これまであまり気にしていなかったが、人を雇うと給料の額面金額以外に一体どんな費用がかかるんだろう……

社長
雇用に伴う費用いろいろ ~給料の額面だけでは判断できない!
子ども・子育て支援金をきっかけに、社長は気づきました。雇用に伴う費用と思っていたものは、実は“人を雇うための費用”の一部でしかなかったのです。
人を雇うと、いつ・どこで・どんな費用が増えるのかを考えてみると、概ね以下のようになるでしょう。
(1) 雇ったときから毎月固定的に増える費用 ~給料を上げなくても、自動で積み上がる
・基本給、各種手当
・社会保険の会社負担分(健康保険、厚生年金、雇用保険、介護保険〔該当者〕など)
・子ども・子育て支援金の会社負担分
・通勤交通費(別途支給する場合)
・退職金制度の掛金(中小企業退職金共済制度〈中退共〉などに加入している場合)
これらは、人数×月数で確実に積み上がっていく固定費です。会計上は概ね毎月費用として計上されます。
(2) 働き方や成果次第で増減する費用 ~運用次第で膨らみやすい
・残業代
・賞与(業績・評価連動の場合)
・シフト増減による賃金 など
月ごとに変動が生じやすく、現場の運用次第でコントロールする余地がある費用です。
ただし、慢性化すると実質的には(1)に近い固定費となるため、放置しないよう注意が必要です。
(3) 雇う前後にまとまって出ていくスポット的な費用 ~採用・立ち上げ時に一時的に発生
・採用費(求人広告、紹介料など)
・教育、OJT(入社時の初期教育)
・パソコン、机、椅子などの備品購入費
・各種システム・アカウントの設定費用 など
雇った人数分だけ発生しますが、毎月は出ないため見積りから漏れやすい費用です。
採用判断の際には、事前に意識しておく必要があります。
(4) 会計数値に出にくいが、後から経営に効いてくる費用 ~気づかないうちに重くなる
・管理職・社長のマネジメント時間(指示・確認・フォロー・評価・面談などに費やす追加の時間)
・残業増の波及(新人フォローや欠員対応により、周囲の残業が増える)
これらは特定の科目として見えにくく、数値化も難しい費用です。そのため見落とされがちなので注意が必要です。
(注)上記(1)~(4)の費用は、正社員だけでなく、パート・アルバイト・派遣社員などを含めて考える必要があります。
このように雇用に伴う費用を整理してみると、給料の額面以外のものも相当程度あるので、給料の額面だけで採用を判断するのは危険だと分かります。一方で、雇用しないと人手不足による機会損失(対応できなかった受注や業務)という別の意味での負担が生じることも考えられますので注意が必要です。
人を雇うと、いつ・どこで・どんな費用が増えるのかをこうして分類し内容をつかんでおくことは、採用するか否かを判断する場合や、雇用に伴う費用の予算を立てる場合、制度改正がある場合の影響を試算する場合などにも役立つでしょう。
「子ども・子育て支援金制度」
子ども・子育て支援金は、2026年度から開始した制度で、医療保険制度(健康保険など)を通じて広く国民が負担し、国が行う子ども・子育て支援施策全体の財源として使われます。会社員の場合は、健康保険料に上乗せされ、しかも会社も半分負担することになります。
詳しく知りたい方は以下もご覧ください。
■子ども・子育て支援金制度(こども家庭庁)
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