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第65回 スポットワークの実態
2025年6月4日
空き時間を活用して働ける「スポットワーク」という新たな就業スタイルが、幅広く定着しつつあります。学生や副業希望の会社員にとっても魅力的で、慢性的な人手不足に直面する企業のニーズとも合致しています。時代の流れとともに、働き方は柔軟さを増し、企業が採用する人材の在り方にも変化が生じています。
スポットワークは業務委託契約の場合や、スポットバイト、スキマバイトなどの雇用契約の場合がありますが、今回は、後者の場合に焦点を当てて解説いたします。
スポットワークの実態
スポットワークは、数時間から数日間の短期間で行う単発の仕事を指し、主にスマートフォンアプリやウェブサービスを通じて、企業と働き手がマッチングされます。履歴書不要、面接なしで即日勤務が可能なケースが多く、柔軟な働き方を求める人々に支持されています。
2024年時点で、スポットワークの登録者数は約2,200万人に達し、前年の約990万人から2倍以上に増加しています。特に副業として利用する会社員が増えており、利用者の約半数を占めています。スポットワークの平均勤務時間は約4時間で、週に1回程度の利用が多い傾向にあります。
スポットワークが利用されている主な職種は、コンビニ、 倉庫作業、飲食店、イベントスタッフ、清掃業務など、特別なトレーニングを必要としない業務が中心ですが、人材不足 が深刻な医療現場などでは、看護師のニーズも高まっています。また、農業や果実園など、作業が天候に左右される現場 では、天気の良い日のみ来てもらうことができるというメリットがあります。

スポットワークの仕組み
スポットワークのアプリは、単発・短時間・短時間の仕事をしたい個人(ワーカー)と、短期で人手を確保したい企業をマッチングするプラットフォームです。以下のような仕組みで成り立っています。
-
求人掲載
企業が「人手が欲しい日時・業務内容・報酬」などをアプリに登録します。 -
応募・マッチング
アプリに登録しているワーカー(求職者)が、自分の空き時間に合う仕事を探し、履歴書・面接なしで即時応募できます。条件が合えば即マッチング成立、労働条件通知書等が自動的に生成されます。 -
業務実施
マッチング成立後、指定された日時・場所でワーカーが業務を行います。QRコードでチェックイン・アウトするアプリも多く、労働時間をアプリが記録します。 -
評価・確認
業務終了後、企業とワーカーがお互いを評価(★の数など)する機能があり、トラブル防止や信頼スコアの可視化に活用されます。 -
報酬支払
アプリ上で業務報告・承認が完了すると、報酬が支払われます。
多くのアプリでは「即日払い・前払い」「週払い」などの機能があります。また、支払元は企業ではなく、アプリ運営会社経由となることもあります。
スポットワークのメリット・デメリット
スポットワークを利用するワーカーと事業者のそれぞれの主なメリット・デメリットは次のとおりです。
- 利用者のメリット・デメリット
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メリット
柔軟な勤務時間、即日勤務・即日払い、多様な職業経験、スキマ時間の有効活用 -
デメリット
不安定な収入、雇用保険未加入、評価制度の影響、業務内容の把握不足
- 事業者のメリット・デメリット
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メリット
急な人手不足対応、柔軟な人材配置、採用コスト削減、長期雇用への移行性 -
デメリット
当日キャンセルのリスク、人材の質のばらつき、時間の制約、情報漏洩リスク
その他、企業がスポットワークを活用するリスクとして、人材の定着が望めず、教育コストが高くつく点が挙げられます。短期就労が前提のため、研修しても労働による効果が見合わないことがあります。また、スキルや生産性にばらつきがあり、面接や書類選考を経ない分、ミスマッチが起こりやすい点にも注意が必要です。
労務管理上の留意点
労働基準法38条では2か所以上の事業所で就労した場合、労働時間は通算されると定められており、本業とスポットワークで1日8時間、1週40時間を超えた場合、割増賃金を支払う必要があります。
ただし、労働時間の通算には労働者からの自己申告が前提となっており、申告がない場合、使用者が他の事業所での労働時間を把握することは困難です。このため、実務上の管理には限界があります。
近年、副業や兼業の広がりを受けて、労働時間の通算に関する制度の見直しが進められています。たとえば、同一の使用者が運営する別拠点での勤務時間については通算の対象としつつも、事業主が異なる場合には通算の対象外とする方向での制度改正が検討されています。これにより、企業にとっては時間外割増賃金の負担が軽減される可能性もあります。一方で、長時間労働による健康リスクを懸念し、事業主の違いを問わず労働時間全体を把握・管理すべきだという意見も根強く、議論は続いています。企業としては、副業や兼業の申告を従業員に促し、勤務時間の実態を把握したうえで、適切な労務管理を行う姿勢が求められます。

スポットワークの今後の展望
スポットワーク市場は、労働力不足や働き方の多様化を背景に、今後も拡大が予想されます。特に、副業を認める企業の増加や、デジタル技術の進化により、スポットワークの利用がさらに促進されるでしょう。
また、AIやデータ分析の活用により、企業と労働者のマッチング精度が日々向上しています。これにより、業務に適した人材を迅速に確保できるようになり、業務効率の向上が期待されます。
一方で、労働条件の整備やトラブル防止のための法整備、企業のマネジメント体制の強化など、課題への対応も重要です。労働者と企業の双方にとって、安心して利用できる環境の構築が求められます。

筆者紹介

MJS税経システム研究所 客員研究員
社会保険労務士法人加藤マネジメントオフィス 代表社員
社会保険労務士 加藤 千博
http://www.kmo-sr.jp/
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