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第69回 教育訓練休暇給付金の創設
2025年10月1日
教育訓練休暇給付金は、労働者が在職中に職業に関する教育訓練を受けるために無給の休暇を取得した際、雇用保険から生活費相当の給付を受けられる新しい仕組みです。
2025年10月1日から導入され、働きながら学び直し(リスキリング)を行いたい人を強力に支援することを目的としています。
従来は、退職してから失業給付を受けつつ学び直しをするケースが一般的でした。しかし、この制度では「退職せずに、会社に在籍したまま給付を受けて学べる」ことが最大の特徴です。労働者にとっては安心してキャリア形成に取り組める手段であり、企業にとっても人材のスキルアップを通じて競争力強化につながる制度といえます。
支給要件
給付を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。
- 雇用保険の一般被保険者であること
- 休暇開始前2年間に12か月以上の被保険者期間があること
- 雇用保険に通算5年以上加入していること
- 業務命令ではなく、就業規則や労働協約に基づいて「本人の意思」で無給休暇を取得していること

つまり、企業側の命令で研修を受ける場合や有給休暇を利用する場合は対象にならず、あくまで労働者が自らキャリア形成を目的として選択した場合にのみ利用できる点が特徴です。
ただし解雇予定の労働者は対象外とされ、虚偽の申請をした場合には罰則の対象となります。
支給金額と日数
給付額は失業給付(基本手当)と同じ算定方式で計算されます。例えば月収35万円の労働者であれば、1か月あたり約19.5万円が支給されます(図表1参照)。
支給日数は雇用保険の加入年数によって異なり、5年以上10年未満で90日、10年以上20年未満で120日、20年以上で150日となります(図表2参照)。長期的に雇用保険に加入している人ほど、手厚い支援を受けられる仕組みです。


給付手続
実際に給付を受けるには、労働者本人と事業主の協力が不可欠です。

(図表は全て、厚生労働省「教育訓練休暇給付金のご案内」より引用)
教育訓練休暇制度導入の留意点
教育訓練休暇は、労働者の成長を促す一方で、企業にとっては人員不足や代替要員コストなどのデメリットがあります。また、利用できる人とできない人の不公平感や、学んだスキルが業務に活かされず転職につながるリスクも懸念されます。
これに対応するには、対象を業務関連の訓練に限定し、取得前にキャリアプランを確認することが重要です。復帰後はスキルを活かせる業務への配置や成果共有を行い、在籍条件付きの資格手当や教育費用免除制度を組み合わせると効果的です。さらに、上司や経営層が成長を期待している姿勢を伝えることで、社員の定着を促すことができます。
制度創設の背景と今後の展望
近年、デジタル化や産業構造の変化が急速に進み、従来のスキルだけでは対応できないケースが増えています。労働者にとって「新しい知識や技術を学ぶこと」は生き残りの条件となっていますが、一方で「学ぶ時間がない」「学ぶと収入が減る」という課題が常につきまとっていました。
教育訓練休暇給付金は、こうした現実的なハードルを解消するために導入された制度です。労働者にとっては経済的不安を軽減し、企業にとっては人材のスキルアップを後押しする効果が期待されています。
この制度はまだ始まったばかりですが、国としては「働きながら学び直す文化」を社会全体に根付かせることを目指しています。今後は利用者数の拡大や対象範囲の拡張が検討される可能性もあります。
企業にとっても「労働者が学び直しをしやすい環境を整えること」は、単なる福利厚生にとどまらず、持続可能な成長のための投資といえます。


筆者紹介

MJS税経システム研究所 客員研究員
社会保険労務士法人加藤マネジメントオフィス 代表社員
社会保険労務士 加藤 千博
http://www.kmo-sr.jp/
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