
約10年にわたり取り組んだペーパレス化は、複合機の導入によりさらに進化した。そして梶先生が次の段階として考えているのが、「多様なワークスタイルへの対応」だ。
人口の減少が進む北陸では、人材の確保は深刻な課題となっている。同事務所は女性スタッフが多いこともあり、「今後は、例えば子どもがインフルエンザで1週間休むといった場合などに、テレワークができるような体制を整えていきたい。“朝8時半に事務所に来て、夕方5時まで事務所で仕事をしてもらう”という考え方だけでは、もはや仕事が成り立たない時代です。スタッフによっては“週半分だけ出勤する”とか、“午前中だけオフィスで勤務をして、午後は自宅に仕事を持ち帰る”という柔軟な働き方ができるようにしたい。文書の電子化は、こうしたワークスタイル実現のための第一歩です。電子化した文書をいかにセキュアに自宅でも活用できるかが、次に取り組んでいきたい課題ですね」と梶先生は強調する。現在、スキャンデータは事務所内のファイルサーバーに格納されるが、将来的にはクラウド上にデータを置き、そこで「DocuWorks」によって承認印を押すといった運用を視野に入れているという。
また、梶先生は、北陸税理士会の副会長という立場から、ご自身のノウハウを地域と共有する活動も行っているが、周囲にもペーパレス化のメリットを啓もうしているという。会計事務所だけでなく、顧問先の企業も、何年分か帳票をとっておかなくてはいけないことから、紙文書の保管スペースの確保は大きな課題だ。ほとんどの会計事務所では、決算の時、総勘定元帳をA4に印刷して束にして顧問先に返しているが、元帳を作成する方も大変で、受け取る企業側も紙の束が毎年増えていくことになる。
「最近では、元帳の印刷を希望しない顧問先も増えています。PDFをCDに収めて渡せばスペースはとりませんし、税務調査がある時などは、元帳を見せる必要があるところだけ印刷すればいいのですから」と、梶先生は会計事務所だけでなく顧問先である企業側のメリットも解説。「個人商店のような規模でも、PCは欠かせないツールになっている。ちょっとした書類ならスマホで撮影してメールで送るということが、ほとんどの人が行える時代になっているだけに、今後はますますペーパレス化が進むはず。それだけに複合機や『DocuWorks』の活用の場も広がるだろう」と今後の予測を語っていただいた。