
しかし実際には、従来の手書き作業を入力に変えるだけで、顧問先の手間も減少。お互いにメリットは多い。その点をアピールしつつ、さらに顧問先に負担をかけないよう、導入・維持費は事務所側で負担するようにした。セットアップや入力方法の説明などはすべて先生と若いスタッフが直接出向いて懇切丁寧に行う。パソコン操作に詳しいスタッフが、最低限必要な操作をわかりやすく解説する。また、他社データ取込オプションを利用することで、「顧問先が元々使っていた他社会計ソフトをそのまま活用できる点もポイントです。すべてはお客さまのためなので、できるだけ“強制”はしたくありませんでした」と新開先生。結果、手書き入力より格段に時間が短縮できるようになったことで、顧問先もカルチャーショックを受けたという。
その後、いくつかの顧問先から「複数のパソコンで同時に入力したい」「今すぐに資料を見てほしい」といった要望が高まってきた。そしてそのタイミングで登場したのが、パブリッククラウド環境に完全対応した「記帳くんCloud」だ。プログラムのインストールは不要で、ブラウザのみで利用できる。2017年7月より、早速導入を開始した。
「月に一度の訪問では、クラウドなら顧問先に行く直前に元帳を事務所のパソコンから確認できます。プリントアウトして持っていき、その場で気になる点を聞くことができるので無駄がない。また、これまでは、前の月のデータをもとに話をするという段取りでしたが、今は常に最新のデータを見られるので経営指導もより的確です。また、顧問先の入力状況を所内でリアルタイムに確認し、顧問先へ直接お声をかけて作業の遅れを防ぐこともできます。顧問先も複数台のパソコンで作業でき、パソコンが壊れてデータが飛んだ経験のある方などは、クラウドであることに非常に安心感があるようです。クラウド版の登場以来、基本的に『記帳くんCloud』を推奨しています。実際に業務量が減ったことを実感されているし、他社のシステムに変えるとまた1から勉強し直さなければならないので、私どもとの末永い関係にもつながるのではないかと思っています」と新開先生はそのメリットを語る。
「記帳くんCloud」は「ACELINK NX-Pro」とシームレスに連動しているため、入力データを、そのまま監査や申告に利用できる。また、勘定科目を簡単に増やせるなど、細かい点でもOCR伝票の時代と比べて格段に便利になった。その結果、懸案だった職員の作業負担も削減でき、現在は残業時間も月10時間程度と非常に少ない。また、作業効率化によって11月から年末調整の作業に入るなど、繁忙期に備えた前倒しの進行が可能になった。