生成AIの利用は2年でほぼ倍増。しかし、その裏で「ルールがない」「相談先がない」組織はまだ半数以上——会計事務所白書2026の実態調査から、企業の経理部門や会計事務所が今向き合うべき課題を読み解きます。
生成AIは"使う"から"安全に使いこなす"へ
―企業の経理部門や会計事務所に迫るガバナンスの壁
生成AIはもはや一部の先進的な担当者だけのものではありません。日々のワークフローに組み込まれ、"使うかどうか"を議論する段階はすでに終わりました。経理・バックオフィスを担う方にとって、今問われているのは「どう安全に、組織として使いこなすか」です。
自社・自事務所には、生成AI利用のルールがありますか?
その使い方について、誰かに相談できる体制はありますか?
生成AI利用率、2年でほぼ倍増―もはや日常業務の一部に
「生成AI」を使ったことはありますか?
企業・事業主編
会計事務所編
毎日利用する層は企業38%/会計事務所32%。週3〜4回以上の高頻度利用を含めると、どちらも6割超に達しています。有料版利用率も企業36%/会計事務所46%まで上昇し、利用ツールもChatGPT一強からGemini・Microsoft Copilot・Claudeを併用する動きへ広がっています(会計事務所編ではGeminiが65%まで急伸)。
どのような生成AIを使われましたか?
企業・事業主編
会計事務所編
最大の不安は「機密情報の漏洩」
2024年度は「使い方がわからない」が不安の1位でしたが、利用が広がった今、不安の中心は情報漏洩などの運用リスクへ移行しています。
生成AIを使うにあたって不安に思うことや困っていることは?
企業・事業主編
会計事務所編
「ハルシネーション」対策の実態
生成AIが誤った情報をもっともらしく出力する「ハルシネーション」も、業務活用が進むほど無視できないリスクです。「必ず別の情報源で裏付け確認をしている」層は会計事務所編52%に対し、企業・事業主編は35%にとどまります。顧客の税務・資産情報を扱う会計事務所ならではの慎重さがうかがえる一方、企業の6割超は出力内容を十分に検証しないまま活用が進んでいるとも言えます。
企業・事業主編
会計事務所編
「シャドーAI」という新たなリスク
従業員・スタッフが会社や事務所の許可を得ないまま、個人のアカウントで生成AIを使用する「シャドーAI」も、セキュリティ上見過ごせないキーワードです。「生成AIの使用に関するルールや制限が定められていない」組織は企業53%・会計事務所70%と依然として過半数に上り、シャドーAIが発生しやすい土壌が残っています。
企業・事業主編
会計事務所編
相談先の7割超が「自分で調べる」
生成AIの整備や導入に関して、困ったときどこ(誰)に相談することが多いですか?
企業・事業主編
会計事務所編
生成AIの導入・活用で困ったときの相談先は「自分で調べる」が突出。社内IT担当やベンダーへの相談は2024年度から軒並み減少しており、組織としての相談・サポート体制が整わないまま、個人の判断とスキルに依存している実態が浮かびます。
今、経理・会計現場が向き合うべき「生成AI活用」3つの課題
ガイドラインの未整備
利用ルールが「定められていない」組織が過半数(企業53%/会計事務所70%)。ルールがなければ、従業員が個人判断で生成AIを使う「シャドーAI」を防ぐ手立てもなく、線引きが担当者任せになってしまいます。
セキュリティ・機密情報管理の甘さ
不安・困りごとの1位は「機密情報の漏洩」(企業48%/会計事務所55%)。生成AIが誤情報をもっともらしく出力する「ハルシネーション」への備えにもばらつきがあり、確認体制の甘さがリスクを増幅させています。
相談・推進体制の不在
相談先は「自分で調べる」が突出(企業76%/会計事務所74%)。組織的なサポート体制がないまま活用が広がれば、ルール違反や誤情報の見落としに気づく機会そのものが失われかねません。
この3つの課題こそが、今取り組むべき 「生成AIガバナンス」というテーマです。
生成AIガバナンス構築に必要な4つの視点
ガイドラインの策定
利用範囲・禁止事項・確認フローを明文化し、従業員が個人判断で生成AIを使う「シャドーAI」を防ぎます。ルールがあるだけで、現場の迷いや属人化を大きく減らせます。
セキュリティ対策
機密情報の取り扱い基準やツール選定基準を整え、「ハルシネーション」(誤情報の出力)を想定した確認フローもあわせて設計します。
業務プロセスの見直し
どの業務にどう組み込むかを整理し、生成AIの出力を鵜呑みにせず確認する工程を業務フローに組み込みます。
教育・推進体制づくり
属人化を防ぐ社内サポート体制を構築し、「ハルシネーション」や「シャドーAI」のリスクを組織全体で正しく理解できるようにします。
4つの視点を、実践に変えるパートナーへ
―MJS DXコンサルティングの3ステップ
とはいえ、これらすべてを自社・自事務所だけで整えるのは簡単ではありません。中小企業のDX推進を伴走支援する「MJS DXコンサルティング」なら、生成AI活用を含む業務課題の分析からDX戦略の策定、導入支援までをワンストップでサポートします。全国約149名のITコーディネータ資格保有者が伴走し、スモールスタートで無理なく始められるのも特長です。
現状の業務課題分析
DX戦略・導入計画策定
