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第73回 メンタルヘルス不調と労災認定
2026年2月4日
近年、メンタルヘルス不調を理由とする労災請求・労災認定は増加傾向にあります。
かつては「本人の性格の問題」「私生活上の悩み」として処理されがちだった精神障害も、現在では業務との関連性が幅広く評価される時代へと変化しています。
人事・労務担当者にとって、メンタルヘルス対策はもはや福利厚生の一環ではなく、企業リスク管理の中核といっても過言ではありません。
そこで今回は、精神障害の労災認定の基本的な考え方を整理したうえで、最近の認定トレンドと、企業が実務上取るべき対応について解説します。
精神障害の労災認定の基本構造
労働者が精神障害を発症した場合、その精神障害が労災として認定されるかどうかは、「業務による明らかな過重負荷」を受けたことにより発症したと認められるかどうかによりますが、主に次の三つの要件を総合的に判断して決定されます。
-
受付日時・業者名・内容を記録
「発症前のおおむね6か月間にわたって、著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務に就労したこと」として、「労働時間」と「労働時間以外の負荷要因」とを総合的に考慮して判断されます。 -
短期間の過重業務
「発症前のおおむね1週間において、特に過重な業務に就労したこと」として①と同様に判断されます。 -
本人への直接連絡(書面・メール可)
「発症直前から前⽇までの間において、発⽣状態を時間的及び場所的に明確にし得る異常な出来事に遭遇したこと」として、「精神的負荷」「身体的負荷」「作業環境の変化」等を総合的に考慮して判断されます。
長時間労働だけではない労災認定の広がり
労災と認定されるためには、前述のとおり「業務による明らかな過重負荷」が求められますが、私生活上の出来事が一切存在しないことまで求められるわけではなく、業務による心理的負荷が相対的に強いと判断されれば、労災認定される可能性があります。
また、近年では、「6か月以上にわたり80時間以上の労働時間が続いていた」など、労働時間が極端に長くなくても、労災認定されるケースが増えています。
つまり、労働時間の「量」ではなく、「質」や「置かれた状況」などが負荷要因とされるということです。具体的には、人手不足の中で責任だけが増え続けている状態、突然の配置転換や職種変更、十分な引継ぎや支援がないまま重要業務を任される状況、成果のみを厳しく求められ裁量のない状態など、数値に表れない心理的負荷が重視されています。
実務上注意すべき点は、会社側の認識と、本人・医師・労働基準監督署の評価が一致しないケースが少なくないという点です。「そこまで追い込んでいるつもりはなかった」という企業側の感覚が、そのまま通用するとは限りません。
ハラスメントと労災認定の関係
近年、精神障害の労災認定において特に増えているのが、パワーハラスメントやカスタマーハラスメントを要因とするケースです。事実、労災の支給決定件数は、「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」224件、「仕事内容・仕事量の大きな変化を生じさせる出来事があった」119件、「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」108件の順に多くなっています。(厚生労働省:令和6年度「過労死等の労災補償状況」より)
ハラスメントは、必ずしも違法行為とまでは評価されない指導であっても、人格否定、継続性、公然性といった要素が重なることで、心理的負荷は「強」と評価される可能性があります。
企業側が業務上の指導の一環と考えていたとしても、受け手の立場や状況によって評価は大きく異なります。
また、精神障害の労災認定においては、管理職の対応状況も重要な判断材料となります。
上司が部下の不調サインに気付いていたか、業務量の調整や声かけを行っていたか、産業医や相談窓口につなぐ対応を取っていたか、といった点が確認されます。「忙しかったから対応できなかった」という理由は通用しません。
管理職が適切に対応できるよう教育や仕組みを整えているかどうかが、企業の責任として問われる時代です。
ハラスメントと労災は、切り離して考えることができない関係となっています。
ストレスチェック制度と労災の関係
ストレスチェック制度について、「実施していれば問題ない」と考えている企業も少なくありませんが、労災の観点では、実施後の対応が極めて重要です。
高ストレス者が把握されていたにもかかわらず、面談勧奨が形式的に終わっていた場合や、業務改善や配置配慮につながっていなかった場合には、労災認定時に企業の姿勢が厳しく問われることになります。
ストレスチェックは、単なる義務対応ではなく、企業のリスク管理を支える重要な制度であることを再認識する必要があります。
企業が今すぐ取り組むべき実務対応
精神障害の労災リスクに備えるため、企業が意識すべきポイントは、予防、早期対応、記録の三点です。
日常的な業務配分の見直し、管理職へのメンタルヘルス・ハラスメント教育、不調サインに気付いた際の社内ルール整備、産業医や外部相談窓口の活用、対応履歴の記録といった取り組みが、結果的に企業を守ることにつながります。
人事・労務担当者には、問題が顕在化してから対応するのではなく、未然に防ぐ視点が、これまで以上に求められています。
筆者紹介
MJS税経システム研究所 客員研究員
社会保険労務士法人加藤マネジメントオフィス 代表社員
社会保険労務士 加藤 千博
http://www.kmo-sr.jp/
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