第3回 新型コロナウイルス感染拡大に対する労務管理

労務管理

2020/04/01

今年に入ってから世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルス。日本政府から大規模なイベント等の自粛要請が発令されて以来、多くの企業がその影響を受けています。そのような中で緊急措置的な助成金等も創設されましたが、それが自社に対応できるものなのか?どのような場合に受給できるものなのか?そして従業員の感染リスクを少しでも軽減させるために何ができるのか?うちの会社でもテレワークはできるのか?その際の注意点は?など、多くの疑問が寄せられていますので、今回は、新型コロナウイルス感染拡大に対する企業の対応について、労務の専門家の立場からお伝えしたいと思います。

雇用調整助成金

2020年3月初旬以来「コロナの影響で売上が激減した場合に助成金がもらえると聞いた」という問い合わせが多いのですが、これは売上を補填してくれるものではなく、一時的にでも事業を縮小または休業した場合、自宅待機等を命じなければならない従業員に休業手当を支給しなければならず、その手当の一部を受給できるものです(雇用調整助成金)。ただし、コロナ対策の特例措置として、休業日の初日が2020年1月24日から7月23日までの場合には、受給要件がかなり緩和されています。会社にとって大事な「人材」を失うことなく雇用を継続するため、しかも返済する必要がない資金として活用できます。

新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金

2020年3月2日以降全国のほとんどの小中高等学校が休校となり、特に小学生をもつ親の多くは会社に出勤できなくなってしまったのです。通常ですとこのような場合、会社はノー・ワーク・ノーペイの原則により賃金を支払う義務はありません。そこで今回、会社が、次の①②のいずれかの子どもをもつ親(親権者等)が休業する際に、労働基準法上の有給休暇とは別に有給での休業を認めた場合に限り、助成金が受給できることになりました(新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金)。この助成金は令和2年2月27日から3月31日までの休業が対象となります。

①新型コロナウイルス感染症に関する対応として臨時休業等をした小学校等に通う子ども
②新型コロナウイルスに感染した又は風邪症状など新型コロナウイルスに感染したおそれのある、小学校等に通う子ども

時間外労働等改善助成金(テレワークコース)の特例

2019年度の受付はすでに終了している時間外労働等改善助成金ですが、コロナの感染拡大防止のためテレワークを新規で導入する中小企業には、特例的に受給するチャンスを与えられました。この助成金は、テレワークを導入するために必要な通信機器の購入や、社労士等の専門家に支払う報酬に対し1/2の助成率で100万円を上限としています。2020年5月31日までに当該取組を実施した中小企業が対象となります。また東京都は、都内に事業所を置く中小企業を対象に、助成率100%で上限250万円という助成金(事業継続緊急対策(テレワーク)助成金)を創設しました。こちらは2020年5月12日が締め切りとなっていますが、予算総額が2億5000万円ですので、およそ100社限定という狭き門となっています。

助成金にかかわらず従業員を感染のリスクから守るために、ここ数カ月の間にテレワークを導入した企業は数多く存在すると思います。さらに、今後導入を考えている企業もあるかと思いますので、テレワークを導入する際の注意点をいくつか述べたいと思います。

・労働時間の管理・・・在宅勤務や移動しながらのモバイルワークの場合、メール等で出勤・退勤報告できますが、今後は勤務時間集計や経費精算等をスマホやタブレットで簡単にできるクラウド型勤怠管理システムが主流になると思います。上記助成金の対象品目の中に、勤怠管理システムも明記されていますので是非とも活用したいところです。いずれにしましてもプライベートの時間と業務の時間との区別をどのようにルール化するかがポイントとなります。

・作業環境の管理・・・厚生労働省が策定した「VDT作業(パソコンのディスプレイを見ての仕事)における労働衛生管理のためのガイドライン」に従って、在宅勤務等の従業員の作業環境を整備するよう適切な措置を講じなければなりません。

・労災保険の適用基準・・・場所が自宅とはいえ、勤務時間中のけが等は労災が認められるケースがあります。例えば、2階で作業中に1階に置いてあった書類を取りに階段を降りる際に転倒してけがをした、などというケースがあげられます。労災に当たるのか当たらないのか、その判断はやはり厳格な労働時間管理が必要になると言って良いと思います。

テレワークができる企業ばかりではありませんので、時差出勤やシフト制、フレックスタイム制の活用等、今回のような非常時こそ自社で何ができるのか、一刻も早く終息することを願いつつ、真の働き方改革を進めるチャンスなのかもしれません。

※助成金等の要件は2020年3月17日時点のものです

>> 新型コロナウイルス感染症関連 政府各機関等の支援策一覧

筆者紹介

MJS税経システム研究所 客員講師
社会保険労務士法人加藤マネジメントオフィス 代表社員
社会保険労務士 加藤 千博
http://www.kmo-sr.jp/

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