この記事は、株式会社実務経営サービスの提供により、月刊実務経営ニュース2018年4月号にて取材・掲載された記事を一部内容を変えて掲載しています。
株式会社ミロク情報サービス(東京都新宿区)は、創立40周年を迎えた財務・会計システムの老舗ベンダーである。同社が開発・販売する財務・会計システムや経営情報サービスのユーザーは、会計事務所が約8400、一般企業が約10万社に上る。このユーザー基盤と40年にわたって蓄積したノウハウをもとに、時代に即した最適な製品やサービスを提供し続けている。今回は代表取締役社長の是枝周樹氏に、新事業への取り組みや会計事務所との協業の推進、2020年度に向けた中期的な展望などについて伺った。

時代のニーズを的確に捉え成長し続けるMJS
本日は同社の代表取締役である是枝周樹社長に、直近1年間の主な取り組みや今後の成長戦略について伺いたいと思います。
まず、創業から40年を振り返っていかがでしょうか。
事業を継続するには、盤石な経営基盤を築きながらお客様を増やし、シェアと業績を伸ばしていくことが不可欠です。それを着実に進めた結果、最初は30名に満たなかった社員数も、現在はMJSグループで1400人を超えています。ここまで来られたのはお客様あってのことと、本当にありがたく思っています。
新規のお客様の獲得により顧客基盤を拡大していく戦略に転換してから、会計事務所向けの総合保守サービスであるTVS(トータル・バリューサービス)や企業向けソフト運用支援サービスなどのサービス収入が伸び始めました。
また、当社のシンクタンクであるMJS税経システム研究所の客員研究員を講師として招き、年400回以上の研修会を開催するなど、多彩な情報サービスも評価されているのではないでしょうか。
フィンテック分野のサービス拡充を加速
これらのクラウドサービスには、昨秋リリースした従業員向けの勤怠管理・給与明細参照サービス「Edge Tracker(エッジトラッカー)」、振り込み代行サービス「楽たす」シリーズ、クラウド会計ソフトなどがあります。

私たちの考え方は、「より便利に、より早く」というシンプルなものです。この考え方に基づき、決算の早期化、経営・会計の見える化、さらには資金繰りの支援につながるクラウドサービスを開発していきます。
これらのサービスを、同じ考えを持つ会計事務所の先生方に活用していただければ、顧問先サービスの付加価値向上にも役立つはずです。
全国の地域金融機関との連携を強化
昨年11月に発表した新生銀行との資本業務提携は、その取り組みのひとつです。
まず、新生銀行の持つ地方銀行ネットワークを生かし、API連携を推進します。
また、中小企業の事業承継や資金調達の支援においても協業します。具体的には、グループ会社の株式会社MJS M&Aパートナーズ(mmap)や株式会社MJS Finance & Technology(MFT)を通じて事業承継の支援や金融サービスを提供します。
中小企業は、人手不足や経営者の高齢化、資金繰りなどの経営課題を慢性的に抱えています。こうした課題を全国の会計事務所や地域金融機関とともに解決するためのネットワークの構築を目指します。
会計事務所による事業承継支援プラットフォーム

mmapでは、中小企業の事業承継支援のために全国の会計事務所とのパートナー契約を進めており、2018年1月末現在で3177事務所を超え、地域金融機関との提携も32行に上ります。
事業承継支援においてもスピードが重要ですから、先ほど申し上げた金融機関などとのネットワークを活用し、顧問先企業の財務情報をリアルタイムに把握できれば大きな強みになるでしょう。財務デューデリジェンスをはじめ、私たちがお手伝いできることはたくさんあります。
例えば、mmapのパートナー会計事務所様のうち、「ACELINK NX-Pro」のユーザーには企業評価システムを無償で提供しています。このソフトで、まず顧問先企業のバリュエーション(企業価値評価)を行っていただきます。顧問先が100件の場合、100件全体のコーポレートバリューがその事務所の価値にも関係するでしょう。全顧問先のコーポレートバリューを把握しておくことは、将来事務所の事業承継を検討される際に役立つかもしれません。
顧問先の経営者にご高齢の方がいて事業承継に悩まれている際には、バリュエーションの結果をお伝えしながら事業承継についてご検討いただければと思います。
また、当社の事務所統合管理システムをご利用いただいている場合、そこに入っている顧問先の情報は、デューデリジェンスにおける定性情報として利用できます。
このように、顧問先の価値を把握できる定量情報と定性情報を基に、先生方がアドバイスできる仕組みが出来上がりつつあります。
すなわち、会計事務所が自ら顧問先企業のM&A案件の実務ができるプラットフォームづくりにおいて、私たちはどこよりも先行していると自負しています。
中長期的な成長のためのR&Dにも注力
R&D委員会は、テクノロジーのフィールド、顧客視点のフィールド、全体最適化における経営のフィールドなどから選抜された、現場を最もよく知るメンバーで構成されています。今後、本格稼働に向けた体制構築を含め、中長期的な成長につながるサービスに着目しようと考えています。
私たちがグループの継続的な成長と企業価値向上を目指すのは、それを通じて中小企業を元気にしたいという思いがあるからです。それは、全国の会計事務所の先生や職員の方々も同じでしょう。その思いを実現するためのソリューションをこれからも提供し続けていきます。
2020年度に向けた成長戦略

前者については、当社の強みであるERP事業にさらに磨きをかけ、冒頭で申し上げた新規のお客様の獲得を通じて顧客基盤の拡大を図り、これまで以上の優位性を確保します。
ファイナンス関連事業としては、「bizskyプラットフォーム」事業が挙げられます。
「bizskyプラットフォーム」事業は、中小企業を支援する自社のクラウドサービスの拡充と、会計事務所および金融機関の連携や外部のさまざまなクラウドサービスとの連携強化を進めます。
ネット事業の中心にある「bizocean(ビズオーシャン)」(ビジネス情報サイト)はサービス領域を拡大し、書式やテンプレートのダウンロードだけでなく、音声AIによるドキュメント作成支援サービスの提供も開始しました。
そして、「bizskyプラットフォーム」を連携させ、「bizocean」の230万人超の登録会員を「bizsky」に呼び込みます。それぞれの点をつなぎ、導線にしてさらなる活性化を図るのが狙いです。
MJSグループは多くのユーザー資産を有していますので、サービス面の連携やお客様同士のマッチングなど、新たなサービス創出の可能性を秘めています。
技術面では、AIをうまく使いこなすことも重要なポイントになるでしょう。AIによる事業の効率化、自動化を促進しつつ、先生方のご経験やノウハウを発揮いただくことで付加価値の高い顧問先サービスの創出が可能になると思います。
本件に関するお問い合わせ先
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