記事制作:税経システム研究所

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2019/05/13

質問

中堅調理器具メーカーの「キッチン用品MJS」は、資金繰りの管理に苦労をしています。運転資金が不足して資金繰りが厳しくならないよう、余裕を持って管理するため、あなたが経営者なら次のうちどの経営指標を重視しますか? 

パターン1

売掛金や手形の回収に関する経営指標
 

パターン2

過剰在庫に陥らないような経営指標

パターン3

資金効率に関する総合的な経営指標

この質問をイメージして以下のストーリーをお読みください。
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運転資金の管理に余裕を持って対応している!

「キッチン用品MJS」では、月次決算を基礎として運転資金をうまく管理しています。最近では日常の資金繰りにもずいぶんと余裕ができているようです。

しかし数カ月前はそうではありませんでした。ちょっとその頃の様子を見てみましょう。

数カ月前 ~運転資金の管理に苦労していた……

ある日、キッチン用品MJSの社長と経理部長とが、なにやら深刻な表情で話し合いをしています。

社長 部長、わが社の運転資金の管理はどうなっているのかね。決済日や月末の資金繰りがなかなか改善しないようだが
経理部長 この前は、全社一丸になって、支払期間が短い仕入先について支払条件の見直し交渉を進めましたし、それ以外の項目についても集中的に対応する期間を設けて取り組んではいるのですが……
社長 改善強化月間だよな。確かに、期間中は皆でその対象項目の改善に注力しているのに、やり方がうまくいってないのか……
 

質問

中堅調理器具メーカーの「キッチン用品MJS」は、資金繰りの管理に苦労をしています。運転資金が不足して資金繰りが厳しくならないよう、余裕を持って管理するため、あなたが経営者なら次のうちどの経営指標を重視しますか? 

▼あなたの思うパターンをクリック▼

パターン1

売掛金や手形の回収に関する経営指標
 

パターン2

過剰在庫に陥らないような経営指標

パターン3

資金効率に関する総合的な経営指標

確かに、売掛金や手形の回収の状況に注意し、売上債権回転日数をしっかり把握し、それを短縮する努力は普段から進める必要があります。しかし、そればかりに注力しても全体として運転資金の効率が向上するとは限りません。

確かに、メーカーでは特に製品在庫の状況に注意しておかねばなりません。棚卸資産回転日数をしっかり把握し、過剰在庫に陥らないようチェックする必要があります。しかし、そればかりに注力しても全体として運転資金の効率が向上するとは限りません。

キッチン用品MJSの社長が選択した行動はパターン3でした。それでは、一体どんな経営指標を使ったのでしょうか……
 

CCCを積極的に活用したことにより資金効率が向上!

ある日のこと、キッチン用品MJSの社長が帰宅すると、ちょうど妻が中学生の息子と話しているところでした。

息子 今回の期末テスト、数学こんなに良かったんだよ。ほら
あら、ほんとね。中間テストの雪辱を果たしたって感じかな? 頑張ってたもんね
息子 うん、ありがとー。国語もまずまずでしょ?
ってことは、今回の期末テストは成績大幅アップね!
息子 いや、それがさ。前回悪かった数学の勉強に時間を使い過ぎちゃったみたいで、英語がガタ落ちしちゃって……。前よりも総合点は落ちちゃった
それは残念。こちらが上がればあちらが下がり……、行ったり来たりしてるってわけか……
息子 今度は総合点が上がるように頑張ってみるよ!

そのとき社長は思ったのです。

社長の心の声 <行ったり来たりしてるって、うちの会社も同じじゃないか。うちも「総合点」を見る必要があるんじゃないか?>

それまでキッチン用品MJSでは、一定期間、資金繰りに関わる特定の項目に集中的に手を打つ対応をしていました。その結果、仕入債務の管理の改善に取り組むと皆がそればかり見て、在庫管理の方がおろそかになり在庫が滞留してしまう。在庫の管理に注力すると皆がそればかり見て、今度は売上債権の回収が遅れてしまうといった具合でした。

この日、妻と息子の会話にヒントを得た社長は、運転資金繰りに関しての「総合点」が何なのか疑問に思いました。そして、ある日、取引銀行の担当者から、分かりやすいと評判の経営者セミナーがあると聞き、早速参加してみることにしたのです。

そのセミナーでは、講師が運転資金管理のための経営指標として「CCC」というものを紹介していました。最初はどこかの会社のPRかと思いましたが、CCCとはキャッシュ・コンバージョン・サイクル(Cash Conversion Cycle)の略称であり、キャッシュ化速度とも呼ばれている経営指標だということが分かりました。

CCCというのは、企業が原材料や商品仕入れなどに資金を投入してから、最終的にキャッシュ化するまでの日数を表す指標で、「キャッシュ投入→商製品→販売→キャッシュ回収」のサイクルにかかる日数がどれ位なのかの目安になるそうなのです。CCCは、棚卸資産・売上債権・仕入債務といった運転資金に影響する資産・負債をそれぞれ単独で管理するのではなく、総合的に考えることができる経営指標だということでした。

その後、キッチン用品MJSではCCCを使った運転資金の管理をすることにしました。その結果、どこかが良くなるとどこかが悪くなるといった状況に変化が現れ始めました。そして、少しずつ資金繰りに余裕ができてきたのです。

CCCを使った運転資金管理を始めたことで、3カ月前は55日だったCCCが50日にまで短縮できました。おかげで運転資金の管理が計画的となり、資金繰りも徐々に安定してきました。そして現在も、資金効率の向上のため、CCCを活用しながら継続的に努力を続けているところです。

【ワンポイント解説】
「CCC」 (キャッシュ・コンバージョン・サイクル)
CCCは次のように定義されます。
  CCC=棚卸資産回転日数+売上債権回転日数-仕入債務回転日数
  (注)棚卸資産回転日数=棚卸資産÷1日当たり売上高(または売上原価)
     売上債権回転日数=売上債権÷1日当たり売上高
     仕入債務回転日数=仕入債務÷1日当たり売上高(または売上原価)
仕入債務の支払いから売上債権の回収までの期間が短期化しているかどうかを把握する指標で、CCCの適正な日数については業種等によって異なります。
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