記事制作:税経システム研究所

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2019/03/23
【掲載記事が100本に到達しました!】「経営センスチェック」サイトでは、ストーリー仕立ての記事を通じて、経営の中で活きる会計を実感し、会計を身近に感じていただくことを目指して記事を掲載して参りました。そして、本号をもって掲載記事が100本に到達いたしました。これもひとえに読者の皆さまの支えがあってのものと感謝しております。 100本達成を期に、記事の形式や内容のバリエーションを増やすなど適宜リニューアルを行いながら、記事を掲載していく所存です。 より一層、経営の中で活きる会計を実感し、会計を身近に感じていただけるよう取り組んで参りますので、今後もご愛顧くださいますようお願い申し上げます。

質問

株主から配当を増やすよう要求された経営者。自社の配当可能な金額はいくらなのか知りたいのですが、どの数字を見れば良いでしょうか?

パターン1

配当は利益から出すものなので、損益計算書の当期純利益を見る。

パターン2

現預金がなければ配当できないので、貸借対照表の現預金の金額を見る。

パターン3

配当は株主の持ち分から出すものなので、貸借対照表の株主資本の内訳を見る。

この質問をイメージして以下のストーリーをお読みください。
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株主総会で拍手喝采を浴びる経営者

「ミロクサービス」の社長が、定時株主総会の場で配当金額について説明をしています。今期は業績が好調だったこともあり、配当金額は前期より多くなっています。集まった株主は社長の親せきや、先代の友人など10名ほどですが、皆大きな拍手で喜んでいます。

今年の株主総会では、株主の皆さんも喜んでいますが、去年の株主総会では、物言う株主(?)が現れて大変だったのです。

1年前 ~物言う株主が現れて、配当の増額を求められた

1年前の株主総会でのことです。毎年の株主総会は、社長の親せきや先代の友人など顔なじみの株主ばかりなので大変和やかに行われていました。ところが今回はいつもと雰囲気が違っていました。ある株主が亡くなり、その株式を相続した若い株主が現れたのです。

そして、質疑の時間になったとき、その若い株主が手をあげて発言を始めました。

若い株主 今期の配当は1株当たり50円、総額1千万円ということですが、この金額は10年もの間かわっていませんね。しかしミロクサービスには配当可能な金額が随分とあるようですが、もっと配当金額も増やしてはいかがでしょうか
社長 えっ、配当可能な金額ですか???
社長があせりながら手元の決算書をぱらぱらとめくりだしました。
若い株主 ……まぁ、いいです。決して配当可能額を全額配当してほしいと言っているわけではありません。毎年の配当を少し増やしてほしいという意見として聞いておいていただければ結構です
若い株主が引き下がってくれたのでほっとした社長ですが、他のなじみの株主がひそひそと話している声が気になりました。
株主A 何だか、物言う株主みたいで恐いわ……。でも、確かに配当金額がずっと据え置きだから、増やしてもらいたいのは確かよね
株主B そうだな。会社の役員や従業員の給料は増えてるんだから、株主だって配当増やしてほしいよな
  そのまま株主総会は大きなトラブルなどもなく終了しました。
 

質問

株主から配当を増やすよう要求された経営者。自社の配当可能な金額はいくらなのか知りたいのですが、どの数字を見れば良いでしょうか?

▼あなたの思うパターンをクリック▼

パターン1

配当は利益から出すものなので、損益計算書の当期純利益を見る。

パターン2

現預金がなければ配当できないので、貸借対照表の現預金の金額を見る。

パターン3

配当は株主の持ち分から出すものなので、貸借対照表の株主資本の内訳を見る。

確かに損益計算書の当期純利益は配当の財源ではありますが、会社の配当可能な金額は当期純利益では分からないのです。もっと違うところを見る必要がありそうです。
 

確かに現預金がなければ配当金を支払えません。しかし、会社が配当できる金額は違うところを見なければ分からないのです。
 

実は、株主に配当できる金額は貸借対照表の株主資本の内訳を見れば概ね分かるのですが、具体的にどの金額を見れば良いのでしょうか……
 

経理部長に助けられた社長

その株主総会が終わった後のことです。今年も、経営幹部そして株主総会の準備を担当した社員らでそのまま近くの店へ打ち上げの昼食会に向かいました。そこである若手社員が社長に向かって切り出しました。

若手社員A 社長、今日の総会で株主さんから“配当可能な金額が随分とある”って話がありましたけど、配当は損益計算書の当期純利益が限度額になるんですよね。当期純利益が配当の財源なんですから
若手社員B 違いますよね、社長。貸借対照表の現預金の金額が上限ですよね。だって、お金がなかったら配当を支払えませんから
若手社員C 二人とも違いますよ。貸借対照表の株主資本ですよね。だって株主資本が株主の取り分ですから

若手社員始め、昼食会に参加している社員皆が社長の回答を待っています。

社長の心の声 <なぜ、この場でそんなことを俺に聞くんだ。俺だって知らないぞ。さっさと経理部長に聞いておくんだった……>

もはや分からないとは言えなくなった社長は、苦し紛れに答えました。

社長 まぁ、どれも正解であり、正解ではない、といったところだな……

その場にいた社員が皆きょとんとしています。同時に、若手社員に「聞いてはいけないことを聞いてしまったんだ」という後悔の表情が見え始めたときのことです。トイレから戻ってきた経理部長が席に座りながら言いました。

経理部長 さすが社長。上手く表現されましたね~
若手社員A えっ、どういうことですか?
経理部長 いいか、ざっくり言うと、貸借対照表の株主資本にある『その他資本剰余金』と『利益剰余金』の合計が配当できる限度、つまり配当可能限度額だ
若手社員C やっぱり僕の言ったとおり、株主資本を見ればいいんですね
経理部長 ただ、実際には多くの会社が当期純利益に対して一定の割合で配当するようにしているんだ。それが配当性向と言うんだが、日本の上場企業の平均は30%ぐらいと言われている。当期純利益が100なら配当を30にしているってことだ
若手社員A 当期純利益を配当の目安にする会社が多いってことですね
経理部長 ただ、現預金がなければ配当を払えないから、現預金の金額も配当金額を決めるうえでは重要だ
若手社員B だから、社長はどれも正解であり、正解ではない、とおっしゃったんですね!
社長 まぁ……、そういうことだな!
社長の心の声 <経理部長が気をきかせてくれて助かった。配当性向と配当可能限度額の違いぐらいは勉強しておかないとどこで恥をかくか分からないぞ>

 

【ワンポイント解説】
「配当性向と配当可能限度額の違い」
配当性向とは配当金額の当期純利益に対する割合を言います。一方、配当可能限度額は、概ね「その他資本剰余金」と「利益剰余金」の合計金額となりますが、詳しくは会社法で規定されているので注意が必要です。
なお、当期純利益が赤字であったとしてもその他資本剰余金や利益剰余金があれば配当することは可能であり、この場合の配当性向はマイナスとなります。
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