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2017/03/03

質問

日々売れ残りが多いことに悩む「パン工房ミロク」。あなたが経営者なら次のうちどの行動をとりますか?

パターン1

売れるとはっきり分かっている量しか製造しない。早い時間に売り切れたらその日は閉店する。

パターン2

売れ残りそうになったら、早めにディスカウントし、売り切れるまでディスカウト率を上げていく。

パターン3

ヒット商品を開発し、そのパンの製造量を増やし、他のパンもついでに買ってもらうようにする。
 

この質問をイメージして以下のストーリーをお読みください。
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活気ある街で人気のパン屋さん

「パン工房ミロク」は、パン屋さんになることが子供の頃からの夢であった店主が脱サラをして始めたお店で、大都市のベッドタウンであるA市にあります。お店は駅の近くにあり、昼間は親子や学生、友達同士で訪れるお客さんでにぎわい、夕方は会社から帰ってきた人たちが立ち寄れるように、少し遅めの時刻まで開いていて、活気あるお店です。ただ閉店間際に立ち寄ると、棚のパンはほとんど売り切れており、街で人気のパン屋さんであることが分かります。

しかし、数年前には夕方以降に売れ残るパンの多さに悩んでいたのです。ちょっと、その頃の様子を見てみましょう。

数年前 ~売れ残りの多さに悩む日々

店主は、比較的若い世代が多く住んでいる住宅地という印象が強いA市の駅近くにお店を開きました。いい場所に開店できたこともあり、おいしいパンを焼いていれば、うまくいくと思っていたのですが……。

ある日の営業時間終了後、お客さんもいなくなった店内で、売れ残ったパンを眺めながら、店主はつい愚痴をこぼしてしまいました。

店主 一生懸命に心をこめて焼いてるんだけど、どうしてこんなに売れ残るのかなぁ。自分で言うのもなんだけど、おいしいと思うんだが……
販売スタッフ お客さんには、おいしいパン屋さんができてよかったと言っていただけていますよ。地道にやっていけば、徐々にお客さんも増えて、売れ残りは減ると思います
製造スタッフ 注文販売にすれば、売れ残りがゼロになりますよ。お店での販売をやめて、前日までに注文を受けて、焼き立てのパンを配達するというのはどうでしょう
販売スタッフ えー、私はクビですかー! 私、配達担当するだけの体力はないと思います……
製造スタッフ ごめん、ごめん。そんなつもりじゃなくて、売れ残りをなくして、焼き立てのパンをお客さんに直接お渡しできるからいいなぁと思っただけだよ
店主 確かに注文販売だけにすれば、売れ残りはなくなるんだけど。もともと、働いて疲れて帰ってくる人たちが、帰宅途中にかぐ焼き立てのパンの香りで、少しでも元気になってくれればいいなぁという思いもあったし……
製造スタッフ でも売れ残ったパンを見るのはさびしいですね
販売スタッフ ……そうですね
売れ残りはスタッフに持って帰って食べてもらうにせよ、捨てるにせよ、お店の利益を圧迫しています。やがて、新しいパンの研究をする余裕資金もなくなるおそれが出てきて、お店の雰囲気も新鮮さに欠け、活気も今一つとなってきていました。

質問

日々売れ残りが多いことに悩む「パン工房ミロク」。あなたが経営者なら次のうちどの行動をとりますか?

▼あなたの思うパターンをクリック▼

パターン1

売れるとはっきり分かっている量しか製造しない。早い時間に売り切れたらその日は閉店する。

パターン2

売れ残りそうになったら、早めにディスカウントし、売り切れるまでディスカウト率を上げていく。

パターン3

ヒット商品を開発し、そのパンの製造量を増やし、他のパンもついでに買ってもらうようにする。
 

確かに、この方針なら売れ残りはなくなるでしょう。
しかしこの方針ですと、閉店の時刻が一定でなくなり、帰りがけの人はパンを買えない可能性を考えて、勤め先の近くのパン屋さんで買って帰るかもしれません。このことは、もし製造販売したならば得られたであろう利益を失っていることにもなります。
なお、この方針の場合、スタッフの給料や店舗の賃借料など、売上のいかんを問わず、一定額かかる費用を支払っていけるのか、さらに新たなパンの研究等を行うだけの余裕があるのかを会計の数値で確認しておく必要があります。

閉店前に大幅なディスカウントをすると、午後に買っていてくれていたお客さんもその時刻を目指して来店するようになる可能性があります。また疲れて帰宅する人たちは、その行列に加わることをせずに、通り過ぎるかもしれません。結果的に、販売量は増えても、意外と売上高は増えない可能性があります。そのため、無制限な販売価格のディスカウントは、かえって利益を減らすことになりかねません。

パン工房ミロクの店主が選択したのは、パターン3でした。毎日よく売れるパンを改良することで、そのパンの人気を高め、そのパン目当てに来店してもらうという工夫をしました。その結果、……

ヒット商品を買うために電車に乗る

午後勤務の販売スタッフが控室で昼食を取ろうとして少し早く出勤した時がありました。その紙袋を見て、製造スタッフが驚きの声を上げました。

製造スタッフ あー、その紙袋「ミロクおにぎり」のじゃない? わざわざ新宿まで行ってきたの?
販売スタッフ フフフ、わざわざ行ってきたんです、肉巻き二段おにぎりの魅力に引かれて。1時間待ちです
製造スタッフ えー、1時間? でもいいなあ。食べられて
販売スタッフ あら、多めに買ったから1個分けてあげましょうか? 待ち時間と電車代があるからプレミアム価格になりますけどね、フフフ
製造スタッフ ……
この会話を聞いて、店主はハッとしました。
店主の心の声 <おにぎりを買いに電車に乗るんだったら、パンを買いに電車に乗る人もいるはずだ>
それから店主は曜日別および時間帯別の商品ごとの売上データを取るために新しいレジを導入しました。すると、デニッシュ系、中でもクロワッサンが1日を通してよく売れていることが分かりました。店主の得意とするパンでもあったので、自信を深めました。
店主の心の声 <よし、クロワッサンを改良しよう>

そうして出来上がったのが抹茶ワッサンと抹茶クリームワッサンでした。抹茶色のビジュアルが口コミやソーシャルネットワークサービス(SNS)で広まるようになり、テレビの情報番組でも取り上げられるようになりました。いわゆる「バンドワゴン効果」が功を奏し、地元の人以外も来店するようになり、せっかく来たのだからと他のパンも買っていってくれるお客さんが増え、相乗効果で他のパンも売れるようになっていきました。こうして、パンが売れ残ることはほとんどなくなりました。パン工房ミロクが人気店になったことで、スタッフもとてもやりがいを感じるようになっていったのです。

ワンポイント解説 「バンドワゴン効果」パン工房ミロクのように、ある商品が多くの人に受け入れられている、流行しているという情報が流れることで、その商品への購買欲が 一層強くなることをバンドワゴン効果と言います。
バンドワゴンとは文字通り、バンドが乗った車のことで、パレードの先頭をいくことから、流行やヒット商品に乗るということを意味しています。
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