給料をいくら増やせばいいんだ? 経営者が知っておきたい人件費の経営指標とは?

2024年3月3日

質問

ある企業の経営会議で社長が人事部長に「今期は業績が良いから、社員の給料も増やしてあげてくれ」と言ったところ、人事部長から「では、給料をどの程度アップすればよろしいでしょうか?」と逆に質問されました。あなたが社長なら、人事部長に何と言うのが最適だと思いますか?

パターン1

「労働分配率」を目安に人件費を増やしてくれ。

パターン2

「売上高」の増加率を目安に人件費を増やしてくれ。

パターン3

「利益」の増加率を目安に人件費を増やしてくれ。

この質問をイメージして以下のストーリーをお読みください。

給与明細
計算

順調に付加価値を増やしている会社

「みろく製造所」は現社長が30年前に脱サラして創業したメーカーであり、付加価値の高い仕事をすることを社是にしています。ある朝礼でのことです。社長が全社員を前に大々的に発表しました。


社長

皆さんのおかげで今期の業績は大変良かった。本当にありがとう。ということで、皆さんの給料もアップすることにしました!

おお~!!


社員の皆さん

社長、ところで給料は何十パーセント上がるんでしょうか?


社員Aさん


社長

なんと、1パーセントだ

えっ、10パーセントじゃなくて。1パーセント??


社員の皆さん


社長

私はもっと給料を上げたいところなんだが、人事部長が決めた話だ。文句は人事部長に言ってくれ

わずかではありますが、給料をアップすることができたみろく製造所ですが、実は給料をどの程度上げるかについて、先週の経営会議ではもめたのです。

人件費をアップするときの目安は?

みろく製造所のある月の経営会議でのことです。社長は、業績が良かったことで相当な上機嫌です。


社長

……、ということで、今期は増収、増益で業績が良い。社員の給料もアップしたいと思う。人事部長、給料のアップの計算を頼む!

はい、社長、承知しました。ところで……


人事部長


社長

ん? ところで、なんだ?

給料をどの程度アップすればよろしいでしょうか? 何か基準にすべきものなどありますでしょうか?


人事部長


社長

えっ、そりゃあ……、人事部長である君にまかせよう! 何か良い基準を見つけてくれたまえ。わっはっはっ!

質問

ある企業の経営会議で社長が人事部長に「今期は業績が良いから、社員の給料も増やしてあげてくれ」と言ったところ、人事部長から「では、給料をどの程度アップすればよろしいでしょうか?」と逆に質問されました。あなたが社長なら、人事部長に何と言うのが最適だと思いますか?

▼あなたの思うパターンをクリック▼

パターン1

「労働分配率」を目安に人件費を増やしてくれ。

パターン2

「売上高」の増加率を目安に人件費を増やしてくれ。

パターン3

「利益」の増加率を目安に人件費を増やしてくれ。

実はみろく製造所では、労働分配率を目安にすることにしたのです。労働分配率とは一体何でしょうか?

売上高の増加率である増収率を目安にすることも考えられますが、売上が増えても利益が増えていない場合には、給料アップによって利益が減ってしまうこともあります。何か別の良い基準を見つけたいところです。

利益の増加率である増益率を目安にすることも考えられますが、利益のほかに、もっと良い基準もあるかもしれません。

社員が生み出した価値は社員に還元すべき!

人事部長は経営会議で社長から給料のアップを検討するよう指示され、どうしたものかと自分の席で考え込んでいました。

やっぱり、従業員が頑張って売上を増やしたんだから、売上の増加率を使うのがいいのかな~
でも、待てよ、営業部門は売上を上げるために頑張るが、製造部門や購買部門、本社部門は売上原価や経費を効率的に使うよう努力しているぞ。そう考えると利益の増加率を目安にするべきなのかな~


人事部長

こうして、人事部長が悩んでいるとき、ふと顔を上げると、大きな額縁が目に飛び込んできました。みろく製造所の社是である「付加価値の高い仕事を!」という文字です。

そうだ! これだ!


人事部長

人事部長は急いで経理部長のもとに駆け寄りました。

経理部長、給料のアップ率を付加価値を基準にして考えたいんですが、どうでしょうか?


人事部長

なるほど、社員が生み出した価値は社員に還元すべきということですね。それなら労働分配率という指標があります。計算式は(人件費÷付加価値)で計算します


経理部長

なるほど。会社が生み出した付加価値のうちどの程度を従業員に分け与えているかということですね


人事部長

ただ、労働分配率には目標となる数値があるわけではなく、業界によって異なりますし、高すぎても低すぎても良くありません。会社の目標となる労働分配率を設定することが必要です


経理部長

その後、人事部長は経理部長と協力しながら、ライバル企業などの労働分配率を参考に、会社の目標とすべき労働分配率を算出し、そこから従業員の給料のアップ率をはじき出したのです。

「労働分配率」

労働分配率とは、付加価値に占める人件費の割合を示しており、企業が生み出した付加価値のうちどの程度が人件費として支払われているかを表しています。計算式は一般的に以下のとおりです。
 労働分配率(%)=人件費÷付加価値×100%

なお、労働分配率が高ければ従業員のモチベーションになりますが、高すぎると企業業績を圧迫します。業界やライバル企業の数値を参考にしながら、目標とすべき労働分配率を設定することが望ましいでしょう。

また、本ケースでは労働分配率を参考に給与水準を検討していますが、付加価値が大きく増減したり、マイナスになったりした場合には労働分配率を基準にすることが難しくなります。実際には業界やライバル企業の給与水準、従業員の年齢構成等、様々な観点から総合的に検討するべきです。

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