KPI設定のコツ ~“ダイエットは何を指標にして取り組むべきか”で考えてみよう
2026年1月23日
質問
「弥勒製作所」の社長は、年間売上に関する目標を達成したいと考えており、営業部で運用される「月間の得意先訪問件数30件」という指標を見直す必要があると感じています。次のうちどのように見直すのが最も適切でしょうか?
パターン1
目標達成の鍵となる重要な要因を見極め、それに紐づく新たな指標を設定する。
パターン2
現在用いられている指標を維持し、基準とする件数を引き上げる。
パターン3
指標そのものを撤廃し、各担当者の自由に任せる。
この質問をイメージして以下のストーリーをお読みください。
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目標達成は目前!
設備を販売する「弥勒製作所」。売上は右肩上がりで、営業面の目標である「年間売上10億円」の達成は目前です。

社長
目標を達成する日は近そうだ。これもみんなの努力のおかげだなあ
社長、感慨にふけるのは早いですよ。当社のウェブサイトに連載中のコラム『社長が語る製品の舞台裏』の原稿をよろしくお願いしますね。アクセス好調で、これがきっかけで注文していただくことも多いんですから

営業アシスタントのAさん
現在は確実に目標に近づく弥勒製作所ですが、3年前の売上は目標にはほど遠い水準でした。
3年前 ~目標にはほど遠い売上
3年前のある日、社長は売上データを眺めてため息をついていました。

社長
今月の売上もぱっとしないな。売上の目標にはほど遠いよ
営業担当の皆さんは得意先訪問を頑張っていますけど……

Aさん

社長
営業部では各担当者が得意先を毎月30件訪問することを指標にしているそうだね
はい。当社のウェブサイトに載せるために製品紹介の記事の作成をお願いしたんですが、連日の外回りで時間がないと断られました

Aさん
指標を目安に努力しても……成果が出ない!
お疲れさまです! 外回りから戻りました!

営業マンのBさん
商談成立ですか?

Aさん
いや、得意先の担当者がテレワークで不在だったんだ。最近は勤務形態や勤務時間が柔軟な会社が多くて、得意先回りをしても空振りばかりだよ

Bさん

社長
この状況では、各担当者が得意先を毎月30件訪問するという指標を目安に努力しても、年間売上10億円という目標は達成できそうもない。営業部における指標の運用を見直す必要がありそうだ
質問
「弥勒製作所」の社長は、年間売上に関する目標を達成したいと考えており、営業部で運用される「月間の得意先訪問件数30件」という指標を見直す必要があると感じています。次のうちどのように見直すのが最も適切でしょうか?
▼あなたの思うパターンをクリック▼
パターン1
目標達成の鍵となる重要な要因を見極め、それに紐づく新たな指標を設定する。
パターン2
現在用いられている指標を維持し、基準とする件数を引き上げる。
パターン3
指標そのものを撤廃し、各担当者の自由に任せる。
目標を達成するためには、目標達成のためにどのような要因が重要であるかを見極め、それに紐づく指標を設けることが効果的です。最終目標に向けたプロセスにおける具体的な中間指標をKPI(Key Performance Indicator;重要業績評価指標)と呼びます。
得意先訪問という営業活動も売上増加に貢献する可能性はあります。ただし、弥勒製作所の現状を踏まえると、得意先の訪問件数を増やすことが売上増加の重要な要因とは言えず、訪問件数の基準を引き上げても年間売上に関する目標を達成できるとは限りません。
各担当者が指標にとらわれないことで、新たなアイデアが生まれたり柔軟な対応が可能になったりする効果は期待できます。しかし、指標を一切設けないと、各メンバーが年間売上に関する目標の達成のために一丸となって行動することは難しくなります。
努力の方向、間違えていませんか?

社長
もうこんな時間か、ランチに行こう
私はダイエット中なのでお二人でどうぞ。スタイル改善のために、昼食を抜いているんです

Aさん

社長
一食抜いて体調は大丈夫かい?
実は疲れやすくて……。帰宅したらゴロゴロして、お菓子をつまんでいます。しかも、3キロ痩せたのにスタイルはちっとも変わらないんですよね

Aさん
筋肉量が落ちているのかもしれないよ。極端なダイエットをすると、筋肉量が減ることもあるんだ

Bさん
筋肉が減っては、スタイル改善という最終目標が達成できませんね

Aさん
体脂肪率を指標として、適度に運動しながらバランスよく食べるほうがいいんじゃないかな

Bさん
体重という指標にとらわれて、間違った方向に努力していたわ

Aさん

社長
……間違った方向に努力? 営業部で運用している指標も同じ状況かもしれないぞ
最終目標(KGI)に結びつく指標を設定しよう

社長
社内に周知していなかったが、当社は『年間売上10億円』を営業面の目標としているんだ
企業は多くのメンバーが集まった組織です。企業が成果を出すためには、メンバーが同じ目標に向かって行動を起こす必要があります。最終的に達成したい目標を数値化したものを、KGI(Key Goal Indicator;重要目標達成指標)と呼びます。KGIが明示され共有されると、メンバーが一丸となって動くことができます。

社長
得意先の訪問件数を増やすことは、『年間売上10億円』という最終目標に結びついているだろうか?
以前は、得意先の訪問件数を増やせば売上も伸びたんです。でも、最近は、対面による営業活動は空振りが多くて……

Bさん
最終目標に結びつかない指標を目安にして努力しても、私のダイエットのようになってしまうわ

Aさん
KPIとは ~最終目標の達成に向かうためのプロセスにおける中間指標
最終目標であるKGIを達成するには、それに向けたプロセスに細分化された中間的な指標を設定すると効果的です。具体的な中間指標を設けることで、メンバーが日常業務でアクションを起こしやすくなります。KGI達成に向けたプロセスにおける進捗状況を定量的に評価・分析するための中間指標をKPI(Key Performance Indicator;重要業績評価指標)と呼びます。
適切なKPIを設定するには、その前提として、目標を達成するためにどのような要因が重要であるかを見極める必要があります。

社長
今の当社にとって、売上増加のための重要な鍵を握る要因はなんだろう?
最近では、当社ウェブサイトからの資料請求や注文が非常に多いんです。ですから、サイトのアクセス数が増えることは売上増加の要因になると思います

Aさん

社長
それなら、たとえば『サイトの月間PV数(※)』などをKPIとして採用してもよいかもしれないね
※PV(ページビュー)数:ユーザーがウェブページを閲覧した回数のこと
当社主催のウェビナーに参加していただいた方は、その後、大口で注文されることが多いですね

Bさん

社長
なるほど。『ウェビナー参加者への営業フォロー実施率』などもKPIとして取り入れてもよさそうだ。KPIの数が多すぎても管理しきれないから、運用しやすい数のKPIを設定しよう
KPI設定のコツ
KPIを設定する際のポイントは、次のようにまとめることができます。
- KPIがどのような最終目標(KGI)の達成に貢献するのかを明確にする
- 最終目標(KGI)を達成するための鍵となる重要な要因を特定し、それに紐づくKPIを設定する
- 具体的な数値として測定できるKPIを設定する
- 日常の行動や改善施策に結びつきやすいKPIを設定する
- KPIごとに目標値や期限などの基準を明確にする
- 設定するKPIは重要なものに絞り、数を増やし過ぎない
設定したKPIはその後も見直し、事業環境や戦略の変化に合わせ柔軟に更新することも大切です。
具体的なKPIがあると、やる気が一層わいてきそうだぞ

Bさん
私もです! でも、その前に栄養補給が必要みたい

Aさん

社長
みんなでランチを食べながら、どんなKPIを設定したらいいか検討しよう!
KPI(Key Performance Indicator;重要業績評価指標)
最終目標の達成に向けたプロセスにおける進捗状況を定量的に評価・分析するための中間指標を指します。最終目標を達成するための鍵となる重要な要因を特定し、それに紐づく具体的なKPIを設定して運用することで、メンバーが最終目標の達成に向かって行動を起こすことができます。
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