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情報通信業

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2017/02/13

質問

取引先の無理な要求にも対応するため、社員に有給休暇を与えられない「ミロク通信」。あなたが経営者なら次のうちどの行動をとりますか?

パターン1

有給休暇の重要性は認めるが、人手不足のため、これまでどおり見て見ぬふりをする。

パターン2

未消化の有給休暇を買い上げることにする。

パターン3

有給休暇分も必要なコストと認識し、それを回収できる経営を目指す。

この質問をイメージして以下のストーリーをお読みください。
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社員同士の会話も弾むホワイト企業

インターネット関連の情報通信業を営むミロク通信では今日も社員同士の会話が弾んでいます。普通、こうした業界では社員同士の意思疎通はメールで行われますが、ミロク通信では積極的に社員同士が直接話すことで良好なコミュニケーションが取れており、売上も伸びています。

しかし、数年前のミロク通信はこのような状態ではありませんでした。

数年前 ~ ブラック企業一歩手前の状態

社員 えー、また仕様変更ですか? これで3度目ですよ。絶対納期に間に合うわけありませんって
社長 まあ、そう言わずになんとか頼むよ
社員 いや、仕様変更しておいて納期が同じなんて、明らかに契約違反でしょう。ガツンと言ってやってください
社長 その通りなんだが、うるさく言って次の注文が来なくなったらと考えると……
社員 もう4日も会社に泊まってるんですよ。これじゃあウチの会社もブラック企業と呼ばれますよ。入社して1年たたずに辞めてったヤツも何人かいましたし……。ウチにも有給休暇の制度、ありましたよね。あー、休みを取って、リフレッシュしたいなあ
社長の心の声 <有給休暇かあ、しばらくぶりに聞く言葉だなあ……>
 

質問

取引先の無理な要求にも対応するため、社員に有給休暇を与えられない「ミロク通信」。あなたが経営者なら次のうちどの行動をとりますか?

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パターン1

有給休暇の重要性は認めるが、人手不足のため、これまでどおり見て見ぬふりをする。

パターン2

未消化の有給休暇を買い上げることにする。

パターン3

有給休暇分も必要なコストと認識し、それを回収できる経営を目指す。

年次有給休暇は労働基準法で定められた労働者の権利です。その取得率は全国的に低く、また権利は2年間で消滅してしまいますが、それを理由に見て見ぬふりをし続けるのは、経営者としての正しい姿でしょうか。

いわゆる「有給休暇の買い上げ」です。これは違法ではないとの見解(労働政策研究・研修機構「年休の法律的意味」2016)もあり、実際行われてもいますが、労働基準法では、有給休暇を与えなければならない、と規定されているので、金銭を支給しても与えたことにはならないという見解も有力です。

有給休暇は企業が負担しなければならない社会的責任です。もし有給休暇にあてるはずの時間分を働かせたことになれば、その人件費分を企業はタダ乗り(free ride)していることになり、正当な競争をしていないことになりますので、……

新卒3年後定着率が高い会社

やせ細っていくようにも感じられる社員の姿を思い浮かべながら、社長はどうしたら社員が働きやすい職場になるのか思い悩んでいました。そんな中、気を晴らそうと久しぶりに飲みに出掛けました。

店員 社長さん、お久しぶりです。今日は浮かない顔をしていますね。仕事で何かあったんですか?
社長 うん、少しね。取引先から無理難題を言われて、そのしわ寄せのコストは全部、ウチが負担するんだ
店員 あー、タダ乗りね
社長 タダ乗り?
店員 だって、そうじゃない。お金を払わずにサービスを手に入れるんだから。私たちの業界では無銭飲食とも言うわね
社長はこの何気ない会話にハッとしました。それは取引先に対してではなく、社員に対してでした。
社長の心の声 <しまった。取引先が当社にしているのと同じことを私は社員にもしていたのだ。与えるべき休みを与えずに働いてもらうのは、まさにタダ乗りと言うか搾取同然だ>
社長 悪いけど、今日は帰るよ。おおっと、支払いね。お釣りはいいから
店員 毎度あり~。また寄ってね

低価格競争の負の連鎖に気付いたミロク通信の社長は、社員を集め、率直に言いました。

社長 これまで残業手当や休日手当を払っているからと、諸君には休日返上で働いてもらってきた。そんな私が言うのも変だが、君たちに必要なのは休暇だ。諸君が持てる能力を十二分に発揮できるように、有給休暇の取得に積極的になろうと思う
社員 ……
社長 驚くのも無理はないだろう。ただ今までのやり方では君たちに有給休暇を取られると会社はつぶれてしまう。人手が足りない分、人を補充するとしたら会社の費用も増えるだろうしね
社員 確かにそうですよね
社長 だから、通常業務にばかり追われるのでなく、ぜひ頭をリフレッシュさせ、下請けから脱却するためのアイデアを皆で出し合おう。そして、よいものについては積極的に実行していこうじゃないか!

この話を聞いて、涙ぐむ社員もいました。妊娠3カ月と分かり、退職を考えていた女性です。

幸い、取引先のいくつかがミロク通信との取引を継続したいと態度を軟化させてくれたり、社員のアイデアで開発したスマホアプリがヒットしたりして、売上が伸びてきました。この結果、休暇中の人手不足を派遣社員でまかなっても十分やっていけるようになっていきました。

こうしてミロク通信は、休みが取れる、働きやすい職場として社員から評価されるようになり、新卒3年後定着率が非常に高い会社として歩み始めたのです。
 
ワンポイント解説「従業員定着率」従業員が退職してしまうと、それまでにかけてきた採用・教育コストがムダになるだけでなく、新たな従業員の採用・教育コストがかかります。そればかりか、そもそも従業員が定着しない会社では、従業員の士気が上がらず生産性が低いなど、見えにくいムダも生じやすくなります。
ムダを生じさせないためには従業員の定着は重要ですが、それには、給与水準・職場の人間関係・働きがいなどの他、休みが取れることも大きく影響します。
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