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2021/11/13

質問

「フィットネスMJS」は利用度が著しく低い、いわゆる幽霊会員が増えているものの、売上は横ばいを維持しています。この状況で、あなたが支配人なら次のうちどの方法をとりますか?

パターン1

幽霊会員は低コストで売上をもたらしてくれる存在なので、増加を推進する。

パターン2

利用度の低い会員について、利用しない理由を調査し、利用を促すプランを提案する。

パターン3

実際の利用状況が平均を下回る場合は、その割合だけ料金を値引きする。

この質問をイメージして以下のストーリーをお読みください。
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楽しそうに汗を流す会員たち

とある県内でフィットネスクラブを営業する「フィットネスMJS」。健康維持・増進、ストレス発散、仲間との交流など、様々な目的で訪れる会員たちが、今日も店で楽しそうに汗を流しています。
 
そんなフィットネスMJSですが、1年前は、売上は横ばいながら、進むべき方向性に悩んでいたのです。ちょっとその頃の様子を見てみましょう。

1年前 ~利用回数の少ない会員さんが増えている

ある日のこと、フィットネスMJSの支配人らが話しています。

支配人 今日も常連のSさんとTさん、いらっしゃっていたよ。昨日は3時間いらっしゃったし、明日も来られるそうだ。気に入って頂けてうれしい限りだね
マネジャー それはありがたいですね。会員さんは増えているのに、店内は以前よりもすいていますから、常連さんには使い勝手がいいはずです
支配人 最近は利用回数の少ない会員さんが増えているのかな
経理部長 でも、売上は落ちていませんのでご安心ください
支配人 そうか。てっきり売上が落ち込んでいるんじゃないかと冷や冷やしていたんだ

とは言え、フィットネスMJSの進む方向性について支配人は悩んでいました。

質問

「フィットネスMJS」は利用度が著しく低い、いわゆる幽霊会員が増えているものの、売上は横ばいを維持しています。この状況で、あなたが支配人なら次のうちどの方法をとりますか?

▼あなたの思うパターンをクリック▼

パターン1

幽霊会員は低コストで売上をもたらしてくれる存在なので、増加を推進する。

パターン2

利用度の低い会員について、利用しない理由を調査し、利用を促すプランを提案する。

パターン3

実際の利用状況が平均を下回る場合は、その割合だけ料金を値引きする。

幽霊会員が多い分には、コストがかからず、そのままでも当面の売上は確保できるので、幽霊会員を増やした方が良いのかもしれません。しかし、このような会員はいつ解約してもおかしくないので、幽霊会員が増えているということは、将来、売上が大きく減るおそれが高まっているとも言えます。

フィットネスMJSの支配人が選択したのはパターン2でした。利用度の低い会員にわざわざ利用を促す必要はなさそうにも思えますが、フィットネスMJSでは、あえて、利用度の低い会員の利用を促すプランを提案することにしたのです。それはどうしてだったのでしょうか。

この方法は、利用度が低い会員にとっては料金が安くなるため、利用継続の誘因にはなるでしょう。しかし、利用度を上げなければ今よりも売上が大きく減少するおそれがあります。利用度の低い会員を優遇することになり、根本的な問題は解決しないままです。

気付きのきっかけは、ボクシングのタイトルマッチにあった!

ある日のこと、フィットネスMJSの支配人が帰宅し、テレビのスイッチを付けて、何かいい番組はないかと探していたところ、ボクシングの試合をしているのが目にとまりました。

支配人 そうか。今日は期待の日本人選手のタイトルマッチだった
息子 あっ、そうだったね。一緒に見ようよ
支配人 おー、いいフットワークしてるじゃないか。いいパンチが相手の顔にヒットしたし
息子 でも、相手選手はなかなかの曲者だから、油断は禁物だよ

しばらくして。

支配人 これから中盤戦だな。これならタイトル獲れるんじゃないか?
息子 でも、ちょっと気になってることがあるんだ。さっきから相手選手はボディ攻撃を繰り返してるんだ
支配人 でも、そんなに効いてる感じはしないぞ?

そして、試合終盤。

支配人 あれっ、どうしたんだ。ここにきて急に足が動かなくなったぞ。あと2ラウンドだっていうのに……
息子 相手のボディブローが効いてるんだ……。ボディブローって、顔面フックのような一撃と違って、そのときは効いてないと思っても、後から効いてくるっていうから心配だよ

試合終盤にすっかり足が動かなくなってしまった日本人選手、結局タイトル奪取はなりませんでした。

支配人の心の声 <ボディブローはそのときは効いてないと思っても、後から効いてくるってことか……。ん? これってフィットネスMJSの売上で言ったら……>

そして、思ったのです。

支配人の心の声 <利用のほとんどない会員を放置していても当面の売上が減ることはない。そのため、うちは新規会員の獲得の方に目が行きがちだった。だが、利用のない会員は何か(例えば、感染症の感染拡大や会費の値上げなど)あれば、すぐに退会してしまいかねない。幽霊会員がうちにとってのボディブローなんだ!>

このとき支配人は、幽霊会員対策の必要性に気付いたのです。

これを機にフィットネスMJSでは、各会員の利用状況についての調査を実施し、思った以上に、利用度の低い会員が多いことが分かりました。
 
また、それまで会員の声を聞く場合も、良く来店される常連会員から、雑談のついでに話を聞く程度だったため、気付かないうちに常連会員寄りの声ばかりが耳に入る一方、利用の少ない会員の声はほとんど集まっていませんでした。そこで、利用度の低い会員の声を集める方法の検討も開始しました。

そして、幽霊会員はこれを放置するのではなく、データを駆使して長期満足度を上げる方針を打ち出しました。幽霊会員をなくすことが長期満足度の向上につながると考え、3カ月以上利用のない会員の数を売上の先行指標となる重要指標として管理するようになったのです。
 
こうした取り組みにより、フィットネスMJSの売上の中長期的な成長が期待されるとともに、全く新規に会員を集めるよりもはるかに効率的・効果的な売上確保につながることが分かったのです。

ワンポイント解説「売上の先行指標」売上は企業の業績の重要な指標になりますが、目先の売上ばかりを追い求めてしまうと、売上減少の兆候を見落としてしまいかねません。このため、将来の売上につながる要素(例えば、顧客満足度)を見つけ、先行指標として管理することは有効でしょう。
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