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小売業

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2017/06/03

質問

販促担当者がポスティング会社に発注した宣伝チラシ。ところがその一部が配布されていなかったことで社員の不正を知った社長。あなたが経営者なら、不正防止のために次のうちどのような指示をしますか?

パターン1

今後はポスティング会社から、宣伝チラシの配布完了報告を必ず受けるよう指示する。

パターン2

今後は、発注どおりに配られているかどうか、担当者以外の社員に現場で確認するよう指示する。

パターン3

今後は当社の宣伝チラシの担当者を定期的に変更するよう指示する。

この質問をイメージして以下のストーリーをお読みください。
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宣伝チラシの効果で集客に成功しているお店

「ファッション・ミロク」は、東京郊外にある複数のショッピングセンターにお店を出している、衣料や雑貨の小売店です。現社長が先代のはじめた小さな店舗を引き継ぎ、少しずつ品数や店舗数を増やしてきました。
 
6月の父の日である日曜日のことです。ファッション・ミロクが入るショッピングセンターは大勢の人でにぎわっています。そしてファッション・ミロクの店内では、同社の宣伝チラシをもった大勢のお客さまが、チラシ掲載の商品を探しています。今年は宣伝チラシの効果で集客がうまくいっているようです。
 
父の日は6月の数少ないイベントにもかかわらず、これまでは毎年売上が伸びず困っていました。今とは全く状況が違っていた1年前の様子をちょっとのぞいてみましょう。

1年前の「父の日」 ~発注したはずの宣伝チラシが配布されていない!?

それは1年前の父の日のことでした。社長は前の週にポスティング会社に発注した宣伝チラシにどれほどの効果があるのか、期待に胸を膨らませて、店頭に立っていました。これまでクリスマス商戦やゴールデンウィークなど売れ行きの良い時期では宣伝チラシを配布していましたが、6月の父の日というあまり集客の良くない時期でのチラシ配布は初めての試みでした。ところがお客さまは思った程現れず、今一つ宣伝チラシの効果が見られません。数時間がたち、相変わらずお客さまが増えずにいるところに、管理部長がやってきました。

管理部長 やはりお客さまは増えませんか
社長 父の日にむけて宣伝チラシを配るという施策は失敗だったかな……。うちでも父の日のプレゼントなんて買ってもらったことないからな……
管理部長 社長、実は気になることがあります
社長 気になること?
管理部長 実は先ほど、買い物に来ていた私の親戚に聞いたのですが、当社の宣伝チラシがポストに投函(とうかん)されていなかったようなのです
社長 えっ、ポスティング会社がミスをしたってこと?
管理部長 気になってポスティング会社に電話をして聞きましたら、ポスティングエリアが当初の予定エリアから半分に縮小されていたようなのです
社長 えっ、そんなはずはない。私はエリア縮小の指示など出していないぞ
翌日、社長は件(くだん)のポスティング会社を訪問し、当社のチラシ担当者に話を聞きました。その説明によると、合意した当初のエリアを半分にするので料金も半分にしてほしいという依頼があり、その減額分は、Aさんが指定した口座に振り込んだというのです。またAさんから、配布完了の報告は書面ではなく電話で良いと言われたというのです。

これを受けてAさんを追及したところ、結局、Aさんは自分の行った不正を認めました。旦那さんがリストラされて、どうしてもお金が必要だったというのです。配布エリアを減らして、浮いたお金を横領したのでした。

このとき社長は、「長年、販促業務のすべてをこなしてきた“縁の下の力持ち”のAさんが不正を働くのを、なぜ防げなかったんだ」と悔やみました。それだけでなく、「もしも社員とポスティング会社とが共謀したら?」、そんなことも頭をよぎり、対策の必要性を感じたのでした。

質問

販促担当者がポスティング会社に発注した宣伝チラシ。ところがその一部が配布されていなかったことで社員の不正を知った社長。あなたが経営者なら、不正防止のために次のうちどのような指示をしますか?

▼あなたの思うパターンをクリック▼

パターン1

今後はポスティング会社から、宣伝チラシの配布完了報告を必ず受けるよう指示する。

パターン2

今後は、発注どおりに配られているかどうか、担当者以外の社員に現場で確認するよう指示する。

パターン3

今後は当社の宣伝チラシの担当者を定期的に変更するよう指示する。

発注担当者以外の者がポスティング会社から配布完了後直ちに配布完了の報告を受けることで、不正な発注が行われても気付くことができます。
ただし、発注担当者がポスティング会社側と癒着している場合には、ポスティング会社から事実と異なる配布完了報告がされるおそれがあり、この方法は有効ではなさそうです。

発注どおり宣伝チラシが配られているかどうか、担当者以外の社員が実際に現場で抜き打ちにより確認すれば、不正を防止できるでしょう。しかし、それでは大変な手間とコストがかかってしまいますし、事後的な対応となってしまいます。

実は社長が行ったことはパターン3でした。社長はすぐに宣伝チラシなどに関する業務の担当者を定期的に変えることにしたのです。そのねらいは不正防止だけではなかったのですが……

社員育成と不正防止のために

その日の夜、社長は信頼していたAさんが不正をしていたショックを引きずりながら、自宅で食事をしていると、妻が隣で話しかけてきました。

金融機関で働いている私の友達が、来週から転勤で北海道に行くのよ。それが、辞令からたった数日で引っ越ししなければいけないらしいの。大変ね
社長 金融機関で、辞令が出てからすぐに異動させるのは、不正を発見する目的もあるらしいよ。もし不正をしていれば、その不正の後始末をする時間的余裕を与えないというわけさ。本当かどうか分からないけどね
なるほどね。業務の幅を広げさせるという社員育成の名目の裏には、不正発見という隠れた目的もあるというわけね。ローテーションもなかなかよくできた仕組みね

妻の「ローテーション」という言葉を聞いて社長はピンときました。

社長の心の声 <Aさんが不正に手を染めたのは、長年Aさんだけに営業事務を任せてきたことが原因だ。自分しか分からない業務があるから、Aさんに不正の動機が生まれてしまった。今後は定期的に社員の業務のローテーションを行うようにすれば、社員の業務の幅が広がり、かつ不正も防止できるかもしれないぞ>

社長は翌日、すぐに管理部長に業務のローテーションについて相談すると、管理部長も大賛成でした。

管理部長 部下の業務を上司にチェックさせても、上司は細かいことが分からないから不正は見つけにくい。業務ローテーションをすることで、その業務を分かる人が増えるから、相互チェックの仕組みも入れやすくなります。何より、うちのように社員数が少ない会社では、誰かが休んだり、産休を取ったり、なんてことがあったときに、その業務をできる人が社内にいることは業務の安定につながります
【ワンポイント解説】
「業務のローテーション」
社員が担当する業務を定期的に変えることを言います。一人の担当者が同じ業務を長期間担当すると不正の温床となりやすいため、担当者を定期的に変えることで不正を予防する効果が期待できます。また、業務のローテーションにより、社員の知識や視野が広がるほか、業務の繁忙期にあわせて一時的に担当者を増やすことで、残業時間の平準化なども期待できます。また社員のモチベーションアップや社員同士のコミュニケーションの向上といった効果もあり得ます。
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