在庫水増しによる粉飾・不正会計! その意味と不正防止対策とは?

2026年3月3日

質問

関東を中心に店舗展開している「ミロクドラッグストア」。ある日、社長は同業の「X社が在庫の水増しによる粉飾・不正会計」というニュースを目にしました。この不正について最も適切に表しているのはどれでしょうか?

パターン1

負債を少なく見せるための不正である。

パターン2

利益を多く見せるための不正である。

パターン3

売上を多く見せるための不正である。

この質問をイメージして以下のストーリーをお読みください。

在庫
注意

在庫の粉飾・不正をさせない

「ミロクドラッグストア」の社長は、今では、内部統制の強化や従業員のコンプライアンス意識を高めるとともに、在庫管理システムの導入などで在庫に絡む粉飾・不正の防止を徹底化しています。というのも、社長は在庫を利用した粉飾・不正があることを知っているからです。事の発端は、1年前の同業他社による粉飾・不正会計のニュースでした。

1年前 ~同業他社で粉飾・不正会計発覚のニュース


社長

同業のX社が在庫の水増しによる粉飾・不正会計をしていたことが発覚したのか。どうやら会社ぐるみの粉飾・不正っぽいな。うちも気を付けなければいけないな。ところで、在庫の水増しによる粉飾・不正とはどういう手口なんだね?

在庫の水増しは、期末の在庫高を実際よりも過大に計上する行為です


経理部長


社長

なるほど、在庫つまり資産を多く見せることを目的とした粉飾・不正か

確かにそういう面もありますが、もっと本質的といいますか大きな意図があったと推察されます


経理部長


社長

どういうことだね?

質問

関東を中心に店舗展開している「ミロクドラッグストア」。ある日、社長は同業の「X社が在庫の水増しによる粉飾・不正会計」というニュースを目にしました。この不正について最も適切に表しているのはどれでしょうか?

▼あなたの思うパターンをクリック▼

パターン1

負債を少なく見せるための不正である。

パターン2

利益を多く見せるための不正である。

パターン3

売上を多く見せるための不正である。

在庫の水増しでは、負債は減りません。

在庫の水増しは、売上原価の減少をもたらすので、利益の過大計上につながります。

在庫の水増しでは、売上は増えません。

在庫水増しによる粉飾・不正会計

在庫の水増しって、単に資産を多く見せるための不正ということではなく、むしろ利益の過大計上を目論んでいたと思います


経理部長


社長

恥ずかしながら、在庫の水増しと利益の増加の関係がピンとこないんだよな

両者の関係は意外と難しいですからね。ただ、この粉飾・不正のカラクリは絶対に知っておいた方が良いと思います


経理部長


社長

簡単に教えてくれよ

在庫のうち売れた分は売上原価という費用になり、売れ残った分は商品として資産計上されます。ここまではいいですね?


経理部長


社長

大丈夫だ

ここで不正を行って費用を過少計上したとすると、利益にはどう影響するでしょうか?


経理部長


社長

費用が減ったんだから、利益は増える……。そうか、気づいたぞ。私は売れ残った分だけに注目し、売れた分は考えていなかったのか!

そういうことです


経理部長

在庫水増しによる粉飾・不正のカラクリ

まず、売上原価の算式はこうなります


経理部長

期首の商品残高 + 当期の商品仕入高 - 期末の商品残高 = 売上原価
      売上高 - 売上原価 = 利益(売上総利益)

売上原価は費用ですから、小さくすることができれば利益を増やすことができます。売上原価を小さくするには、減算する期末商品残高を大きくすればよいということです


経理部長

図1


社長

あっそうか! たとえば、期末商品残高を500万円過大に計上すると、その分売上原価が小さくなり、利益が増加するって構図なわけだ

そのとおりです


経理部長


社長

X社は会社ぐるみの粉飾・不正だったとのことだが、どうやら金融機関からの借入条件で黒字決算が必須だったのかもしれない。会社の社会的信用にかかわることだから、こういった粉飾・不正を防止するための対策は、わが社でもしっかり行わないといけないな

在庫水増しによる粉飾・不正の防止対策 ~不正のトライアングルの視点が大事

在庫水増しによる粉飾・不正に関連して、ミロクドラッグストアの在庫管理に関する状況調査を進めた経理部長は、後日、状況を社長に報告しました。

わが社の粉飾・不正防止の件で、社長にご報告があります。各支店に在庫管理のヒアリング調査などをしたところ、A支店では支店長の独断で実地棚卸を行っていませんでした。また在庫管理データに誰でも簡単にアクセスでき、データ改ざんが容易に可能な環境であることも判明しました


経理部長


社長

それはまずい。そういったことから粉飾・不正がエスカレートしていくのは火を見るより明らかだ。すぐに全支店に改善策を講じないといけないな

そうですね。今回の件でいろいろ粉飾・不正について調べる中で分かったんですが、粉飾・不正対策には“不正のトライアングル”という考え方が役立ちそうなんです。これは、不正が起こる3つの要因を示したフレームワークです


経理部長


社長

トライアングル? なんだか面白そうだな。教えてくれ!

はい。不正のトライアングルは次の3つの要素で構成されていて、これがそろってしまうと不正が起こりやすくなります


経理部長

<不正のトライアングル>

■ 動機
 人が不正に手を染めるきっかけとなる理由や圧力です。
(例)
 業績目標の達成、借入れのための黒字達成など、達成しなければならないプレッシャー。

■ 機会
 不正を実行できる隙や環境です。
(例)
 在庫管理データに誰でもアクセスできる、実地棚卸をしていないなど、不正が可能な環境。

■ 正当化
 自分の行為を「仕方なかった」「会社のため」と思い込む心理的な言い訳です。
(例)
 「少しくらいなら」「会社のためだから」といった、自分の行為を正当化する心理。


社長

なるほど、A支店の場合もまさに、利益目標を達成したいという“動機”があり、在庫管理の弱点を突くという“機会”があり、そして、ちょっとした言い訳で“正当化”されてしまう……

そのとおりです。だからこそ、この3つの視点から不正の芽を摘むことが重要だと思います


経理部長


社長

よし、社内研修ではこの“トライアングル”を使って、みんなに不正の仕組みをわかりやすく伝えよう!

こうしてミロクドラッグストアでは、まずは内部統制を強化し、粉飾・不正を生じさせない組織づくりが急務と認識され、また、社員全員のコンプライアンス意識を高めることが重要だと認識されました。在庫の粉飾・不正などを防ぐための効果的な対策を再度吟味し、本社命令として各支店に徹底させようと検討しています。そして、役員を含む全従業員に年数回コンプライアンス研修を受講させることも検討しています。

在庫の水増し

帳簿上の在庫(期末商品残高)を過大計上し、売上原価を抑えることで、利益を増加させる行為であり、粉飾決算の手口の1つです。

企業で起こりがちな不正事例や不正防止対策についてもっと知りたい方はコチラもご覧ください。

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