決算書の読み方 ~「倒産」とは? 損益計算書・貸借対照表と倒産との関係は?
2026年4月3日
質問
「会社が倒産となるのはどんな状況か」と聞かれたとき、あなたなら次のうちどのような回答をしますか?
パターン1
損益計算書で、当期純損益が赤字(損失)となる状況である。
パターン2
貸借対照表で、負債の合計額が現金預金の金額を上回る状況である。
パターン3
貸借対照表の負債の返済ができなくなる状況である。
この質問をイメージして以下のストーリーをお読みください。
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ストーリーで考える ~「倒産」とは?
「スーパー・ミロク」の二代目社長である弥勒松太郎氏は、大学在学中の3人の息子のうち1人を将来の三代目社長にしようと考えています。自分の後継者を決めるにあたっては、経営センスを最も重要視する方針です。そこで松太郎社長は折に触れて息子たちに試験を課すことにしました。

社長
今度は、『倒産』についての問題だ。では、倒産とはどういう意味だ?
えっ!? うち、危ないの?

長男

社長
いや、今すぐどうこうというわけではない。そうはいっても、経営者として、どういう状況になると会社が倒産するのかを理解しておくことは必要だ
会社がつぶれちゃうことだよね

次男

社長
そうだが、もう少し具体的に考えてみなさい
会計的に説明するっていうこと?

三男

社長
そうだな。財務諸表を見たときに、どういう状況が倒産となるのかについて考えてみなさい
損益計算書で、当期純損益が赤字になったら倒産なんじゃないの?

長男
現金預金より借金、つまり負債の金額が大きくなった状況じゃないのかな?

次男
負債を返済できない状況だよね?

三男
質問
「会社が倒産となるのはどんな状況か」と聞かれたとき、あなたなら次のうちどのような回答をしますか?
▼あなたの思うパターンをクリック▼
パターン1
損益計算書で、当期純損益が赤字(損失)となる状況である。
パターン2
貸借対照表で、負債の合計額が現金預金の金額を上回る状況である。
パターン3
貸借対照表の負債の返済ができなくなる状況である。
損益計算書で、当期純損益を計算した結果が、赤字(損失)となる状況は、確かに好ましくはありません。とはいえ、損益計算書の当期純損益が赤字となっても、債務(負債)が期限通りに返済できていれば倒産とはならず、次年度以降に経営成績が回復すれば良いのです。
貸借対照表で、負債の合計額が現金預金の金額を上回る状況は、むしろよくあることであり、倒産ではありません。債務(負債)の返済が可能かどうかは、貸借対照表の日付の時点で保有する現金預金の金額だけでは判断できません。債務(負債)の返済期限までに、手持ちの現金・預金の金額、売掛金や受取手形などの売上債権で回収できる現金・預金の金額、棚卸資産を販売して現金・預金で回収できる金額などの合計額で、債務(負債)を返済できるかどうかを検討して判断することが必要になります。
倒産とは、企業経営が成り立たなくなり、債務(負債)の返済が困難になる状況をいいます。借金が返せなくなる状況、つまり、債務(負債)の返済期限までに、資産を換金して得た現金・預金の合計額で、債務(負債)を返済できなくなる、あるいは、返済が困難になる状況です。
「倒産」の意味を正しく理解しよう ~財務諸表から見る「倒産」の状況

社長
お前たち、財務諸表を見たときに、どういう状況が『倒産』になるのか分かったか?
損益計算書で総収益から総費用を引いて計算した当期純損益が、赤字になったときじゃないの?

長男

社長
いや、それは、その期の損益計算で赤字となっただけで、それだけで企業が倒産するとは限らない
え!? そうなんだぁ……

長男
損益計算書で当期純損益が赤字(損失)となっていることが「倒産」と言うことではないようです。

社長
もちろん、利益を上げる方が望ましいが、赤字でも負債を返済できれば、経営は継続できる。むしろ、当期純損益が黒字(利益)となっても、借金が返済できなければ倒産することもある。こういう状況を『黒字倒産』といったり、昔から『勘定合って銭足らず』ともいったりする
となると、貸借対照表を見ないと倒産の状況かどうかはわからないってこと?

次男

社長
確かにそうだが、貸借対照表を見たときにどういった状況にあるのかを、もう少し具体的に説明するとどうなる?
借金は現金預金で返済するわけだから、現金預金の金額を見て、それよりも負債の金額が大きければ、借金を返せないから倒産なんじゃないの?

次男

社長
いや、違う。たとえば、買掛金という負債は、売掛金を回収した現金預金で返済することができるだろう?
あぁ、そうだね

次男
貸借対照表で負債の合計額が現金預金の金額を上回っていることが「倒産」と言うことではないようです。

社長
手持ちの現金や預金だけで負債を全額返済しようとしても、それは無理がある。負債を返せない状況を具体的にいうとどうなるかな?
うーん、ちょっと説明が難しいな。でも、さっき父さんがいったことをヒントにすると、資産には、現金や預金のほかに、売掛金や受取手形などの売上債権、商品などの棚卸資産とかがあるから、それらが換金されれば、負債を返済するためのお金にはなるよね?

三男

社長
それで?
えーっと、だから、現金と預金だけではなく、売上債権や棚卸資産など、他の資産も換金したとして、そのときの現金や預金の保有額で借金を返せなくなった場合が倒産になるんじゃないかな

三男

社長
まぁ、そんなところだな。企業経営が成り立たなくなって負債の返済ができなくなる状況が倒産だ
だから、貸借対照表を見るんだ

長男

社長
そうだ。だから、経営者は、負債の返済という『未来の支払い』に対して、現金預金以外の資産を換金して得られる、いわば『未来の現金や預金』の金額が十分にあるかどうか、ということを見抜かなくてはならない。 それを経営者が見抜けないと、倒産という状況になりかねない
なるほど

一同
今回の試験によって、「倒産」の意味と、それが貸借対照表に関連して検討することであることが理解できました。社長は引続き試験を課すつもりです。
倒産
倒産とは、「企業経営が成り立たなくなり、債務(負債)の支払が困難になる状況です。原因は多々あるのですが、それを分析するためには、貸借対照表の諸項目について検討する必要があります。 また、倒産の状況になった場合、現実の実務としては、取引金融機関と相談したり、さまざまな法的な処理をするために、法令にもとづいた手続が必要になったりすることも付言しておきます。倒産のケースとしては、清算型の破産や特別清算、再建型の会社更生や民事再生といった法的な倒産の他、銀行取引停止といった事実上の倒産が挙げられます。
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