
固定資産管理って面倒! そんな悩み解消のために新任総務部長がやったこととは?
質問
「ミロク商事」は、日本各地に営業所がありますが、面倒な固定資産の管理業務に手間取っています。あなたが新任の総務部長なら、次のうちどの対策をとりますか?
パターン1
定期的に残業して、固定資産の管理業務をこなす。
パターン2
今後は原則としてリースで調達し、自社で資産を持たないようにする。
パターン3
固定資産を一元的に管理できるようにする。
この質問をイメージして以下のストーリーをお読みください。
ミロク商事の固定資産の管理業務は、極めてスムーズに行われています!
卸売業を営む「ミロク商事」は、東京に本社がある他、全国各地に10カ所程度の営業所を設置しています。今では固定資産の管理業務がスムーズに行われていますが、1年前は、各営業所が保有するさまざまな固定資産に関連した正確な資料がなかなか準備できず、苦労していたのです。ちょっとその頃の様子を見てみましょう。
1年前 ~ミロク商事は、固定資産の管理業務に大きな悩みを抱えていました
1年前のある日のことです。ミロク商事の本社では、新任の総務部長と資産管理担当スタッフが話をしています。
スタッフ |
部長、実は1月31日までに償却資産申告書を提出しないといけないんです。でも、申告書の作成にとても手間がかかっていて、提出期限に間に合わないんじゃないかと非常に焦っているんです |
総務部長 |
えっ、どんな問題があるのか話してくれ |
スタッフ |
この1年の間に取得や移動などがあれば、それらをまとめて、物件が所在する市区町村ごとに償却資産申告書を提出しなければならないんです。でも、知らない間に営業所の方で固定資産を購入していたり、営業所間で物件を移動していたりしてるんで、実態がよくわからないんです |
総務部長 |
うちは全国各地に営業所があるからなぁ。でも、営業所の方ではきっちり把握してるんだろう? |
スタッフ |
それが、きっちりしている営業所もあるんですが、そうでないところも多くて……。営業所から提出してもらった資料もあてにならないんです |
総務部長 |
どういうことだ? |
スタッフ |
前に何カ所かの営業所に行って、現品を実査して管理台帳と照合しようとしたんです。でも、現品にラベルが付いているわけでもないので、現品がどれなのかを調べるのにも非常に手間取る状況でしたし、管理台帳に記載もれや記載誤りもありました |
総務部長 |
そうなのか。今の管理状況だと、正確性に欠けるし、効率も悪そうだな |
このときはなんとか人海戦術で対応し、期限ギリギリで申告書を提出したのですが、その正確性には不安を残したままでした。そのため、総務部長は今後どうしていくべきか悩んでいました。 |
質問
「ミロク商事」は、日本各地に営業所がありますが、面倒な固定資産の管理業務に手間取っています。あなたが新任の総務部長なら、次のうちどの対策をとりますか?
パターン1
定期的に残業して、固定資産の管理業務をこなす。
パターン2
今後は原則としてリースで調達し、自社で資産を持たないようにする。
パターン3
固定資産を一元的に管理できるようにする。
悩みを解決したきっかけは、ゼミのOB会に参加したことだった!
固定資産の管理について悩んでいた頃のこと、新任の総務部長は大学時代のゼミOB会に参加しました。毎年、恒例で開催されるゼミ卒業生のOB会ですが、久しぶりに仲間との再会に話が弾み、お互いの苦労話も交わされました。
総務部長 |
俺は、少し前に総務部を担当することになったんだが、まだ慣れなくてな。うちは全国に営業所があるんだが、固定資産の管理業務がなかなかうまくいってなくて、悩んでるんだ |
総務部長が固定資産の管理業務の苦労をこぼしたところ、大阪から参加している友人が答えたのです。 |
友人 |
うちもしばらく前、同じ悩みを抱えていたよ。固定資産の管理では、数字の管理とモノの管理の両方が大事なんだが、物件が多くなると大変だよな。特に拠点がたくさんあるとな |
総務部長 |
そうだよなぁ |
友人 |
そのときは顧問税理士からすすめられた「固定資産管理システム」を導入したんだよ。そうしたら数字の管理もモノの管理も随分と精度を上げられたし、業務効率も改善できたんだ |
総務部長 |
本当か? その話を詳しく教えてくれないか |
その後、ミロク商事では、顧問税理士事務所とも協議しながら検討を進め、ある会計ソフトメーカーの最新の固定資産管理システムと物品管理システムを導入することになったのです。
システムでバーコード付きの物件管理シールを発行できるので、これを現品に貼り付けました。固定資産の実査はバーコードを読み込んでいくことで実施できるようになり、正確で効率的な実査ができるようになりました。
また、取得や廃棄の申請や移動の管理もシステム上で一元管理できるようになったので、本社でも状況がつかめるようになりました。
さらに、従来は手作業で行っていた償却資産申告書の作成業務が、システムから申告書の出力ができるようになったことでとても効率化することができました。
しばしば行われる税制改正にもタイムリーに対応していますし、償却シミュレーションにより償却費の予定額を正確に把握できるようになったので予算の精度向上といった効果も出ました。
こうしてミロク商事では、固定資産管理システム・物品管理システムを導入することにより、全社の固定資産を一元管理し、効率的かつ低コストで状況を的確に把握できるようになり、固定資産の管理業務を改善することができたのでした。
【ワンポイント解説】
「固定資産の管理業務」固定資産管理は、まず建物や機械、什器備品など各種の固定資産について「固定資産台帳」を作成するところから始まります。この「固定資産台帳」には、それぞれの固定資産の取得年月や、取得価額、耐用年数などの項目を記載するとともに、定期的に固定資産台帳と実際の資産の状態とを照合する必要があります。また固定資産の「取得」や「処分」には、稟議をかけるなど適切な権限者の承認を受ける必要があります。多岐にわたる業務をミスなく、効率的に行うことが大切です。