決算書の読み方 ~貸借対照表の資産の区分①:資産を2つに区分表示、どう区分する?
2026年5月23日
質問
貸借対照表では、資産を大きく2つに区分して表示しますが、どのように区分するのでしょうか?
パターン1
総資産と純資産に区分する。
パターン2
有形資産と無形資産に区分する。
パターン3
流動資産と固定資産に区分する。
この質問をイメージして以下のストーリーをお読みください。
|
|
貸借対照表の資産は大きく2つに区分して表示 ~どう区分する?
スーパー・ミロクの二代目社長である弥勒松太郎氏は、3人の息子のうち1人を将来の三代目社長にしようと考えています。自分の後継者を決めるにあたっては、経営センスを最も重要視する方針です。

社長
以前、『倒産』の意味について説明したときに、貸借対照表を見るのが大事だという話をしたな

社長
そこで、今回は貸借対照表の『資産』の区分についての試験をする。貸借対照表では、資産を大きく2つに区分して表示することになるんだが、どのように区分するか分かるかい?
資産って、貸借対照表の左側に並べる項目の資産のこと?

長男

社長
そうだ。考えてみなさい
貸借対照表って、資産と負債と純資産を表示するから……。ん? 総資産って聞いたことがあるなぁ。そうだ、「総資産」と「純資産」に区分するんじゃないの?

長男
兄さん、総資産って、資産全体の金額ってことなんじゃないの? だとすると、区分していないんじゃない? えーっと、有形資産とか、無形資産って聞いたことがあるよ

次男
兄さんたち、貸借対照表の資産の区分は違うんじゃないかな

三男
質問
貸借対照表では、資産を大きく2つに区分して表示しますが、どのように区分するのでしょうか?
▼あなたの思うパターンをクリック▼
パターン1
総資産と純資産に区分する。
パターン2
有形資産と無形資産に区分する。
パターン3
流動資産と固定資産に区分する。
総資産とは、貸借対照表の借方(左側)に掲記する資産全体のことです。一方、「純資産」とは、「総資産」から、貸借対照表の貸方(右側)に掲記する債務である「負債」を差引いて計算した差額のことで、資産を区分して表示しているものではありません。貸借対照表の「資産の区分」は、資産を現金化しやすさ(換金性)で流動資産と固定資産に分けることがポイントです。
「形があるかないか」ではなく、「すぐ現金化できるかどうか」で分けるのが貸借対照表の資産の大きな2つの区分です。
貸借対照表では資産を大きく、流動資産と固定資産の2つに区分することになっています。流動資産は、1年以内に現金化しやすい資産(例:現金、預金、売掛金、在庫など)、固定資産は、長期間使う資産や換金しにくい資産(例:土地、建物、設備など)です。それにはどういう意味があるかというと……
貸借対照表の資産の2つの区分の理由を考える

社長
おいおい、何のために貸借対照表を見る、という話になったんだ? 倒産するおそれが高いかどうかを判断する、っていう話からだったんじゃないのかい?
そうだった

一同

社長
そうだとすると、何のために資産を区分するのか考えてみなさい
さっき、総資産を資産全体の金額って話が出ていたよね。貸借対照表の式が「資産=負債+純資産」だから、「資産-負債=純資産」と変形することができる。この変形した式から、総資産から負債を返済して純資産が残れば、倒産しないと判断できるんじゃないの?

長男

社長
そういう考え方もできる。しかし、総資産を全部換金できれば負債の返済に支出できるが、すぐには換金できない資産もあるだろう?
貸借対照表の無形資産は形がないから換金しにくいものが多いんじゃないかなぁ。だから、有形資産と無形資産の区分は大事なんじゃないの?

次男
貸借対照表の資産の2つの区分 ~換金性の重要性を理解する

社長
有形の資産なのか無形の資産なのかは、すぐに換金できるかどうかとは関係ないぞ
父さんは、さっきから換金っていっているよね。換金性の考え方から資産を区分するなら、流動資産と固定資産に区分するんじゃないの?

三男

社長
なるほど。それで?
うん、流動資産っていうのは、換金性が高い資産(例えば、現金預金とか、売掛金とか、在庫)で、おおざっぱにいうと1年以内に換金できる。この流動資産を換金して、1年以内に支払わなければならない負債を返済できればいいんじゃないの?

三男
流動資産と固定資産の違いと、区分の考え方

社長
そうだ、いいぞ! それで、固定資産は?
固定資産(例えば、土地とか建物とか設備とか)は、換金するのが難しいから、まずは、流動資産の金額と、1年以内に返済する負債の金額を見れば、1年以内に倒産するおそれが高いかどうかがざっくりと判断できると思う

三男

社長
おおむね、それでいい。企業経営が成り立たなくなって負債の返済ができなくなる状況が倒産だったな。そのためには、資産の換金性について注目しなくてはならない。そのために、資産を流動資産と固定資産に区分して貸借対照表で示すことになっているんだ
父さん、前に倒産の意味の試験をしたときに、未来の現金や預金とかって話があったよね?

長男

社長
ああ。経営者は、負債の返済という『未来の支払い』に対して、現金以外の資産を換金して得られる、いわば『未来の現金や預金』の金額が十分にあるかどうかを見る、といった
そうそう、それを経営者が見抜けないと、倒産という状況になりかねないっていってたよね?

次男

社長
そのとおりだ。でも、貸借対照表をちゃんと分析できれば、倒産するおそれが高いかどうかを見抜くことができるのさ
それが、貸借対照表の資産とか負債を区分するって話だよね!

三男
今回の試験によって、「資産の区分」の考え方が理解できました。社長は「次は“なぜ資産を流動資産の固定資産に区分するのか”を考えさせることにしよう」と思っています。
「貸借対照表における資産の区分」
貸借対照表は、「資産」、「負債」、「純資産」に区分して表示しなければならずない、また、「資産」は、「流動資産」、「固定資産」(※)に区分しなければならないこととなっています。
(※)「資産」には、「流動資産」、「固定資産」の他に「繰延資産」がありますが、「繰延資産」が貸借対照表に計上されることは少ないので、ここでは詳しい説明は省略します。
経営センスチェックの記事の中から、資金繰りの改善、好業績を錯覚しないためのポイントなど、テーマにそっておススメの記事を抜粋した特別版冊子を掲載しています。
最新版では、「値上げ前に考えたいコスト削減方法」について取り上げています。世界的な原油や原材料の価格高騰により、値上げが多い一方、競争戦略的に値上げをしない、または値下げに踏み切る企業もありました。
皆さまがコスト削減するにあたり、ぜひ参考にご覧ください!
X(旧Twitter)で最新情報をお届けしています
Tweets by mjs_zeikei