記事制作:税経システム研究所

小売業

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2020/08/03

質問

新型コロナウィルスの影響で、前年比5割の売上減少が数カ月続いている小売店。来月末に期日を迎える銀行借入について、返済の目途が全く立たずに困っています。あなたが経営者なら、次のうちどのようにしますか?

パターン1

来月の返済期日を迎えるまで銀行には何も言わず、ギリギリまで対策を検討する。

パターン2

社長個人がどこかから借りて来月までに資金を用意する。

パターン3

来月の返済ができない状況をすぐに銀行に話す。

この質問をイメージして以下のストーリーをお読みください。
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銀行に業績の説明をする経営者

「みろく洋品店」の社長は、その日、メインバンクの会議室で担当者と部長に対し、業績の説明をしていました。

社長 おかげさまで、新型コロナウィルスの影響で激減してしまった当社の売上も、少しずつ戻ってきました
銀行員 それは良かったですね。一時はどうなることかと思いましたが
社長 ただ、これから先、また第2波、第3波が来てもおかしくないので、そのときに備えて、こうして毎月、業績のご説明しながらアドバイスをいただいているのです
銀行員 それはこちらとしてもありがたい。とにかく、早く新型コロナ前の状況まで回復するといいですね

今でこそ、新型コロナのどん底の恐怖から一先ず抜け出したみろく洋品店の社長ですが、一時は借入の返済の目途が全く立たず、倒産寸前だったのです。

来月の銀行借入の返済資金がありません!

新型コロナウィルスに関して緊急事態宣言が出された直後のこと。みろく洋品店の社長は、お客さんが一人もいない店舗の中で、経理担当者と一緒に資金繰り表を見ながら、大きなため息をついていました。

社長 難しいのは分かるけど、そこを何とかできないのか?
経理担当者 私も補助金や政府系金融機関の融資やらいろいろ調べましたが、もう来月末のメインバンクの借入を返済する資金が捻出できません
社長 じゃあ、いよいよ来月末で……
経理担当者 新型コロナさえなければ、こんなことにならなかったのにっ! この窮状をメインバンクに知られないようにしないと
社長 うーん。とにかく来月末ギリギリまで何とか手立てを考えよう
経理担当者 むしろ社長個人がどこかからお金を借りていただくことはできませんか?
社長 どこかからってヤミ金とかか? それだけは勘弁してくれよ。それより、今からメインバンクに正直に状況を話してみたらどうだろう?
経理担当者 ここ数年、新規の借入もしていませんから、メインバンクの担当者ともすっかり疎遠になっています。資金が厳しいなんて言ったらどうなるか……
社長 まいったな。明日の朝には魔法のようにコロナが消えてくれればいいんだが……
 

質問

新型コロナウィルスの影響で、前年比5割の売上減少が数カ月続いている小売店。来月末に期日を迎える銀行借入について、返済の目途が全く立たずに困っています。あなたが経営者なら、次のうちどのようにしますか?

▼あなたの思うパターンをクリック▼

パターン1

来月の返済期日を迎えるまで銀行には何も言わず、ギリギリまで対策を検討する。

パターン2

社長個人がどこかから借りて来月までに資金を用意する。

パターン3

来月の返済ができない状況をすぐに銀行に話す。

返済期日のギリギリまで対策を検討することは重要です。しかし、銀行に何も言わないまま進めることで、受けられるかもしれない支援が受けられないといった事態に陥り、状況が悪化してしまうかもしれません。
 

社長個人が、ヤミ金など通常の借入以外の方法に頼って資金を調達する方法もあるかもしれません。しかし、返済の目途が立たないならやめた方が無難でしょう。
 

実は社長が行ったことはパターン3でした。銀行に正直に話すことで、どのような解決策が生まれたのでしょうか?
 

母親に叱られている娘を見て悟った!

来月の銀行借入の返済の目途が立たず、どうしたらよいのか途方に暮れた日の夜。社長が帰宅すると、ちょうど母親が、小学生の娘を叱りつけているところでした。

母親 まったく、あなたって子は~

目を真っ赤にしながら娘が謝ります。

ごめんなさい……、本当にごめんなさい……
社長 どうしたんだ? 何かあったのか?
母親 この子ったら、新型コロナで自宅待機中だっていうのに、友達と遊んで、隣のおうちのガラス窓を割っちゃったのよ
社長 なんてことを……。それでどうしたんだ?
私、すぐに隣のおうちに謝りに行ったの……
母親 お隣さんは全然怒ってはいなかったんだけど、こんな時期だから、ガラス屋さんもすぐに来れないって、大騒ぎになっちゃったのよ
社長 でも、逃げたりせずに、ちゃんと正直にお隣さんに謝ったのは偉いぞ。正直に生きることが一番大事だ!

社長の優しい言葉に泣きじゃくる娘を抱きかかえながら、社長はふと思いました。

社長の心の声 <待てよ。今の自分も同じかもしれないぞ。銀行にウソをつくぐらいなら、さっさと正直に話をして、多少騒ぎになっても、一緒に解決策を考えてもらった方がいいかもしれない>

翌日、社長は経理担当者と一緒に、メインバンクの担当者を訪問しました。

社長 この資金繰り表をご覧ください。売上の半減が続いたことで、来月の借入返済の目途が立たない状況になっておりまして……
銀行 そうですか。こんな時期ですから、そのようなご相談は他でもたくさんあります。今の借入の巻き直しを検討しましょうか?
社長 えっ、巻き直し?
銀行 つまり、今の借入が複数ありますから、それを一本化して、返済は一年後から、などのように、返済条件を見直すのです
社長 そっ、そんなことしていただけるのですか?
銀行 もちろん、そのためにご提出いただく資料もありますし、違約金が発生する可能性もありますが、いずれにしてもできる限りの対応はさせていただきます
社長 銀行がそんなことをしてくれるんですか!? あっ、失礼なことを……
銀行 いえ、いいんですよ。とにかく今は新型コロナを乗り越えることが第一です。いずれにしても早めに状況を教えていただけたおかげでこちらも対応できます

こうして、社長と経理担当者は、銀行の担当者と一緒に、今の借入の返済スケジュールを見直す検討を進めることになりました。

社長の心の声 <今までは、銀行には近づきたくないと思って避けていたけど、新型コロナのようなとんでもない事態が起きたときに備えて、普段から定期的に銀行訪問して、状況を説明し、すぐに支援をお願いできるようにしておくべきだな>

 

ワンポイント解説「借入の巻き直し」現状の借入を借り換えたり、返済条件を見直したりすることを、「巻き直し」・「リスケジュール(リスケ)」・「リファイナンス」などと呼ぶことがあります。例えば、複数の借入があり、その月々の返済額が過大な場合に、その借入を新しい借入に組み替え、月々の返済額をより少なくするなどの方法です。なお、今回の事例では、銀行の担当者がみろく洋品店の状況を理解して、積極的に支援をしてくれましたが、必ずしも銀行が常に支援してくれるとは限りません。できる限り普段から銀行との情報交換を積極的に行い、信頼関係を築いておくことも必要です。
お知らせ2020年8月13日号は、夏季休暇中のため休載とさせて頂きます。次号は2020年8月23日号となりますので、引き続きご愛顧くださいますようお願い申し上げます。
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