以前の水準まで来店客が戻りそうもない鮮魚居酒屋。来店客を増やす対策とは?

2023年7月3日

質問

コロナ禍以降、「鮮魚居酒屋ミロク茶屋」では来店客が減ってしまっており、今のやり方を続けているだけでは以前の水準まで客足が戻りそうもありません。もっとお客さんに来てもらうために、あなたが店主なら次のうちどの行動をとりますか?

パターン1

手の空いている従業員に魚釣りに行かせ、釣れた魚を調理して提供する。

パターン2

顧客が釣った魚の持ち込みを認め、それを調理・提供する有料サービスを始める。

パターン3

少なくなった売上で賄うことができる人数まで従業員数を減らした上で、広告宣伝を強化する。

この質問をイメージして以下のストーリーをお読みください。

刺身
ビール

来店客が戻りつつある居酒屋

来店客の減少に悩んでいた「居酒屋ミロク茶屋」の店主ですが、悩んだ末に取った対応策が功を奏し、最近は徐々に来店客が増えてきているようです。

以前 ~お客さんが順調に定着してきていたところへコロナ禍が直撃

居酒屋ミロク茶屋は、郊外の住宅地が拡がる駅前に1軒だけある店です。数年前に、魚屋を営んでいた店主が、新鮮な魚介類を肴として出すことをウリとして、始めた店です。店が建物の1階にあることもあり、入り口に生け簀を設けて、お客さんには目でも楽しんでもらっています。仕事帰りの人達が気楽に寄ることができる店として、順調に客数も増やしてきていました。

しかし、コロナ禍が生じて以降、近隣に住む常連さんも居酒屋に寄る機会を大きく減らしてしまいました。

店主は、何とかコロナ禍前の水準まで来店客が戻ることを願ってはいるものの、コロナ禍が終息しても、今のやり方を続けているだけでは、その願いは叶わないのではないかと思っています。そこで店主は、「新鮮な食材で肴や食事を提供したい」という居酒屋を始めたときの思いを大切にしながら、従業員の雇用を維持しつつ、もっとお客さんに来てもらうための方策を模索していました。

質問

コロナ禍以降、「鮮魚居酒屋ミロク茶屋」では来店客が減ってしまっており、今のやり方を続けているだけでは以前の水準まで客足が戻りそうもありません。もっとお客さんに来てもらうために、あなたが店主なら次のうちどの行動をとりますか?

▼あなたの思うパターンをクリック▼

パターン1

手の空いている従業員に魚釣りに行かせ、釣れた魚を調理して提供する。

パターン2

顧客が釣った魚の持ち込みを認め、それを調理・提供する有料サービスを始める。

パターン3

少なくなった売上で賄うことができる人数まで従業員数を減らした上で、広告宣伝を強化する。

自店の従業員が直接、魚介類を採取し、家食に慣れた人達にも直接食材を販売することができることになります。しかし、店に余裕人材があるからと言って、釣り自体は素人である人材を釣りにまわすのはハードルが高いですし、食材の安定調達という点でも難がありそうです。

顧客が釣った魚の持ち込みを認めることで、それを調理するサービス代や場所代を得ることができる他、店の食事や酒類の売上も期待できます。釣り好きのお客さんが、その家族や友人などを連れて来店してもらえれば、より多くのお客さんを取り込むことが期待できます。

来店客を増やすために、少なくなった売上で賄うことができる人数まで従業員数を減らして人件費を抑え、その分、広告宣伝を強化することも考えられます。しかし、従業員の雇用を維持したいという店長の願いは実現できませんし、広告宣伝で来店客が増えた場合に再度従業員を確保しなければならなくなります。

釣りをしながら考えたこと

店主はもともと魚が好きで、趣味は釣りでした。ある日、気分転換に磯釣りに出かけていました。

コロナ禍の中で、磯釣りをしている人の数はやや少ないように見えます。出かけてくる釣り人が少なくなっているせいか、釣れた魚の量は十分なものでした。

釣り仲間A 今日は、随分と釣れたなぁ。家族だけでは食べきれないから、ご近所に配るかな
釣り仲間B 久しぶりだね。居酒屋を始めてからは、忙しそうにしていたから、釣りは随分とご無沙汰でしたね
店主 お久しぶり。今日の釣りの成果はみんなすごいですね
釣り仲間A こんなに新鮮なんだから、いろんな人に食べて欲しいところだけど、近所に配ってもさばくのが難しいだろうからなぁ……。いっそのこと、お宅の居酒屋で料理して出したら?
店主 それが、コロナ禍になってからは、お客さんが減ってしまってるから、店では消化しきれないかも
釣り仲間B 大変だよな。確かに最近は、外で食べるより、家で料理して食べることが増えたからなぁ
店主 コロナ禍が収まっても、以前のようにはお客さんも戻ってきそうもないんだよなぁ
釣り仲間A んー、待てよ。家で魚をさばくのは大変だから、店でさばいてもらえるなら、外で食べたいって人、結構いるんじゃない?

このとき店主は思いました。

店主の心の声 <店ではうちが調達した食材を調理して提供するものとばかり考えていたけど、お客さんが持ってきた食材を調理して提供するのもありなのかも>

居酒屋ミロク茶屋の店主は、これを機に、お客さんが持ち込んだ食材を調理して提供する有料サービスについて検討を始めました。比較的近隣に住む釣り仲間達の話も聞いてみました。

  • そんなサービスがあったら自分が釣った魚を持って、家族みんなで利用したい!
  • 自分が釣った魚を家の近くでその日に食べられるなら、友人も釣りを始めたいって!
  • 釣った魚を話のネタにお酒を飲んだら楽しそう!
  • 最近は家食に慣れてしまってたけど、こんな外食だったら利用したい!

いろいろと出た意見から、「もっとお客さんに来てもらいたい」という店主の思いが実現できるかもしれないと感じました。

採算についても検討してみることにしました。顧客が釣った魚の持ち込みを認め、それを調理するサービス代や場所代をもらうことにして収入を得るだけでなく、店での食事や酒類の売上も期待できそうです。釣り好きのお客さんが、その家族や友人などを連れて来店してくれることも期待でき、より多くのお客さんを取り込むことにもつながりそうです。

コロナ禍で生活習慣に変化が生じたことなどから、コロナ禍が収束しても以前のような来店客数に戻りそうもない状況下で、提供するサービスの見直しによる顧客増が店主の打った対応策の一つとなったのです。

ワンポイント解説

「提供するサービスの見直しによる顧客増」

本記事では、来店客を増やすために、提供するサービスの見直し(自ら調達した食材だけを調理して提供 → 顧客が持ち込んだ食材でも調理して提供)を行った例を取り上げました。なかなか顧客が増えない場合に、提供するサービスの見直しを探ってみることも有効です。

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