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2020/02/13

質問

父親が創業した小さな工場を継いだ2代目社長。1年間頑張って経営したところ、売上高は前期より増えたものの、「売上総利益」が赤字になってしまいました。あなたが経営者ならどうしますか?

パターン1

広告宣伝費を減らす。

パターン2

借入を返済して、利息の支払いを減らす。

パターン3

製品の販売価格を上げる。

この質問をイメージして以下のストーリーをお読みください。
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売上も「売上総利益」も順調に増えている会社

「みろく工場」は、先代が創業した職人集団の製造業です。社員はみな職人です。技術力はピカイチで、大手企業からの注文も多いのです。
 
今年は、先代の息子である2代目が会社を継いで2年目です。2代目は大学を卒業後、大手製造業で技術者として腕を磨いていましたが、先代の病気もあり、会社を引き継ぐことにしたのです。
 
今期は、売上も利益も順調に増えていますが、2代目社長が会社を引き継いだばかりの前期は赤字で大変だったのです。

売上総利益が赤字!? もっと、売って売って売りまくるぞー!

2代目社長がみろく工場を引き継いだとき、職人はみなやる気に満ちあふれていました。それは2代目社長が、みろく工場の社員が憧れる大手製造業の出身者だったからです。
 
2代目社長も、みろく工場の業績を一気に拡大させるため、思い切って銀行から借入をして設備を拡大し、そして広告宣伝を打って会社の知名度も上げ、さらに製品の販売単価を下げて、今までにないほどの受注を獲得したのです。
 
ところが問題は1年目が終わった決算で発覚しました。みろく工場の社員はみな職人なので、会社の経理業務も若手の職人が片手間にやっていたのですが……

若手の職人 社長、大変です。前期の決算が一通り終わったのですが、赤字になってしまいました!
社長 何だって!? 決算書を見せてくれ。う~ん。確かに売上は3割も増えているのに赤字だ
若手の職人 よく見てみると、売上総利益が赤字になっているんです
社長 確かに売上総利益が赤字だが……、ところで売上総利益って何だ?
若手の職人 さぁ……。私も職人なので、細かいことは分かりませんが、売上が足りなかったってことでしょうか
社長 まぁ、いろいろ考えても仕方ない。まずは、良い製品を作って、今まで以上に売って売って売りまくるしかないだろう

そうは言ったものの、心の中では気になっていました。

社長の心の声 <こんなに売上を増やしたのに、売上総利益が赤字になったって、一体どういうことだ? この1年の経営の何がいけなかったんだ?>

 

質問

父親が創業した小さな工場を継いだ2代目社長。1年間頑張って経営したところ、売上高は前期より増えたものの、「売上総利益」が赤字になってしまいました。あなたが経営者ならどうしますか?

▼あなたの思うパターンをクリック▼

パターン1

広告宣伝費を減らす。

パターン2

借入を返済して、利息の支払いを減らす。

パターン3

製品の販売価格を上げる。

広告宣伝費を増やしたことで販売費及び一般管理費が増加したことも赤字の原因の一つと思われます。しかし、今回は売上総利益が赤字となっているので、まずはその直接的な原因から検討するべきでしょう。
 

設備投資のための借入を増やしたことで、その金利負担が増え、営業外費用が増えたことも赤字の原因の一つと思われます。しかし、今回は売上総利益が赤字となっているので、まずはその直接的な原因から検討するべきでしょう。

実は、製品の販売価格に問題があったようです。社長はそのことにどうやって気づいたのでしょうか……

 

若手の職人が決算書のセミナーで学んできたこととは?

社長と若手の職人が、売上総利益の意味が分からず、とにかく売って売って売りまくろう、という結論になりかかったとき、思い切ったように若手の職人が言い出しました。

若手の職人 僕は毎年、見よう見まねで損益計算書や貸借対照表などの決算書を作っているのですが、そもそも決算書の見方を勉強したことがないのです
社長 決算書の見方か……。うちの会社にはそんなこと分かる人間はいないな……
若手の職人 実は僕、会社の会計を片手間にやっているうちに何だか楽しくなってきちゃったんです。もっと会計の勉強もしたいので、決算書の読み方のセミナーに行ってきてもいいですか?

早速、若手の職人はインターネットで「決算書の読み方」というセミナーを見つけ、翌週、そのセミナーに出かけていきました。その日の夕方、会社では社長が職人たちを前に気合いを入れていました。

社長 いいか、みんな、前期は残念ながら赤字になったが、今期は黒字にするために、前期以上に売って売って売りまくるぞー!
職人たち おー!

と、そこへ、セミナーでの勉強を終えた若手の職人が会社に戻ってきました。

若手の職人 社長、大変です!
社長 どうした? 決算書の見方が分かったか?
若手の職人 はい。損益計算書には、5つの利益が出てくるのですが、最初に出てくるのが売上総利益です
社長 なるほど、で?
若手の職人 売上総利益は売上高から売上原価を差し引いて計算されます
社長 確かに、うちの会社は売上高が1億5千万円で、売上原価が1億5千5百万円なので、売上総利益が5百万円の赤字になっているぞ
若手の職人 つまり、うちの会社は、1億5千5百万円で作った製品を、1億5千万円で売ってるってことなんです

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社長 えっ、つまり作るためにかかったコストより安く売ってたってことか?
若手の職人 そういうことです。このような状態を逆ザヤっていうらしいです。ただ、すべての製品が逆ザヤとは限りませんから、うちの製品のどれが逆ザヤになっているか、ちゃんと計算しないといけないようです
社長 なるほど……。会計をちゃんとしてこなかったから、製品の原価なんて気にしたことがなかった。逆ザヤになっている製品は販売価格を上げなければいけないのか
若手の職人 このまま、とにかく売って売って売りまくっていたら、赤字が拡大しているだけでした。危なかったです

このとき社長は思ったのです。

社長の心の声 <危なかった。決算書は作ることも大事だが、作ったあとに正しく読めないと、とんでもない経営をしてしまうことになるな……>

 

ワンポイント解説「売上総利益」損益計算書において、売上高から売上原価を控除した利益のことを売上総利益と言い、粗利とも言われます。売上総利益が赤字つまりマイナスの場合、売上原価より安く売ってしまっているということなので、売れば売るほど赤字が拡大する恐れがあります。まずは製品種類ごとの売上総利益を計算し直すべきでしょう。
関連リンク「営業利益」についても確認したい方はコチラもご覧ください。P/Lが読めずに危うく大失敗!? 「営業利益」が赤字の会社の課題とは?(経営センスチェック2020年2月23日号)
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